ソードアート・オンライン 〜アサシンとなった少年〜
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その日、月照る荒野で紅き武士と紫黒の暗殺者は剣を交える
「来い!」
クラインがそう言うと同時に、アルズは一気に距離を詰める。
そして、縦の斬撃を浴びせた。
「グウッ!」
当然、クラインはそれを防御する。
【暗殺剣】は直接戦闘用のソードスキルが殆どない。
故に、純粋な剣術のみを極限まで鍛え上げられたアルズ相手に、1層からここに至るまで、ソードスキルを交えた戦闘を行ってきたクラインは不利になる。
しかし____
「食らいやがれっ!!」
クラインの刀が光りだし、そのまま三連撃の強烈な攻撃を繰り出した。
アルズはそれを苦戦しながらも受け流す。
そしてソードスキルの硬直時間内に攻撃しようとしたその時___
「まだまだぁっ!!」
再びクラインの刀が光り始めたのだ。
クラインがアルズに勝るものそれは____ソードスキルの経験である。
ソードスキルは使用後、硬直時間がある。
その硬直時間を身体で覚えているクラインが、ソードスキルでは勝っていると言えよう。
故に____
「クッ!!」
アルズは来た斬撃を受け流す。
しかし、それはフェイントであり、下段より、斬撃が来るのが見えた。
「なっ!?」
アルズはそれをギリギリで躱すが、胸を少し掠め、HPバーが削られた。
刀のソードスキル、【幻月】だ。
「やるな......」
「こちとらギルド風林火山の頭張ってんでな!」
そういい、クラインは再びアルズへ刀を向ける。
「そうか.......では俺も、殺人ギルドラフィンコフィンの暗殺者として、それに相応しい剣術を見せよう。__暗殺者が暗殺しか出来ないと思ったら大間違いだぞ?」
「そりゃあおもしれぇ!!」
「おーいアルズさんよー、まだかー?」
「るっせえな、少し黙れ。」
「へいへい、さっきから黙ってますよぉだ。」
彼奴の眉間にナイフを投げたい。
「行くぞ!」
アルズは一気に距離を詰める。
ソードスキルなどいらない。
今まで通り、純粋な剣術だけで切り抜ければいい。
例えば____
アルズは横に刀を振るう。
クラインがそれを受け流そうとした時だった。
「なっ!?」
____上段より斬りかかっていたアルズの刀は、クラインの視界の隅で、下段より斬撃を死にかかっていた。
「グウッ!!」
クラインはそれをモロに食らう。
「便利だろう?硬直もCTも無い。」
「おいおいまじかよ......」
「おぉー流石アサシン様、早く終わらせてくれ。」
「わーってるよ。」
アルズは刀をクラインに構える。
「こいよ日本の武士。東洋の暗殺者を斬ってみろ。」
「なめんじゃねえぞ!!」
クラインはソードスキルで斬りにかかる。
「てぇっ!!!」
「アサシンは___」
アルズはそれを右へ受け流し___
「こう戦う。」
そのまま時計回りに回転し、後ろ蹴りでクラインの背中を蹴った。
「なっ!てめえ卑怯だぞ!!」
「残念だが俺はサムライじゃない。アサシンだ。」
「てりゃあっ!!」
クラインの刀が光り、再びソードスキルが使用される。
「舐めるなよ!」
アルズも全く同じスキル、【辻風】を使用して、相殺した。
硬直が解けると同時にクラインは斬りにかかる。
それを予想していたアルズはしゃがんで斬撃を避け、クラインの背中を斬った。
「グハッ」
「これで終わりだ!」
そのまま【緋扇】でクラインに止めの一撃を与えようとするが____
「とどけぇっ!!!」
カキンッ
アルズの刀は、真っ黒な一本の剣に弾かれる。
アルズは慌てて次の攻撃を警戒し、距離を取る。
「間に合った.....か.....」
「!?」
アルズは目の前に立つ、クラインを助けたプレイヤーを見て驚く。
女性のような顔付きに黒い髪と黒いコート、そして盾なし片手用直剣。
「おいおいマジかよ、大将、あれ黒の剣士様だぜ。どうするよ?」
「キリト.......」
「もうじき攻略組も駆け付ける。このまま戦闘を続けるか?」
「........退せてもらう。」
アルズはアイテムの煙幕を地面に投げ、そのまま逃げた。
「逃すか!」
回復を終えたクラインが追おうと試みるが、キリトに阻まれる。
「よせ。」
「キリト.......ありがとな。」
キリト.......俺は......俺は貴方だけは殺せない......
貴方は......俺に復讐の機会を与えてくれたのだから_____
後書き
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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