魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第42話 水でふざけるのはやめましょう
美少女総選挙も終わり、夏休みまであと少しの授業を消化するだけになった。
そんなある日………
「あちぃ………」
朝、クーラーの無い教室に生暖かい風が入ってくる。
私立なのでクーラーがあるにはある。しかし、我らがAクラスはクーラーが壊れており、他のクラスとの温度差が10度位あるのだ。
しかも今日は最高気温37度、猛暑である。
隣のクラスにいけばいい話だが、クーラーがつくのは先生が来た時だけなので今行っても意味がない。
「アンタ、そうやって伏せてると余計暑いわよ」
うちわで体の中に風を送りながらアリサが言う。
どうでもいいけどブラ見えてるぞ………
「アリサちゃん、零治君にブラ見えとるで」
「!?この変態!!」
いきなり放たれた右ストレートは俺の顔に………
「ぐはっ!!」
勢いそのまま、俺は後ろに倒れてしまった。
「れ、零治君!?」
「だっ大丈夫!?」
「大丈夫じゃない………」
俺は顔を押さえながら起き上がる。
「何よ、アンタが悪いんじゃない………」
「別に見せてなんて言ってないけどな!」
「アンタが私のブラ覗いたんじゃない!!」
「はぁ、別に興味ねぇよ………」
「零治君ってコッチ?」
ホモのポーズをして俺に言ってくるはやて。
「お前、馬鹿にしてるのか?」
「いや、分かっとるけどそれはそれでおもろそうやから」
「はやては冗談だって分かってるけど、純粋なそこの2人はマジでそう思ってるじゃないか!!」
俺の指を指した方を見るはやて。
なのはとフェイトがかなりのドン引きしてる。
「なのはちゃん、フェイトちゃん!?冗談やから本気にしたらアカンよ!」
「そ、そうなの?」
「よ、よかった………」
ホッと安心する二人。
「ホンマ二人は素直やなぁ………」
「本当だよ………どこぞの狸さんみたいに汚くなってもらいたくないものだ………」
コッコー!
とハリセンで叩かれたが気にしない。
「いつの間にか話題が変わったわね………」
と呟きながらもうちわで相変わらず中に風を送るのをやめないアリサ。
「だから見えてるっての」
「もう気にしないわ、所詮下着だし」
「だったら殴るなよ………」
不幸だ………と呟き俺は机に突っ込した。
「は〜い、席に座って。HR始めるわよ」
シャイデがやって来てなのはとはやて、フェイトはそれぞれの席に戻る。
「しかし本当にこの教室は暑いわね………さっさと職員室に行きたいわ………」
担任が自分の生徒達を見捨てて楽な所へ逃げようとしてるよ………
「そういえば今日の学活の時間なんだけど…………」
そういえば今日は何をするんだ?
暑いから動きたくないんだけど………
「プールを借りたからみんなで入るわよ!!」
一旦教室が静かになり……………
「「「「「「「よっしゃあー!!!」」」」」」
男子の声が響いたのだった。
しかし…………………
「先生、水着はどうするのですか?」
「あっ………」
一人の女子生徒の指摘によって、教室がまた静かになったのだった…………
「あつ……………」
結論から言います。クラスの八割が持ってきてました。
なかった人は借りるか、購買で買うか、見学するか。
ちなみに見学組はいなかった。みんなこの暑さに参ってたんだな…………
そんでもって今は5時間目。今日の学活は2時間あるので2時間は遊べる。
「お、おいまだかよ…………」
「スク水はぁはぁ…………」
「やばい起ちそう………」
犯罪予備軍ことSBS団の興奮度も半端ないことになってる。
なぜかというと、いつもの体育のプールだと、女子と男子は別になるからだ。
女子がプールの時は男子は外で、男子がプールの時は女子が外といった感じだ。
なのでぶっちゃけSBS団だけでなくクラスの男子みんなテンションが高くなっている。それが分かってるからこそ女子もこうも出てくるのが遅いのだろう………
