ソードアート・オンライン 〜アサシンとなった少年〜
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その日、少年は再び孤独となる
「!?」
アルズは、平原で目覚める。
「ここは.....どこだ.....?」
立ち上がり、メニューを開くと、なぜかノイズがかかったウィンドウが現れる。
タッチしてもなんの反応もない。
装備はフードまでちゃんとついている。
腰には左右に刀と短刀がある。
「・・・」
アルズは辺りを見回す。すると___
「!?」
1人の少女が立っていた。
しかし、その姿にアルズは驚きを隠しきれない。
「嘘....だろ....?」
「久しぶり、アルズ君」
そう言い、赤いローブにフードを軽く被った少女は微笑んだ。
「ユウ......?」
夢であって欲しくない。
そんな想いが、アルズの心を蝕む。
「どうしてここに.......」
「アルズ君の.....せいだよ?」
「......どういう......?」
すると、その少女____ユウは、クナイらしき武器を取り出した。
「復讐って言ってるけど....ただの罪滅ぼしだよね?」
「ッ!」
アルズは動揺する。
そうなのか?
いや、これは復讐だ。
ユウを殺した彼奴らへの.....
そうだ、ユウは死んだんだ。
_____だとしたら、今目の前にいるのは.....?
ユウはもう一本クナイを取り出し、アルズに向かって歩いてくる。
「!?」
突然、ユウが急接近し、クナイでアルズを斬り裂こうとした。
アルズはそれを反射的に避ける。
両手には、無意識の内に抜刀された武器が握られていた。
「私を....殺せるの?」
「グッ......」
アルズはその言葉に怯む。
「クッ.......無理......だ......」
アルズは武器を落とした。
すると____
「!?」
ユウが高く舞い、クナイをアルズに突き付けようとしていた。
「グッ」
アルズは直ぐに反応出来ず、ユウにマウントを取られる。
咄嗟にクナイを止めたが、そのクナイの真下には、アルズの喉がある。
「ユウ.....!!」
「アルズ君のせいだよ?あなたのせいで.....私は死んだの.....」
最後に笑い声が聴こえ、アルズの視界は真っ暗になった。
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「ユウ......」
そんな言葉と共に、アルズは宿のベッドの上で目覚める。
大量の汗をかき、涙を流していた。
「ユウ.....?」
「ア、アルズさん!?大丈夫ですか?!は、入りますよ!?」
扉の外で、シリカが叫ぶ。
バタッ
勢い良く扉が開き、シリカが入ってきた。
「ア、アルズさん....よかった......」
「?」
シリカは座り込む。
「いきなり、ユウって言って苦しそうな声を上げだしたから......」
「......大丈夫だ......いこう.....」
ユウ......
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アルズ達は、転移門を使用して、目的地に到着した。
「わぁー」
シリカは目の前に広がる大量の花を見て驚く。
「この辺りは、フラワーガーデンと呼ばれていて、フロア全体に花がある。」
説明していると、シリカは花の方へ駆け寄っていった。
「・・・」
あの夢......一体.....なんだったんだ.....?
ユウに殺される....か。
もし、俺の所為であると向こうが本気で思っているのなら、それでもいい。
ユウに殺されるならば別になんとも思わない。
「・・・」
アルズは、シリカの元へ歩み寄る。
「シリカ?」
「ふぇっ!?は、はい!」
驚いた様子でシリカは立ち上がる
「?どうした?」
「い、いえ大丈夫です。」
「行こうか」
「は.....はい.....」
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「ここを進めば、思い出の丘だ。」
目の前の橋を見て、アルズはそう言う。
一応、転移結晶を渡すべきだろうか?
いや、大丈夫か......
