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どうやら俺は主人公を殺したらしい

作者:パワタス
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七話、エクスカリバァァァァァァ!!!

 
前書き
前回戦闘するよと言って、今回はその前置きという。おもさげねぇ。 

 
 
 真夜中。
 あれほど賑やかだった街並みは、本当は誰もいなかったと勘違いを起こしそうなほど、酷く静かだった。
 そんな風景と様子を他所に、デクタ・テインは、自分がそうでなくとも身体が無意識に感じる極度の緊迫を紛らわすように、自分の乾ききっていた唇を自分の唾で潤いしながら、目の前の強敵がこれから何を言うのか。どんなアクションを出すのかと、凝視し、待っていた。

「久しぶりだな、俺のライバル。いや、君は、聖剣使い最強と謳われるんだ。敬意を込めて、これからは、フルーネームで呼ばせてもらう、デクタ・テイン」
「うん、いきなりツッコませてもらうけど、“聖剣使い最強”、なんて俺謳われてないからね。あと、俺の名前を軽々しく呼ぶんじゃねーよクソテロリスト」

 俺ことデクタ・テインは、暴言を吐きつつも、臨戦態勢を崩しはしない。

 まあ、聖剣最強というのは、あくまで噂に過ぎず、周りの話のネタにされる程度であって、そこまで信ぴょう性もないものである。いや、俺が
 そもそもの話、この世界においての聖剣は、俺の思っていた聖剣と比べるとコレジャナイ感があるけど。

「クソテロリストか………随分と酷い呼び名じゃないか? デクタ・テイン」

 ニタリとヴァーリは言う。

「だから、馴れ馴れしく呼ぶなよゴミ。てかさっきから何笑ってるんすか?ニヤニヤと気持ち悪いね」
「そこまで嫌われているとはな。俺としてはとても心外なんだが」

 そう言ってカツンカツン、と乾いた足音を響かせ、臆すことなく、むしろ奴は堂々と、俺に近づく。

「近づくなよ、殺すぞ」

 俺は牽制用に出した聖剣をヴァーリに向け、殺気立つ。
 本当はコイツとは戦いたくない。勝つか負けるかの話ではなく、死ぬ要素がある戦闘は、できるだけ避けたいのだ。

「フッ、君に出来るのか?」

 あざ笑うヴァーリ。
 それって俺が弱いってことかね。いやいや舐められたもんですわ。俺おこですわ。やってやろじゃーねーか。

「あ? 舐めんての? てか半年前、俺にボコられたこと覚えてないの? もしかして半減能力ばかり使いすぎて脳ミソまで半減しちゃったん?」
「ふむ………確かに、あの時俺は君に即死級……いや、その半分の半分の半分のダメージを食らわせられた訳だか が………死傷までは行かなかったさ。
 しかし君はどうだ? その倍食らって半死に状態になってまでも、この俺から尻尾を巻いて逃げた君が言うのか? デクタ・テイン」
「うっ」

 ……何も言えねぇ。
 とはいえ、俺は生きている。生きている限り、俺にとっての負けはない。どんな手段であろうと、どんな過程で得た命であろうと、俺に敗北の二文字はない。
 だから……勝ったなんて言うつもりもない。
 まあ、これは前に言った話だけどね。

「何も言えない、という顔をしているが、まあ、俺は無駄話をする為に、君に会いに来たわけではない」

 さて、とヴァーリは続けてこう言った。

「禍の団に入らないか?」
「(´・ω・`)」
「………なんだその顔は」
「いや……だって、お前が奇想天外なこと言うからね。うーむ、それ冗談なんすかね? それとも本当に勧誘すかね? なんか黒い思惑とかない? 」
「冗談でないさ。俺達は本気だ。ただし、これは提案であって強制ではないさ。ゆっくりと考えればいい。出来れば、敵として戦いたいのが俺としての本心だが、組織はそうもいかなくてな」

 だが、まあ日本で面白い奴を見つけたんだ。俺としては、そちらを優先しなければならなくてな、とヴァーリは付け加える。

「で、君の答えをまだ聞いてなかったなデクタ・テイン」
「却下嫌だ断る! 」

 即答だった。
 別に迷う必要などない。相手は、禍の団という、中二臭い集団。その正体は、テロリスト。

 どんな目的であろうと、「実はどうしようもない理由があってテロリストをやっているんですぅ」、と言われても、俺は同情なんて論外。そんなのは、雀の涙1滴すらない。はっ、そんなの犬にでも食わせとけ。
 ………いや、ちょっと言いすぎた感は、あった。うん。すみません。

「フッ、そうか。なら………む……無線か………なんだ美候」
「おいおい、人前でお仲間とお話ですか」
『――――』
「………ー………スが消えたと? ……分かった今すぐ向かう」
「なんかトラブルでもあったのか?」

 「いや、俺も忙しいものでな。この場を去ることにするよ」

 むむっ? こんなあっさり引き下がるなんて意外というか、拍子抜けしてしまう。

「だが、気が変わったらこの魔法陣で飛んでこい、気が変わったらな」

 要は保険みたいなものだろう。ヴァーリ本人は望まないそうだが。
 転移用魔法陣の紙を手渡し、勝手ながらも、奴は本当に去って行った。
 いや待て。

「おい待てよ。 アザゼルに言うことはないのか? 伝えて欲しいことがあるなら俺が伝えるてやるぜ」

 去り際にそう言う。奴らの正体は、ヴァーリ・ルシファーをも含め、既に白日の元に晒されている。あ、チクったの俺っす。
 とは言っても、一部の存在にだけだが。いや、その一部というのは、ヴァーリが悪魔のハーフという事実だけで、ヴァーリがテロリスだという事は、周知の事実。
 話を戻すけど、もちろんその一部にアザゼルも入っているのだ。これで、親しい彼等は、どうなったかと言うと、自分の家族だったと思っていた子が、テロリスだった。更に、自分の敵という、なんとも言えぬ壮絶な展開。
 そりゃあ原作とは違えど、展開的には、似たようなものだったのだろう。

