歌集｢春雪花｣

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　冬の間の

　　寒さ和らぐ

　　　ひとときに

　想い揺蕩う

　　　淡き日溜まり

　長く寒い冬…いつまでも続くと思しき冬の合間に､ほんの一時…陽射しのさす暖かい日和…｡

　あぁ…冬が来れば春は必ずくるものだと思えるものだ…｡

　そんなささやかな日溜まりの中､温かな日の光に想うことは…遠い彼のことだけ…｡

　想いても

　　月影もなく

　　　　星もなく

　わが身侘しき

　　　夜も更けにける

　どれだけ想おうと､この夜の空の様に…月も星も見えない空の様に…彼と在れる未来など来はしない…｡

　倍も歳も離れた彼を想うなど…あってはならないことなのだ…｡

　老いてゆくこの身を恨めしく思い…この世界を虚しく思い…｡どうすればこの侘しさから抜け出せるのだろう…｡

　何も見えない深淵の闇…淋しさと哀しみ…彼への恋しさがこだまするだけ…｡

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