ソードアート・オンライン ~黒の剣士と神速の剣士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
SAO:アインクラッド
第31話 小さな少女
カゲヤside
サキと結婚して、あれから約1週間が経った。
ソファに座って寛いでいると隣にサキが座り言った。
「カゲヤ君、今日は何しようか?」
「そうだな……お隣さんの家にでも遊びに行くか」
「あ、いいね!そうしよう!」
キリト達の家に行くことに決まり俺とサキはキリト達の家に向かった。
お隣さんとは然程距離は離れてないためすぐに着いた。
ドアの前に立ちノックするとすぐに返事が返ってきた。
「は、はーい」
「カゲヤだ。サキと一緒に遊びに来たぞ」
「珍しいな、カゲヤが来るなんて」
「暇だったからな」
「そ、そうか……」
「………キリト」
「な、なんだ?」
「さっきから様子がおかしいぞ?」
「!?……そ、そんなことないぞ……」
キリトは俺から目を逸らしながら言う。
明らかに様子がおかしい。
怪しいな
見られたらまずいものでもあるのだろうか
ここは強行突破するか
「キリト、 19層のフィールドボスの名前は?」
「へ?え、えーと………」
「サキ!」
「うん!」
キリトは俺の出した問題を馬鹿正直に解こうと悩んでいる内にサキに合図する。
合図と同時にサキは飛び出し、キリトの脇をよぎり家の中へと入る。
「な、ちょっ、サキ!」
キリトは慌ててサキを追おうとするがその前にキリトの肩を掴み阻止する。
「観念するんだな、キリト」
そう言うとキリトは肩を落として深いため息を吐く。
そんなキリトを気にせずサキは中に入り扉を勢いよく開けた。
「やっほー!アスナ。遊びに…………」
「?どうし「キャー!!可愛い〜!!」……え?」
突然黙ったサキに声をかけた瞬間、サキは猛烈な勢いで部屋の中へと入ってった。というか突っ込んでいった。
数秒呆然とした後、キリトに家の中へ入らせてもらい部屋へと向かう。
「!?」
部屋に入った瞬間俺は驚愕した。
そこには、アスナ、サキ、そしてもう1人小さな少女がいた。
長い艶やかな黒髪に白くきめ細かい肌。
そして、顔立ちは日本人のものとは思えないほどだった。
だが、今重要なのは少女の外見ではなく何故ここにいるかだ。
「キリト、あの子どうしたんだ?」
「森で倒れてたから家まで運んだんだ」
おかしい……ユイがこんなところに居るはずがない。それにどうやってあそこから……
「どうしたんだ?カゲヤ」
「いや、なんでもない。それで、あの子どうするんだ?」
「ユイの保護者か兄弟、もしくは知ってる人間がいないかはじまりの街に探しに行こうと思う」
そんな人間はいない。何故ならユイはプログラムなのだから……
だが、俺はキリトには言えなかった。
「そうか、なら俺とサキも手伝おう。ちょうど暇だったからな」
「すまない、助かる」
「別に構わないさ。さて、そろそろ離してあげたらどうだ?サキ。嫌がってるぞ」
俺は正面を向くとユイを抱っこしているサキに向かって言う。
そこでようやく嫌がっているユイに気付いたのかサキは謝りながらユイを降ろした。
「そういえばこの子名前はなんていうの?」
「ユイちゃんって名前だよ」
「そっか、ユイちゃんか〜。私はサキだよ」
「さ……き」
「うん。それで向こうにいるのがカゲヤ君だよ」
サキは少しずれ俺を指しながらユイに紹介する。
「か……えあ」
「うーん、難しかったかな。言いやすい呼び方でいいよ」
サキがそう言うとユイは黙り込む。
そしてゆっくりと顔を上げ、サキの顔を見て言った。
「さきはねぇね。かえあはにぃに」
ユイの言葉を聞いた瞬間サキは満面の笑みを浮かべ歓喜の声を上げながら再びユイに抱きついた。
そんな光景を見ていると不意にキリトが口を開いた。
「ユイ、少しおかしいんだ」
「おかしい?」
「カーソルが出てない。それにシステムのバグなのかウインドウのトップ画面にはHPバーやレベル表示が存在しなかった。そしてウインドウの最上部には《Yui – MHCP001》という奇妙なネーム表示があった」
「そうか………あまり深入りはしないほうがいいぞ」
「どういうことだ?」
「お前達を見ていればわかる。ユイのことを本当の子どものように思っているんだろう?別れるのが辛くなるぞ」
言っている内に段々キリトの顔が苦悩に歪む。
「なるべく早く気持ちの整理をしておいたほうがいいぞ。何が起こるかわからないからな」
「ああ、わかってる」
「まぁ、今はお前達がユイの親だ。ちゃんと面倒みてやれよ」
「言われなくてもわかってるよ」
そう言うと俺とキリトは部屋の中へと入っていった。
ページ上へ戻る