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戦国異伝

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第二百四十一話 二度目の戦その九

「しかし」
「それ自体はじゃったな」
「武将のそれと比べますと」
「素人であったな」
「左様でした」
 そうだったとだ、滝川も彼等との戦を思い出しつつ答えた。
「鉄砲が多く武具もよかったですが」
「それでもじゃな」
「はい、しかし」
 それでもとだ、また答えた滝川だった。
「采配自体は素人でした」
「傀儡は所詮傀儡でな」
「数が多かっただけでした」
 あくまで、というのだ。
「所詮は」
「では」
「うむ、あの者達は戦をしてもじゃ」
「素人でしかありませぬな」
「烏合の衆じゃ」
 信長も言う。
「勝てるわ」
「では」
「攻めるぞ」
 また言った信長だった。
「軍勢をな」
「畏まりました」
「しかし、明や南蛮の船が多いとなると」
 羽柴も言って来た。
「次の戦はやはり」
「海での戦もな」
「激しいものになりますな」
「そうなるであろう、屋島の戦はじゃ」
 源平のそれの戦のこともだ、信長は言った。
「陸で勝ったがな」
「平家の船が多く」
「源平の船が多ければじゃ」
 その時はというのだ。
「海での戦になっていたやも知れぬ」
「では」
「だから二郎の水軍を津から堺まで向かわせてじゃ」
 そしてというのだ。
「瀬戸内の水軍もな」
「堺に集めたのですな」
「そして攻める」
「海においても」
「どちらでも勝つ」
 陸でも海でもというのだ。
「そうしてやるわ」
「最初からそのおつもりでしたか」
「そうなのじゃ、屋島でかたがつかずとも」
 それでもというのだ。
「あの者達は徹底的に破るぞ」
「上様、兵糧や武具ですが」
 丹羽は信長のすぐ左後ろにいた、主のそこに。
「大坂城に集めております」
「四十万の軍勢が何度も戦えるだけのものがじゃな」
「集まっております、そして」
「姫路城にもじゃな」
「兵糧や武具を集めております」
 この城にもというのだ。
「ですから」
「飯等の心配もないな」
「左様です」
 まさにというのだ。
「ご安心下さい」
「思う存分戦えるな、それではな」
 信長はあえて言った、自分から。
「屋島で負けてもな」
「万が一に」
「そうなっても大丈夫じゃな」
「後ろに姫路城、大坂城があります故」
 その二つの城がというのだ。
「何とでもなります」
「備えも万全じゃな」
「左様ですな」
「抜かりはない」
 何もかもがとだ、信長は丹羽の話も聞いて言った。 
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