戦国異伝
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第二百三十九話 伊賀攻めその七
「史記だと太公望もな」
「でしたな」
「張良も学んでおった」
漢の高祖劉邦の軍師だった彼もというのだ。
「あの者は使っておったかどうかは知らぬが」
「それでもですな」
「学んでおった、しかし三国演義も水滸伝も小説じゃ」
つまり物語だというのだ。
「西遊記や平妖伝は余計にそうじゃ」
「だから実際の妖術とはですな」
「違う、演義には妖術を破る話もあるが」
黄巾賊の首領張角の弟張梁を使う妖術を破っている話だ、劉備がそうしている場面は演義の中でも有名である。
「しかしな」
「しかしですな」
「うむ、実際の妖術にどうするか」
それはだった。
「わしは何も知らぬ」
「では魔界衆の妖術には」
「実はここで使われても数で破るつもりだった」
その軍勢の数でだ。
「攻めるつもりだった」
「そうじゃ、しかしな」
「それでもですな」
「うむ、攻めるつもりだった」
まさにというのだ。
「そうするつもりだったが」
「それでもですな」
「今思うと軽率だった」
信長は目を顰めさせて黒田に述べた。
「ここではあの者達は逃げた様じゃがな」
「ですが次は」
「次の戦ではですな」
「その妖術を使って来る」
「だからですな」
「ここはどうして防ぐか」
「その妖術を」
信忠、信行達も軍師達も信長に口々に言った。
「それが大事ですな」
「一体どうすべきか」
「あの者達が使う妖術をどう破るか」
「それが肝要ですな」
「さて、天下で妖術に強い者は」
ここでもだ、信長は妖術も仙術も一緒にしていた。もっと言えば陰陽道やそうしたものも一緒にしている。
「誰かおるか」
「では朝廷のです」
「安倍氏や賀茂氏にですか」
「聞いてみるか、陰陽道を使う」
「そうされますか」
「うむ、そうしてみるか」
こう平手に応えたのだった。
「やはりな」
「ですがまだ足りませぬな」
すぐにだ、平手は信長にこうも言った。
「あの者達の妖術を破るには」
「そう思う、果たしてどうするか」
信長はまた言った。
「それをな」
「突き詰めますか」
「奴等はまた出て来る」
その魔界衆の者達はというのだ。
「それもすぐにな」
「では時間がありませぬな」
「奴等の妖術を破るその方法を見極める方法は」
「それは」
「急がねばなりませぬな」
「うむ、知っている者は名乗り出よ」
それこそ誰でもというのだ。
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