ロックマンゼロ~救世主達~
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第52話 絶望への反抗
前書き
オメガとの決戦。
復活ボス戦は無しです
それにしてもオメガ第二形態があれに見えるのは気のせい…?
バイルの研究所に転送されたゼロとルインは妨害してくるパンテオンやメカニロイドを迎撃しながら突き進む。
トゲが敷き詰められた床地帯を上下に浮かぶリフトを飛び移りながら二人は奥にあるシャッターを潜った。
一方、サイバー空間では女神の手によってエックスのボディが超特急で造られていた。
「ふんふっふふーん♪う~む、ここをこうして~。エックス君の強化アーマーはどうしよう。この世界のエックス君の強化アーマーって、全然情報がないんだよな~。コピーエックス君のアルテミットアーマーベースでいいか。にしてもアルテミットアーマーって名前もアルティメットアーマーのパチモン臭いな~」
「あ、あの…女神様、急いでくれませんか?出来るだけ早く」
出来ればオメガとの戦いまでには間に合わせて欲しいエックスは鼻歌を歌いながらエックスのボディを製作している女神に頼む。
「ふんふーん♪あ、ごめんごめん。これでも一応フルスピードなんだよね~」
「(本当だろうか?)」
鼻歌を歌いながらエックスのボディの製作を続ける女神を疑うように見つめていた。
一方、ゼロとルインがいるバイルの研究所の場所からかなり離れた場所では、ダークエルフの洗脳を受けた無数のパンテオンに強烈な雷撃が降り注いでいた。
「そこを…どけえ!!ふっ!!はあっ!!」
そこにはレジスタンスベースを去ったハルピュイアが戦っていた。
ソニックブレードを引き抜き、風のようにパンテオンを斬り裂いていくハルピュイアだが、パンテオンはハルピュイアにバスターを向けてショットを連射してくる。
咄嗟にブレードでショットを掻き消すが、あまりの数に流石のハルピュイアも捌き切れずに何発か喰らってしまう。
「ぐ…っ!この多勢に無勢では……」
このままではオメガとバイルの元に向かう前に力尽きてしまう。
こうなればアームドフェノメノンを発動しようとした時であった。
かなりの数のパンテオンが巨大な火炎弾に飲み込まれ、塵となったのは。
「オラッ!!オラッ!!オラアッ!!!」
火炎弾が放たれた方角を見遣ると、そこには瓦礫の上に立ちながらマルチプルランチャーのソドムとゴモラの火炎弾をパンテオンの軍勢に乱射しているファーブニルの姿があった。
「ファーブニル……!?」
「どうしたどうしたあ?お前が弱音吐くなんて珍しいじゃねえかあ。やっぱ俺様がいないと締まらねえか?よっと。」
目の前の敵を一掃すると、瓦礫から飛び降りるとハルピュイアの前に立つ。
「でもちょっと得したわ!キザ坊やの困り顔なんて滅多に見られないものね。はっ!やっ!!」
レヴィアタンも姿を現すのと同時にフロストジャベリンを振るい、パンテオン達を凍てつかせ、斬り裂いていく。
「ふっ…遅いぞ、お前達。」
久しぶりに見た兄弟にして同僚達の姿にハルピュイアの表情が和らいだ。
「これでも急いできたのよ。まだ体中埃っぽいままだし。さっさと片付けて、メンテナンスジムのプールでコーティングし直したいわ。」
体にかかった砂埃を払いながら溜め息するレヴィアタンに対して、ファーブニルはソドムとゴモラをパンテオン達に向けて構えながら言う。
「へっ、悪いな。ちょっと寄り道しててよ。俺達も、サイバー空間でエックス様に会ってきたぜ。それからファントムにもな、詳しい話はお前に聞けって言われたけどよ。ようは、ゼロとルインが戦っているバイルとオメガをぶっ潰せばいいんだろ?」
腕が鳴ると言いたげな表情を浮かべるファーブニルにハルピュイアは思わず口を開いた。
「分かってるのか?今バイルは、ネオ・アルカディアの統治者になっている。俺についてくることは、ネオ・アルカディアを反逆することになるんだぞ。それでいいのか?」
ハルピュイアの言葉にファーブニルとレヴィアタンはポカンと目を見開いたが、次の瞬間吹き出した。
「はっふふっ…。珍しいわね。私達に意見を求めることなんて、今まであったかしら?エックス様からレジスタンスのベースで治療を受けたってのは聞いてたけど、ルインと一緒にいて少し丸くなったのかしら?」
エックスからハルピュイアがレジスタンスベースで治療を受けていたことを聞いていたレヴィアタンは以前と比べて随分と性格が柔らかくなっているハルピュイアをからかうように言う。
「何だあ、おい。らしくねえなあ。お前はいつもみたいに憎ったらしい顔で、偉そうに命令してりゃいいんだよ!!」
憎まれ口を叩くファーブニルを見て、レヴィアタンはからかうような笑顔を浮かべながらハルピュイアの肩を叩いた。