ただ……………
「もったいないな、神崎。あいつならテンション上がっただろうに………」
あのおバカさん、今日に限ってミッドでお仕事らしい。
ざま〜(笑)
ちなみに今話しかけてきたのは中島良介。
クラスで仲がいい男子の2人の内の1人だ。前に星に捨てられたエロ本の持ち主でもある。
めがねをかけた知的な少年で大人っぽい。しかし高校生でAVやらエロ本を集めるのが趣味という残念な性格をしている兄を持ち、その影響で良介自身もオープンではないがむっつりスケベになってしまった………
コイツ彼女いるのに…………
「2人共、女子出てきた?」
俺たちに話しかけてきたのは小林圭。
大家族の長男で野球部だ。
決してイケメンってわけではないが、野球部のキャプテンとして皆を引っ張っており、スポーツマンな所から何気に女子から隠れファンが多かったりする。
ただし、下ネタなど恥ずかしい話を聞くと直ぐに顔が赤くなる。
「いや、まだみたいだ。というかあいつらがあんなに興奮してたら出てきたくないだろ………」
「確かに………」
コイツらともこんなに話せる仲になれたのはイケメン対決が原因だったりする。あの後クラスの皆に話しかけられるようになった俺は、この二人とは特にウマが合い、仲良くなったのだ。
良くも悪くも、俺の学校生活が変わる出来事になった………
「おっ、出てきたぞ」
SBS団の誰かの声に男子皆が反応する。
恥ずかしそうに胸などを軽く隠して出てくる。
ただその中にも例外がいるわけで………
「良く〜ん!」
反対側のプールサイドからこっちに手を振るツインテールの女の子、坂巻渚は良介の彼女だ。スタイルは至って普通だが元気っ子で男子からの人気も高いらしい。(圭談)
ライと似ている所があり、多少かぶるったりするが、ライ以上に天然だったりする。
「手を振ってるぜ色男」
「相変わらず仲がいいなぁ」
「アイツは………」
恥ずかしいのか、目頭を押さえるマネをする良介。
「渚〜!はしたないから静かにしてろ〜!!」
「じゃあ、後で一緒に遊ぼうね〜!!」
「くそっリア充が………」
「マジで死んでくれないかな………」
「呪われろ、呪われろ………」
「………………二人共、俺達友達だよな」
「嫌だ。やっと俺だけ狙われる事が無くなったんだ。この期を逃してなるものか!」
良介が坂巻渚と付き合い始めたのはつい最近。テスト勉強中に告白したらしい。幼なじみの二人は元々仲が良かったが、付き合い始めると思わなかったSBS団は情報を得ると同時に粛清に走った。
お陰さまで俺への被害が半分に減ったのは言うまでもない。
「まぁ二人とも頑張れ………」
「ん?何で俺も入ってるんだ………」
圭が指差した方を見るとはやてが手を振っていた。
「零治君〜、シャイデ先生からビーチボール借りたんや、一緒にやらへんか〜?」
「またアイツだ………」
「何でアイツばっかり………」
「やはり海外から銃を………」
最後の奴、洒落にならんから止めてくれ!
「頑張れ二人共」
「良介………」
「ああ………」
俺と良介は即座に圭を逃げないように掴み、
「はやて〜、圭と良介も一緒で構わないか〜?」
「別に構わへんよ〜」
「なっ!?俺は別に………」
「一人だけ逃がすか!!」
「そうだ!楽させてたまるか!!」
ギャーギャー口論になる俺達。
そんなとき、
「なに騒いでるのよアンタたち」
シャイデが1番遅く現れた。
黒のマイクロビキニという色気MAXの格好で。
「「「「「「ぐはっ!!」」」」」」
「っておい、またかよ!!」
SBS団が吐血して一斉に倒れた。
幸せそうな顔で………………
「お前らそんなんで良いのかよ!?」
良介が叫ぶが反応がない。
「う〜ん、刺激が強すぎたかしら?」
そう言って水着の位置を直すシャイデ。
だったらそんなの着てくるなよ………
俺がふと残りの男子を見てみると立っていた男子が前屈みになっている。
だったら座れ!!
