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戦国異伝

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第二百四十一話 二度目の戦その十

「安心して攻められる」
「では」
「さて、まずはその大坂城に入りじゃ」
「そこから姫路城に向かい」
「そこから屋島に行くぞ」
「では」
 こうしたことを話してだった、信長は安土から都、そこから大坂に入った。民達はその軍勢を見て喝采を送った。
「おお上様が行かれるぞ」
「天下の為に戦って下さるか」
「有り難いことじゃ」
「では今度の戦も頑張って欲しいな」
「全くじゃ」
「また勝たれるぞ」
「確実にな」
 こうしたことを話してだった、そのうえで。
 馬に乗る信長を有り難い目で見る、信長はその彼等にも笑顔で言うのだった。
「もうすぐ御主達の望んでおった世になるぞ」
「天下泰平のですか」
「その世になるのですな」
「完全に」
「そうじゃ、楽しみにしていよ」
 こう言うのだった。
「もうすぐじゃからな」
「はい、では」
「楽しみにしております」
「上様が作られる天下泰平」
「そうしております」
「ではな」
 こう彼等にも言ってだった、信長は大坂城にも入り自ら兵糧や具足の数、それに銭も見た。そうして言うのだった。
「うむ、これだけあればな」
「充分ですな」
「何度も戦える」
 こう丹羽にも答えた。
「勘十郎が用意してくれたか」
「はい、万事に備えて」
「流石じゃな」
 信行の方も見て言うのだった。
「よくやってくれた」
「それ程でも」
 信行は兄の言葉に謙遜で返した。
「何かあった時にと思っていまして」
「それでか」
「はい、備えていただけで」
「その備えがじゃ」
 それ自体がというのだ。
「よいのじゃ」
「備えがあればですか」
「いざという時に動ける」
 戦もというのだ。
「だから言うのじゃ」
「そうですか」
「うむ、ではな」
「この兵糧と武具で」
「あの連中がどれだけ粘ろうともな」
「戦いまするな」
「そうする、では行くぞ」
 こう信行にも言うのだった。
「屋島まで」
「さすれば」
「御主はあ奴を討ちたいな」
「あの津々木はです」
 その彼はとだ、信行は兄に確かな顔出答えた。
「やはり」
「そうじゃな、御主としてはな」
「不覚を取りました、それをこれまで恥としてきましたが」
「その恥を注ぐな」
「必ず」
「そうせよ、ただ御主は戦についてはじゃ」
 それはというのだ。
「得意ではありませんので」
「それでじゃな」
「あの者はこの手で討ちたいですが」
「軍勢の采配は預けぬ」
 一軍のそれもというのだ。 
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