「あいつ、あんなことを言ってるけど、ルインを…お母さんを助けるためにここまで急いで来たのよ?キザ坊やも私達の親孝行に付き合いなさい…それからファントムからの伝言よ、“武運を祈る…母上を任せた”ですって」
「ふっ…そうか。俺達がエックス様に代わってルインを……母上を守り、バイルとオメガを倒す。守るべきものは、ネオ・アルカディアの名でも、四天王の肩書きでもない。」
ハルピュイアは両手に握るブレードに力を込め、こちらに向かってくるパンテオン達を鋭く睨み据える。
ファーブニルとレヴィアタンも同じように武器を握り締める手に力を込めた。
「我らの力は人間のため!!」
「我らの信じる正義のため!!」
「行くぞ!!」
力を解き放ち、ハルピュイア、レヴィアタン、ファーブニルの三人がパンテオンの軍勢に向かっていく。
「オラオラオラオラオラアッ!!!」
「やあああああああっ!!!」
「はあああああああっ!!!」
全てを斬り裂く風が、全てを凍てつかせる氷が、全てを燃やし尽くす炎がパンテオン達を薙ぎ払う。
「(例え扉の向こうが、闇に覆われた未来だとしても。風が霧を払い、炎が路を示す。水が総身潤し、影が己を映す…。四天を以て、一天導く光となる!!エックス様…母上…。我々は、人間を守るため、戦い続けます。お二人から授かり…正義に懸けたこの命、尽きようとも…。)」
四天王達も戦線復帰して、今を生きる者達が過去の巨悪に猛反撃を開始したのだった。
そして一方、場所はバイル研究所に戻り、復活したボスを倒して更に奥へと進んでいたゼロとルイン。
研究所の奥深くの部屋に辿り着き、奥に向かうと巨大なモニターがあるだけで誰もいない。
しかし、突如装置が動き出し、モニターからバイルの姿が映し出された。
『クーックックックッ……どうだ、ゼロにルイン。英雄ごっこは楽しいか…?ん?』
「お前の下らん遊びには俺もルインも付き合いきれん……そろそろ終わりにさせてもらうぞ…!!」
「下らない支配者ごっこは終わりだよDr.バイル!!」
『クーックックックッ……下らんか……そうだろうとも、レプリロイドやレプリロイドもどきには…貴様らには理解出来まい。全ての物を支配するこの悦びは…人間にしか分からぬよ』
「はあ?」
「貴様が人間……だと?」
『そうとも!儂は、かつてルインがそうであったように、れっきとした人間だ。貴様らレプリロイドを生み出した…貴様らの創造主…人間様なのだよ!!』
「「………」」
『支配欲とでも言おうか…全ての物を意のままに動かす快感……これだけは、ゼロ、貴様のようなレプリロイドやルインのような人間を完全に捨てた元人間には分からん…人間様の頭脳が無ければ味わえん、究極の快楽だよ……貴様らには分かるまい…!!』
「ルインが元人間とはどういうことだ?」
ゼロから見ても人間臭いと感じるが、どこからどう見てもルインは人間には見えない。
『クーックックックッ…ルイン、お仲間に教えていなかったのか?それとも長い年月の経過で忘れていたのか?ルインは人間を素体にしたレプリロイドだ。優れた能力を持つ人間を素体にすることで人間の“成長”する力を持つ、正にエックスと同レベルの高性能なレプリロイドを生み出すことが出来る。理論上はな…その技術は儂にすら出来ん。一時期は“神の技術”とまで言われた程じゃ。百年前にDr.ケインの研究所跡にて、今は亡きDr.ケインの日記を発見してルインの記述を見た時、儂は柄にもなく興奮し、感動した。そのような素晴らしい技術があったなどとな。この興奮も貴様らには分かるまい?』
「そんな技術に興奮し、感動するなど先程の支配欲とやらも含めてまともな人間にも理解出来るとは思えんな。」
バイルの言葉を切り捨てるゼロ。
ルインが元人間であろうと、ルインが自分達の仲間として生きてきた日々には何の偽りもないのだから。
「因みに私をレプリロイドにした人はあなたみたいに頭のネジがかっ飛んでないから。寧ろいい人だよ…覚えてないけどね。私達にはあなたがただのイレギュラーにしか見えない。イレギュラーハンターとしてイレギュラーは狩るまでだよ」
『クーックックックッ…いいぞ!いい台詞だ…人形共!!さぞ、気持ち良かろう!!?』
オメガがこの部屋に転送され、ゼロとルインを見下ろす。
「オ…オオ…ゼ…ロ…!!ルイ…ン…!!」
「オメガ…!!」
オメガを見上げるルイン。
自分のエネルギー感知器に異常がなければ、エリアXー2で戦った時よりもエネルギー反応が増している。
『お前達は、楽しい奴らだったよ。いつまでも、一緒に遊んでいたいが……お前達二人にはそろそろ消えてもらうとするか。まだまだ、お楽しみも用意してある…最後まで楽しんでくれよゼロ!!ルイン!!』
オメガがエナジーソードを引き抜き、ゼロとルインもZセイバーとZXバスターを構えた。
