戦国異伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百四十三話 信長の読みその三
もう一撃来た、それで再び多くの敵が撃たれ吹き飛ばされてだった。
信長はさらにだった、率いている者達に言った。
「一気に攻めよ!」
「鉄砲に弓矢で」
「それで」
「そうじゃ、今が攻め時じゃ」
まさにというのだ。
「鉄砲に弓矢、それに大砲とじゃ」
「敵に休む間を与えず」
「続けて攻めますか」
「そしてこの屋島から」
「一気に追い出しますか」
「そうじゃ、そのうえで徐々に間合いを詰めよ」
鉄砲や弓矢、大砲を放ちつつというのだ。
「そしてぎりぎりまでじゃ」
「槍や刀はですな」
「使いませぬな」
「切り込みはしませぬか」
「夜じゃ、同士討ちは避けよ」
だからだというのだ。
「それに斬る、突くもよいが」
「撃つのもですな」
「よいですな」
「音もある」
鉄砲や大砲のそれがというのだ。
「そうしたものを使って攻めればよい」
「ですな、では」
「こうしてですな」
「間合いを取りつつ攻め」
「奴等に妖術を使わせる隙を与えず」
「攻めていきましょう」
こうしてだった、信長は闇夜の中敵を鉄砲や大砲、弓矢で攻め続けた。そうして魔界衆の軍勢を撃ち続けていた。
その状況を受けてだ、魔界衆の軍勢は総崩れとなった。ならず者達は我先に逃げ出そうとしていた、それを見てだった。
老人は周りにだ、すぐにこう告げた。
「一人も逃すな」
「はい、術をかけます」
「これより」
すぐにだ、十一家の者達が応えて印を結び術を使った。そうして何とかならず者達をつなぎ止めてだった。
何とか総崩れから立ち直った、だが。
「御前、どうやらです」
「織田家の奇襲です」
「鉄砲と大砲、それに弓矢で攻めてきます」
「丘でも海でもです」
「休む間もなくです」
「これではです」
「うむ、術を使うどころではないな」
老人も言った、彼等の乗っている船にも鉄砲の弾が来て闇の具足を着た足軽が海に落ちてそのまま沈む。矢も次からつぎに来る。
傍の船が砲弾を受けて闇夜の中に悲鳴と共に沈んでいく。その有様を見てだった。
老人もだ、苦い声で言った。
「ここは仕方がない」
「退きますか」
「ここは」
「次じゃ」
こう言うのだった。
「次の戦に向かうぞ」
「畏まりました」
「ではこれより」
「兵を退け」
「そして下がりましょうぞ」
「丘にいる者達は全て船に収めよ」
老人はこう言うのも忘れなかった。
「傀儡だけ置いてな」
「はい、わかりました」
「では傀儡を足止めに置いてです」
「我等の同胞は収めます」
「一人残らず」
「明や南蛮、南のならず者達もじゃ」
老人は彼等もと言った。
ページ上へ戻る