・・・
大丈夫だろう。
アルズ達は歩き出した。
「そういえば、アルズさぁぁぁ!?」
「!?」
アルズは刀に手をかける。
すると、シリカがモンスターに捕まっていた。
逆さに吊り下げられている。
「アルズさん!た、助けてください!!見ずに!」
「.......どうしろと.....」
「この!いい加減に!しなさい!!」
シリカは触手を一本斬り落とす。
「ハァァァァァ!!」
そのまま垂直落下し、モンスターに短剣を突き立てた。
そいつは直ぐに蒼白いガラス片へと変わる。
「みま.....したか?」
シリカはスカートを抑えながら聞く。
「見て....ない。」
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「!」
アルズはシリカの足下にアサシネートナイフを投げる。
「ひっ!?ア、アルズさ____」
「ギャアアア」
すると、後方からシリカを狙っていたモンスターが悲鳴を上げる。
「じゃあな。」
アルズはもう一本ナイフを投擲し、そいつを倒した。
「あ、ありがとうございます.....」
「行こうか....」
「は、はい。」
中々面倒だな。
暫く歩いていると、またモンスターが出現した。
「ふぅ.....」
二本の首のような物で攻撃をはかってくる。
先には、鋭い牙の生えそろった頭がついていた。
アルズは二つの武器の柄でそいつらを殴り、怯ませる。
そして納刀し____
「どうぞ。」
「へ?」
「早く早く。」
「は、はい!!」
シリカは怯んでいるモンスターを倒した。
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その後シリカのレベルアップも手伝いながら進んでいくと、最深部らしき場所に着いた。
奥の道は途切れ、一つの台座がある。
「ここに花が?」
「ああ、多分あれだろうな。」
そう言い、アルズはその台座を指す。
するとシリカはその台座まで駆け寄っていった。
すると、台座から白い一輪の花が咲く。
「わぁ.....」
「手にとって見てくれ。」
シリカは言われるがままその花をとる。
すると【プネウマの花】というウィンドウが出てきた。
「これで.....ピナを蘇らせれるんですね?」
「ああ、可能だ。だが、ここじゃ危険だし、蘇生は街に戻ってからな。」
「は、はい!」
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最初の橋の辺りまでくると、アルズは歩を止める。
「そこの奴、出てこいよ?」
「アルズさん?」
アルズがそう言うと、木の陰から1人の女性が現れた。
「ロ、ロザリアさん!?」
「あたしのハイディングを見破るなんて、中々高い索敵スキルね。剣士さん。」
あの時の赤毛の女だ。
「その様子だと、プネウマの花を手に入れたみたいね。おめでとう。さ、その花を渡してちょうだい。」
「な、なにを言っているんですか!?」
ロザリアは近ずいてくる。
「残念だが、それは出来ないな。タイタンズハンドの大将さん。」
「ヘェ〜......」
「で、でもロザリアさんはグリーン.....」
「簡単だよ。グリーンがオレンジのところまで誘い込んでそのままグサリ。昨夜、お前の仲間に聞かせた話は参考になったか?」
「じゃ、じゃあこの2週間一緒に行動していたのは.....」
「そうよ、戦力を確認して冒険でお金が貯まるのを待っていたの。」
そう言い、ロザリアは舌舐めずりをする。
「一番楽しみにしていた獲物のあんたが抜けちゃったのは残念だったけど、レアアイテムを取りに行くって言うじゃない。____でも、そこまでわかっておいて一緒にいたなんて馬鹿?それとも、本当にたらしこまれちゃったの?」
「フッ.....」
アルズは笑う。
「な、なによ。」
ロザリアはアルズに槍を構える。
「ここで即刻死刑、抹殺してもいいが、うちの依頼者は牢獄に打ち込めっていうからな.....よかったな?優しい依頼者で。」
「なんの話?」
「お前ら、この前シルバーフラグスって言うギルドを襲っただろう?リーダー以外の全員殺された。」
「ああ、あの貧乏な連中ね。まさか、敵討ちでもしにきたの?」