「あるなら自分で言うさ――アルビオン」

 そう言って、奴は自身の背中に宿る相棒の名を呼び、何処かへ去って行った。
 その去っていった時に残った魔力の残晶を遠目で見つめながら、少しだけ考えてしまった。
 もしも、あいつら、禍の団と戦うことになったらどうなるのだろうかと。
 職業としては、戦地に赴くかも知れない。
 でも、あいつらとだけは、戦いたくない。死んでも戦いたくない。
 そのアイツらとは、ヴァーリ・ルシファーでもない、美候とか、そんなにランクの奴らじゃなくて。
 そう、無限とか言われている“オーフィス”のことだ。あれは勘弁被りたいね。

「ーーっ!」

 ブルブルっと嫌な寒気で、思わず、最悪な未来を予想をしてしまった。
 ――これフラグじゃないよね?
 いや、これ考えてる時点でフラグじゃないか。考えるのやめい。

「……………じゃあ、俺も行くか」

 とは言いつつも、現状、待つことしか出来ない。
 あっ、一応今の出来事全て、本部に伝えてからね。ヴァーリ・ルシファーなんて指名手配犯だしね。





 ◇◇◇





「…………それにしても遅いな」

 街が暗くなり、人は眠りについても、未だにせっせと動く、この街のシンボルであろう大きな時計台を見やる。
 その針時計の長針は、約束の時間を既に過ぎていた。
 そして、約束の時間から15分弱が過ぎ、デクタは、1度教会に戻るか、それとも連絡するか、その二択のどちらにするかを思考した時だった。

「――ん、迷った」

 その声は、何処からだろう。俺は訝しむ。女の声と言うより、はっきり言えば、幼い女の声だ。
 ふむ、まずこんな時間に、こんな暗闇で幼い子どもがいる訳もなく、それも幼女である筈もない。

 なら、なんだ。

 ――トントン。

「ふぇっ――」

 不意に何かに叩かれ、間抜けな声を出してしまう。

「やべ、腰抜かすところだっ――アッーーーーーーー!!」
「見つけた、我、見つけた」
「ーーーーーーー!!」
「?」

 不意に先程までの自分の言葉を思い出す。
『――これフラグじゃないよね?』

 フラグ回収したちゃったよぉぉ。もおぉぉぉぉおおどうしてくれるだよぉぉ。フラグ作ったさっきまで俺死ねぇぇぇ。
 叫び続ける。横で首を傾げながら、俺を見る黒髪ロング幼女……またの呼び名を“オーフィス“を視界に残しながら。

 「違う……偽物、邪魔」
「――え」

 それは突然だった。
 胸に違和感を感じる。簡単に言えば、そう、心臓を物理的に抉られたような。

「カッはっ………あ、ぐ」

 痛みを感じはしない。でもすぐさま自分が置かれた状況をぼやけた視界の中でやっと把握した。
 自分の胸を見れば、誰だって分かる。出血のない不気味な胸から、生える細い腕。
 それを辿るように、後ろを振り向けば、黒髪ロング幼女が、無機質な表情で黙々とその腕を引き抜く。

 ――グチュッ。

 抜かれた場所は、黒い空洞だけが残り、デクタは、糸が途切れたマリオネットのように倒れる。

「本体は、どこ?」
「えへへ………何のこと……ですかね」

 “本体”、という言葉は、何を指しているのか。
 デクタは、知っている。だから内心焦っている。
 まだバレてはならない。自分の役目を終えるまで時間が足りないのは、目に見えている。
 せめて、内心の動揺を押し隠すこと、時間の引き伸ばすほかなかった。

 ――もうすぐだ。

 脳内から響くそれを安寧の思いで受け取る。そして笑った。

「デクタ・テイン……本体は近くにいる………どこ?」

 再度同じ質問をデクタを踏みつけながら問う。

「ぐっ………幼女に踏まれるなんて紳士の俺は大歓喜だね」

 ――準備完了だ。

「でも………そんな喜びもここまでだな」
「? 意味が解らない………ん………」

 オーフィスは気づいた。上空から膨大なエネルギーを。そして隠しきれない聖なるオーラを。

 オーフィスは、そのオーラの先にあるものを黒い瞳に映す。
 そこに映し出されていたものは、金色の長々とした髪を揺らし、蒼いドレスとその上から銀の甲冑を纏う姿。

「見つけた」

 だがもう遅い。

 ――――エクスッカリバーアアアアアアッ!!!

 黄金の剣は振り下ろされた。
 光の柱が、この街を埋め尽くした。

 
 

 
後書き
後半は主人公視点じゃないので意味が分からなかった方は、それが普通です。書くのが苦手なのと語彙力が貧相なのでお許しを。街は大丈夫です。
あと、主人公がオーフィスに勝つことはまずないですね。まだ原作は読み切ってはいないのですが、友人からそのキャラの説明を聞いていたそれだけの内容で察するほどですからね。無限とかもうおそろしいですねw
そう言えば、冬じゃないのに、外寒いですねぇ。田舎だからですかねぇ。 
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