戦国異伝
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第二百四十三話 信長の読みその二
「朝に来る」
「いつもそうですな」
「だからじゃ」
それで、というのだ。
「ここはじゃ」
「我等もですな」
「朝に起きてじゃ」
朝早く、その時にというのだ。
「そしてじゃ」
「迎え撃ちますな」
「来た織田信長の軍勢をじゃ」
まさにその彼等をというのだ。
「討つぞ」
「そうされますな」
「妖術でな」
まさにそれ使ってというのだ。
「倒すぞ」
「ここで、ですな」
「織田信長を何としてもじゃ」
その彼をというのだ。
「討ち取る、他の者達もな」
「妖術で」
「完全に滅ぼす、そして姫路にいる残った敵もじゃ」
その彼等もというのだ。
「一気にな」
「そこでも妖術を使って」
「そうしてですな」
「一気に攻め滅ぼす」
「そうしますな」
「そうじゃ、妖術を使ってじゃ」
また話すのだった、そうしてだった。
彼等はこの夜は酒を楽しんでいるだけだった。そうしつつ次の朝に戦をすることだけを考えていた。だが。
ここでだ、信長は軍勢を率いてその夜にだった。既に。
屋島に来ていた、だが。
魔界衆の軍勢は彼等には気付いていなかった、それでだった。
兵達にだ、こう言った。
「敵は飲んでおるな」
「その様ですな」
「何か賑やかに飲んでいます」
「明や南蛮の船も多いですが」
「どの船もですな」
「酒を飲んでいますな」
「賑やかな声が聞こえます」
実にというのだ、そしてだった。
その彼等を見てだ、彼等は信長に話した。
「上様、まさにです」
「今こそですな」
「鉄砲と大砲で撃ち」
「そしてですな」
「一斉射撃を浴びせ」
「一気に攻めますな」
「そうせよ、一気に攻めて屋島から追い出す」
その勢いで攻めるというのだ、そう告げてだった。
信長は酒を楽しむ魔界衆と彼等があちこちから集めたならず者達が酒を飲んでいるその隙にだ、鉄砲を構えさせてだった。
鉄甲船にも密かに大砲を構えさせてだった、そして。
一気にだ、その軍勢にだった。
鉄砲をだ、大砲をだった。
一斉に放たたせた、夜の屋島に忽ちのうちに轟音が鳴り響いてだった。その轟音と共に火も噴いてだった。
丘と船の上の魔界衆とならず者達の面々が次々とだった。
倒れていった、それで撃たれなかった者達は驚いてだった。
酒を飲みかけた手を止めてだ、こう言った。
「な、何じゃ!?」
「鉄砲か!?」
「大砲も来たぞ!」
「まさか織田家か!」
「織田家が攻めて来たのか!」
「夜にか!」
こう言うのだった、その攻撃を受けて。
それでだ、殆どの者が杯の酒を慌てて飲んでだった。自分達の得物を手にして戦おうとした。だがそこにだった。
「撃て!」
「撃て!」
信長は再び撃つ様に言ってだ、そこでだった。
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