機動戦士ガンダム0091宇宙の念
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宇宙編
月決戦編
第23話 反逆の宇宙2
真っ黒い布にばら撒かれたラメの様に煌めく星屑達。この見慣れた光景を目にするのは何度目だろう。
「アイラ、どうだ?」
「まだ機影はない…けどプレッシャーはどんどん強くなってるみたい…」
さっきから伝わってくる波動の様な威圧感。
それに、どこか感じたことのある様な気配。
「フーバー‼︎見つけた!微かだけど、この先に移動する熱源反応がある‼︎」
「よし、行くぞ‼︎」
二機が蒼い尾を引いて駆け出す。
「ジゼル、フェイズワンは完了した、フェイズツーに移行する」
フィンドラに繋がれた通信機に作戦の続行を告げる。
「了解しました、無事に帰還を待っています」
言葉を聞いて、機体を180°回転させ、来た宇宙を引き返す。
「さて、〝削り″に行くか」
機体のスロットルを全開にし、一筋の光の様に飛んでいく。
その巨大な質量の塊は、人の思念を宿して宇宙に溶けていく。
暗闇を浴びる最中、突如モニターの警報が鳴り響き、ヘルメット越しに耳を劈く。
「敵機…二機のMSか。そろそろ残弾も危ういな…」
意識を警報の先に向け、敵の位置を探る。
「そこか‼︎」
ビームの一閃が闇とデブリを貫き、二機の敵機の姿を捕捉する。
しかし、直後グレイブが感じたのは驚愕と躊躇い、そしてそれに対する憤慨だった。
「バウとザクの二機、恐らく彼奴らだな」
いつか戦うことは知りながら、いざとなると自分の信念すら動かしかねない2人の存在に、グレイブは自らを奮い立たせた。
同刻。不意を突かれ、目前の敵機を見て一瞬の沈黙が起きたのはフーバー達も同じだった。唯一の違いを上げるとすれば、それは心構えの差からくる対応への移行速度だった。
「あ…あれ」
「嘘…」
2人の身体に、様々な感情が駆け巡る。
驚愕、困惑、焦り
しかし、二射目の閃光を見て、本能が目前のMSを完全に敵と認識した。
「っっ‼︎‼︎間一髪‼︎」
完全にこちらを狙ってライフルを放ってきた。
「アイラ離れろ‼︎」
フーバーの呼びかけで咄嗟に二機が分かれる
「よう、フーバー」
聞き慣れた声、よく知った気配、このプレッシャーは間違いない、グレイブ教官だ。
「何故⁉︎裏切るような真似を‼︎」
ドーベン・ウルフを追いかける形で追従する二機。
「さっきも言ったがなぁ、俺は元々この革命という名のテロに加担した覚えはない‼︎」
身を翻すドーベン・ウルフに対し、ギリギリの所でシールドが間に合い、二機が弾き合い後方へ飛ぶ。
「どうして⁉︎教官はジオン軍人ではないのですか⁉︎」
今度はアイラのザクが、ライフルを向ける。
「そうだとも。しかしなぁ、大局的に物を見てから考えろ‼︎」
コクピットに蹴りを入れ、ライフルをザクに突きつけるドーベン・ウルフ。
「お前らはなんのために戦う?」
ドーベン・ウルフが動きを止めたのと同時に、フーバーは言葉を失う。
「俺は、この戦いを終わらせる。もう人が戦って死ぬのはたくさんだ‼︎」
「そんな…無茶です‼︎」
「無茶かどうか、俺を倒して考えろ」
混乱極める宇宙をよそに、月では既に迎撃の準備が整いつつあった…
後書き
次回へ続きます!
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