「君もあの時より強いようだけど、私もあの時…エリアX-2で戦った時の私よりは、ちょっと強いよ?覚悟しなよオメガ!!」
「グオオオオッ!!」
オメガが光弾を放ってくる。
ゼロは宇宙戦で戦った時より速くなっていることに気付くが、これよりも速い攻撃を見てきたために、ゼロはシャドウダッシュで光弾をかわし、オメガの胴体にチャージセイバーを叩き込んだ。
「当たれっ!!」
チャージショットをオメガに炸裂させると、オメガのエナジーソードを持つ右腕が切り離され、凄まじい勢いで此方に迫る。
「チッ!バーストショット!!」
「これならどう!?十字手裏剣!!」
ゼロがバスターショットから火炎弾を放ち、火炎弾はオメガに着弾するのと同時に爆発を起こしてオメガに追加ダメージを与える。
そしてPXアーマーに換装したルインが繰り出した手裏剣がオメガの体を削っていく。
「グ…オオオオッ!!」
それでもオメガは堪えずに両腕を切り離して二人にリング状のビームを放つ。
どれも一度見た技であるため、どんなに速くなってもかわすのは容易であった。
「はああっ!!」
「てやあっ!!」
ダッシュとジャンプでかわしながらゼロとZXアーマーに換装したルインが距離を詰めてセイバーを振るい、オメガの両腕を斬り落とした。
「グ…オオ…ゼェ…ロォ…!ル…イィン…!!」
「ゼロを気を抜かないで、オメガは全力を出していない。」
「心配するな。奴がダークエルフを取り込んだ時点で簡単に倒せるとは思っていない」
世界を破滅に導きかけたダークエルフを取り込んだ相手がそう簡単に倒れるようならばきっと、妖精戦争の悲劇はもっとマシになっていただろう。
『クックック…中々やるのう、ゼロ、ルイン。だが、ルインの言う通り、オメガの本当の力はこんなもんではないぞ…。さあ、行けい!!オメガ!!ダークエルフの力を解放しろ!!』
「オ…ウオオオオオオオッ!!」
オメガが咆哮し、全身から光が放たれた。
光が収まった時には、オメガの姿が変わっていた。
より巨大で、より禍々しい姿で右肩がゼロを彷彿とさせる形状、左肩がエックスを彷彿とさせる形状であった。
オメガが左腕から巨大なショットが放たれる。
全く動かないところを見ると、ダークエルフの力の解放はまだ完璧ではないらしい。
「エネミーアナライジング!!!」
即座に換装してHXアーマーの解析能力を使い、弱点を探る。
こんな巨大なレプリロイドとまともにやり合えるはずがない。
ダークエルフの力を完全に引き出し終える前にケリをつける。
弱点を見つけ、解析結果をゼロへと送るとオメガの頭部からレーザーが放たれる。
「うわっ!?」
あまりの速さにレーザーが掠ってしまうが、しかしルインもやられてばかりではない。
オーバードライブを発動し、オメガに斬り掛かる。
弱点の頭部にダブルセイバーを叩き込んでやろうとしたが、しかしオメガは赤い紋章の中に三日月を象ったような弾を放ち、ルインを拘束する。
「しまった…!!」
このままでは格好の的だと、もがいて脱出しようとするが、それよりも先にオメガのバスターのエネルギーチャージが完了する。
「させるか!!」
ゼロがセイバーを拘束弾に向けて振るい、ルインを救出する。
バスターからショットが放たれたが、何とかギリギリで回避出来た。
「はあっ!!」
チャージセイバーをオメガの頭部に叩き込み、同時にエネルギーチャージを済ませていたバスターを構え、バーストショットを繰り出す。
放たれた火炎弾は頭部に着弾、爆発する。
「当たれ!!」
ルインもHXアーマーからZXアーマーに再換装すると、バスターからチャージショットを放った。
オメガも負けじと光弾を放ち、ルインは回避しようとするが、光弾は軌道を変えてこちらに迫る。
「え!?」
「ルイン!!」
咄嗟に割り込んでシールドブーメランを構えて、ルインを庇う。
しかし威力がありすぎて直撃は避けられたが、吹き飛ばされてしまい、段々とオメガの攻撃が激しくなり、ルインとゼロも傷を負い始める。
「このっ!!」
チャージセイバーを叩き込み、頭部の角辺りに罅を入れた。
それを見たゼロがリコイルロッドのチャージ攻撃を罅の入った箇所に叩き込み、更に罅を広げた。
「やるぞ、ルイン!!」
「OK、こっちはいつでも行けるよ!!」
バスターのエネルギーチャージを終えたルインとゼロはタイミングを合わせながらチャージショットを放った。
「「クロスチャージショット!!」」
合体した巨大なチャージショットがオメガの頭部の罅に吸い込まれるように炸裂した。
直撃を受けた頭部から火花が出て誘爆が起こり、オメガの巨体が大爆発を起こして辺りは閃光に飲まれた。
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