「いや、殺す気は無い。俺の依頼主___シルバーフラグスのリーダーは、お前達を牢獄に打ち込んでくれって言ってたからな。
で、更生の余地があるか試してみようと思う。____仲間が全員殺され、それでも尚殺さず、牢獄に入れてくれと頼んできたあいつの気持ちが、お前らにわかるか?」
ロザリアは不敵に笑う。
「分かる訳ないじゃない?マジになっちゃって。バカみたい。それより、自分達の心配をしたらどう?」
「更生の余地ゼロか......」
ロザリアは指を鳴らす。
すると、数人の男達が木の陰から出てきた。
「ア、アルズさん!人数が多すぎます!」
「大丈夫だ。そこで見ていてくれ。」
アルズはフードを深くかぶり、二本の剣を抜刀して歩き出す。
「ん?全身紫黒色の服にフード....そして二つの剣......ロ、ロザリアさん、こいつ攻略組の奴を圧倒したあの!」
「馬鹿ねえ!そんなのがこんな所にいるわけないじゃない!とっとと始末して、身ぐるみ剥いじゃいな!」
「「「「てやぁぁぁぁぁ!!」」」」
一斉にソードスキル発動させてアルズに走りこんでくる。
「グフッ」
アルズは前方の一人の腹に蹴りをいれ____
「ガハッ」
そのまま回し蹴りで二人目を飛ばし、三人目の剣を弾いてまた蹴りを入れる。
そして、四人目の武器を思いっきり斬って破壊した。
そのまま全員の攻撃を受け流し続ける。
「「「ハァ.....ハァ.....」」」
「あんた達!なにやってんの早くやっちまいな!」
「つ.....強え......」
「ハァ.....そろそろ飽きてきたな。」
アルズは武器を納刀する。
「斬りにかかってこいよ?面倒だ。」
「なめやがって!!!」
7人の男はアルズを斬り続ける。
しかし、HP回復量が総量ダメージを上回っている為、HPは一向に減らない。
「大体、10秒あたりに400ってところか.....」
そう呟くと、攻撃が止む。
「俺のレベルは72。HPは11100。バトルヒーリングスキルによる自動回復量が、10秒に500ある。何年かかってもお前達に俺は殺せない。」
「そ.....そんなの.....」
「ああ、ありだ。」
「クッ......」
アルズは回廊結晶を取り出す。
「これは回廊結晶という物だ。出口は監獄エリアに設定してある。全員、これで監獄にとんでもらう!」
「クッ!グ、グリーンの私をあなたが傷つけたr____」
「わかってないな?」
アルズはメニューを開き、操作する。
そして恐ろしい速度でロザリアの所まで向かう。
そして首に刀剣を突き付け、左手の甲をみせた。
「なっ!?」
「これがなんだかわかるな?」
俺の左腕の甲には、ラフコフの入れ墨が入ってある。
「ラフィン.....コフィン.....」
「ああ.....つまり.....」
アルズは耳元で囁く。
「俺は人を殺す事になんの躊躇いもない。」
「ヒッ.....」
ロザリアは尻餅をつく。
「ラフィン......コフィン......嘘ですよね......?」
「怖いか?俺が?怖いよなぁ。だって死の恐ろしさを何一つ感じずに人を殺してきたんだもんな?」
「こ.....殺さないで......」
アルズはニヤリと笑う。
そしてフードを外し____
「じゃあ飛べ。」
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「アルズ.....さん......?」
「......今まで黙っていて悪かった。俺はラフコフだ。アサシン、だなんて呼ばれているな。」
アルズはスモークグレネードを出す。
「う、嘘です!」
シリカが涙ながらに訴えるが____
「いいや、残念だがこれが現実だ。」
「そ.....そんな.....」
「......悪かったな......もう、会うことは無いだろう。」
アルズは煙幕をそのまま足下に投げ、インヴィジティブルを発動させながらその場を離れた。
「また......か。」
後書き
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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