「まぁいいわ。さぁみんな!6時間目が終わるまで好きに遊んでいいわよ!!」
倒れているSBS団は無視して俺達は遊び始めた。
「行くぞオラッ!」
俺はビーチボールを高々と上げる。
「すずか!」
「はい!」
アリサの声に答えながらすずかがボールを返す。
「フェイト!」
「うん!」
少しライナー気味に来たボールを上手くフェイトが返す。
今、俺達がやっているのは水上バレーのようなもの。
あらかじめコートの大きさを決め、相手のコートにボールを落とせば勝ち。
2対2のチームでやるのだがこれが結構難しい。
普通に弾道を低く返せば良いと最初は思っていたのだが、意外に直ぐにボールが沈むため、容易にスマッシュなど打つと自分のコートに落ちてしまう。しかも水の中で打ち返すのでスピードも出ず、簡単にはじき返される。何より泳いで移動するため中々ちゃんとした体制で打ち返せないため、結構打ち返すのすら難しかったりする。
「アリサ!」
「任せて!」
ふらふらっと低めの弾道でゆっくりとボールが無人の相手コート右側に落ちていく。
(間に合え!)
アリサは急いで泳いでいくが、アリサの頑張りもむなしく、ボールはプールに落ちた。
「9対8!零治君、フェイトちゃんペア、マッチポイントだよ!」
「よっしゃ!ナイスショットフェイト!」
「うん、このまま勝とうね」
「ごめんすずか………」
「ううん、今のはフェイトちゃんが上手かったよ。それにまだ逆転できるよ!!」
「そうね、まだ勝負は分からないわね!」
気合いを入れ直したアリサ。
いいね、そうじゃなきゃ面白くねぇ。
「油断せずに行くぞフェイト!」
「うん!」
今度はすずかのサーブからゲームが始まった………………
「疲れた…………」
なんとかサドンデスになりながらも20対22で勝った俺とフェイトペア。
かなりの死闘となった。
あそこでフェイトが拾ってくれなければ分からなかった………
「盛り上がってたな」
俺がフェンスに寄りかかって休んでる所に圭が隣に座ってきた。
「っていうか次はお前の番じゃないのか?」
「先に八神、イーグレイペアと中島、坂巻ペアだ」
「ふ〜ん………」
そんなたわいもない話をしていると試合が始まった。
「なあ零治………」
「なんだよ?」
「女の子って最高だな…………」
「お前大丈夫か!?いつもならこんな話になると顔真っ赤にしてうまく話せなくなるくせに………」
「俺だって興味はあるんだよ!!だけどお前と中島の二人の話がレベルが高すぎてついていけないだけだ!!」
う〜ん、実際そうかもな……………
確かにR15位じゃ済まない話のような…………
「そうか…………で、圭君的には誰が好みかい?」
「俺は……………やっぱり月村かな。あのスタイルとあの性格はもう完璧すぎるだろう。でもハラオウンの時々見せる慌てる姿も捨てがたい…………」
「……………結構マジな答えだな」
「零治は?」
そう言われ俺は考える……………
「大きさから言ったらすずか、フェイト、なのは、アリサ、はやて、フェリア…………性格から考えるとフェイト=すずか=フェリア、アリサ、なのは、はやての順だろ…………と考えると………」
暫く考え、
「確実に駄目なはやてにしてやるか。考察しててかわいそうになった」
「俺は好みを聞いたんだけ……!?」
「ん?どうした?手なんか合わせて。何か神様に頼むことでもあるのか?」
「アンタが私達をどういう風に見ていたかよ〜く分かったわ、ありがとう」
「だろ、結構自信が………」
振り返って高評価をくれた人物を見ると………
グーの拳を作った怒りのアリサ様がそこにいました。
「まて、これには山よりも大きく海よりも深い訳が!!」
「問答無用!!」
アリサは俺の腹にボディーブロー、たまらず立ち上がった俺に今度はアッパーを食らわせプールの方に吹っ飛ばしたのだった。
「ったくアンタもいい加減にしなさい!!」
「零治…………惜しい友達を無くした」
いつもの事でスルーしているクラスメイトを除き、小林だけが零治に涙を流したのだった…………
「零治?」
「ハッ!?俺は何を?」
目覚めるとそこにはフェイトの顔が。
