機動戦士ガンダム0091宇宙の念
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宇宙編
月決戦編
第22話 反逆の宇宙
前書き
ジン・フィリップ
地球連邦宇宙軍のMSパイロット。
ラーディッシュ配属の為ルシオン達とは仲が良い。特にフランとは馬が合う。
乗機はジムIII。コールサインはセイレーン2
デルタガンダム二式
ラーディッシュにて百式と専用パーツで修復されたデルタガンダム。修復と同時に他の機体とのパーツ共有率を高めるためのアップデートも行われている。フランプール・ミース少尉のカスタムメイド機。
ジェットストリームアタック
かつて公国軍の黒い三連星こと、ガイア大尉、オルテガ中尉、マッシュ中尉により編み出された宇宙における陣形戦術。三機が一列に並び、直前に分かれることで奇襲をかける。被弾面積を減らすメリットもあるため、宇宙でのMSの基礎戦法の一つでもある。
「ひゅー!」
修復された愛機をみて、フランは歓喜の声を上げた。
「タダでさえ金色で派手なのに、ますますだな」
「ま、それも俺の技量あっての…ということでよろしいのかなぁ?」
嫌味なスケベ笑いを浮かべる彼。
しかし、機体共々完全復活した彼を見て、ルシオンは安心していた。
「しかし連邦もやるよなぁ。専用強化パーツとパーツ取り用の百式を丸々一機だぜ?」
「ああ、これでこっちの戦力も万全だな」
背部から翼のように大きく突き出した二つの大型バーニアや、リアアーマーのスタビライザーが見る者にまるで不死鳥のようなイメージを与える。
「なぁ、ルシオン」
珍しく真剣な口調で話しかけてきたフランに、一瞬不意を突かれた。
「うん?」
「月での戦いが終わったら、お前どうする?」
「どうするって…変わらないよ。この地球を守る為に戦うさ」
少し臭かったか、と思ったが、自分を鼓舞したつもりでかき消した。
「そうか…そうだよな。軍人だもんな、俺たち」
フランは何を聞きたかったのだろう。
そんな気持ちが頭をよぎり、何故だかあの懐中時計のことを思い出した。
「腹が減った。行こう」
ブリーフィングルームの先、食堂に続く通路に指を指す。
「珍しいじゃねぇか、ルシオンから誘うなんて」
それはお互い様だ、と心でそっと呟いた。
MSデッキの床を強く蹴り上げ、宙に身を任せた二人は、覚悟の目を光らせていた。
グワンバン級ブリッジ
「高熱原体接近!数は1、MSと思われます」
艦隊編成中に飛び込んできた一機のMS。
「データ照合急げ!総員戦闘配置に着いて、直掩のMSは迎撃に当たれ!」
「データ照合、粒子濃度が高くて出来ません!」
「まぁいい」
どうせたったの一機。
そう考えていた。
「敵機か。ジャック!後方の指揮は任せる。ヘンリー、アベルは私に続け、迎撃に当たる」
「了解!」
颯爽と三機のMSが宇宙を駆ける。
「メイソン少佐、敵は一機です。ジェットストリームアタックをかけましょう」
「いや、油断するな。散開して囲んでから確実に仕留めるぞ、いいな!」
普段通り、確実に。
「了解です」
大きめのデブリから三機が飛び出す。
しかし目前のMSに、場は一瞬沈黙した。
「来たか、シャドウハウンド隊…」
目前に居座るのは味方のドーベン・ウルフだった。
「な、なんだぁ…脅かさないでくださいよ。グレイブ少佐じゃあ…」
その言葉が終わる前に、閃光と爆風が駆け抜け、一機が爆散した。
「⁉︎なんだ!」
状況が掴めず、ふらつく灰色のガルスjをドーベン・ウルフが貫いた。
「くっ、こいつ‼︎」
間一髪上に逃げたザクIIIを、ビームライフルで狙撃する。
「フン、やるな」
「何故撃つ⁉︎貴様、裏切るつもりか!」
「裏切る?元々俺はあんたらを信用してなんかいない。悪いが死んでくれ」
「ちっ、くそったれ‼︎」
ビームの雨をかいくぐり、懐に飛び込むザクIII。
袈裟斬りで押さえ込もうとする力を、軽く逆手で弾く。
「なんて出力だ…グワンバン、聞こえるか⁉︎フィンドラに砲撃をしろ、奴らは敵だ!」
距離を置く間も無く、一転攻勢に入るドーベン・ウルフ。
「しかし、機動性ならば‼︎」
身を翻し、AMBACを効かせて素早く立ち回るザクIII。
「小賢しい真似を…墜ちろ‼︎」
ドーベン・ウルフのライフルが腹部に接続され、巨大な粒子砲と化す。
「っっ‼︎まさか‼︎」
放たれた極太の粒子がザクIIIの右半身を吹き飛ばし、後方のデブリをも焼き尽くした。
「くっ、墜とされる…!」
覚悟を決めたその時、後方よりミサイルの雨が降り注いだ。
「隊長‼︎」
「ジャックか…」
ずんぐりとしたフォルムに突き出たブースター。
後方より馳せ参じたズサによる弾幕は、全弾目前の敵機に迫っていく。
「くっ、退き時か…」
デブリを盾にし、後退するドーベン・ウルフ。
誘爆の光で視界は消え、開けた時にはすでに機影はなかった。
「逃げられたか…」
「いえ、グワンバンの砲撃が始まります、退きましょう!」
グワンバンMSデッキ
モニター越しに彼女の顔を伺う。
「なぁ、アイラ。一機で仕掛けてきた敵機、何者だと思う?」
「爆発の光は三回だった、だから恐らくシャドウハウンド隊の誰かがやられたってこと…余程の手練れね」
「そう思うか。俺もだ、このプレッシャーは…」
二機がカタパルトに向かってゆっくりと歩く。
そういえば、アイラと出撃するのも久々だ。
「フランクリン・フーバー、行きます‼︎」
「アイラ・シュタイン、出撃します」
二機のMSが宇宙を駆け、爆発の光の行方へと向かう。
これから起こる絶望も知らずに…
後書き
更新が遅れてしまい誠に申し訳ございません。次回より元のペースに戻って投稿できると思うのでこれからもよろしくお願い申し上げます。
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