「良かった、起きたね。早く行こうよ」
「行こうよって何処に?」
「決勝だよ」
「決勝?」
「水上バレー」
おお、そう言えば…………
「そうだった!フェイト、絶対勝つぞ!!」
「うん!!」
俺は最高のパートナーのフェイトと共に最後の戦いへと赴いた。
「相変わらずだなアイツ………」
「さっきまで溺れてたのにね」
「アリサちゃん………」
「うっ、分かってるわよ。後で謝るわ………」
そんな様子を見ていた、小林、なのは、すずか、アリサが話していたのだった………
「よく来たな」
「せやけど、私達最強ペアは倒せへんで」
「相手ははやて、フェリアペアか…………」
「油断しないで、中島と渚、なのはと小林ペアを倒したんだから」
男子がいるペアに勝ったか、確かに油断できないな………
「では、行くぞ!!」
フェリアサーブから試合は始まった…………
「零治!」
「こなくそ!!」
懸命に手を伸ばすが、ボールは無常にもプールに落ちる。
「8対4はやて…フェリアペアリード!」
「ナイスショットやフェリアちゃん!!」
「はやてこそ」
ハイタッチするはやてとフェリア。
「くそっ!!」
「フェリアちゃん速すぎるよ………」
そう、このような結果になっているのはフェリアが原因だったりする。
始めはあの小さい体には不利だろうと思っていたのだが、潜水して底から一気にジャンプし、スマッシュを決めたときにはマジで驚いた。
というかそんな運動神経ある人間なんているのか!?
試しに俺もやってみたがそこまで高く飛べず、なおかつボールを空ぶった。
だけどこれにも弱点があり…………
「これでマッチポイントだ!!」
「ここだぁ!!」
うまく落下地点を読んだ俺がボールを返す。
「しまった!?はやて!!」
「任せてな!!」
はやてはなんとか追いつくが、ボールははやてたちの後ろに飛んでいった。
「8対5!!はやて…フェリアリード」
「やってもうた………」
「いや、コースを読まれた私が悪い」
このようにコースを読み、返せばジャンプしたフェリアは動けないので拾うのは一人になる。そうすれば得点のチャンスになるのだ。
「ナイス零治!」
「たまたまだ、でもなんとか拾うぞフェイト!!」
「うん!!」
こうして死闘は続く……………
「10対6ではやて…フェリアペアの勝ち!!」
「やったで!!」
「ああ、完全勝利だ!!」
「「……………」」
恥ずかし!!
何さっきの俺!?あんだけカッコつけて結局負けるのかよ!?
しかも点差離れてるし…………
フェイトもどうやら同じ気持ちらしい。恥ずかしそうにプールから上がる。
「なんや二人共、あれだけカッコつけといてあっけなく負けよったなぁ」
「はやて、気にしてることを………」
「かっこよかったで二人共『何としても勝つ!!絶対負けてたまるか!!』熱いわ〜『私も絶対負けたくない!!絶対拾うね!!』ってその後直ぐにスマッシュ決められっとたからなぁ………」
「もう止めてはやて!!」
その後俺とフェイトは、はやてから言葉攻めを食らってました…………
「ねぇ零治…………」
「ん?どうしたアリサ?」
授業も終わり教室に戻る時だ。
アリサに声をかけられ俺は止まる。
「私のせいで溺れかかったから謝ろうかと………」
「ああ、そんなことか。っていうかアリサは短気すぎる」
「えっ!?」
「なのはもそうだけど簡単に手を出しすぎなんだよ。冗談なんだから受け流せばいいじゃないか」
「だけどアンタの場合冗談に聞こえないのよ!!」
「それでも結局暴力に行くのはどうかと思うぞ………」
「うっそれはそうだけど…………」
「まぁ今度はお手柔らかに頼むよ」
「あたっ!?」
俺はアリサに軽くデコピンする。
「これはお返しだ」
俺はそう言って教室に向かった。
「バカ…………………」
その呟きは零治には届かなかった…………
「なぜだぁ〜!!!!!!」
次の日、教室では大声で叫び声を上げた銀髪のイケメンがいたとかいないとか……………
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