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戦国異伝

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第二百三十九話 伊賀攻めその六

「殆どがこれじゃ」
「上様、ではです」
 森と同じくここでも信長の傍にいて彼を守る池田も言って来た。
「あの者達は実は」
「うむ、数自体はな」
「少ないですな」
「そもそもまつろわぬ者が多いとは思えぬ」
 信長は古事記や日本書紀からも述べた。
「とてもな」
「言われてみれば」
「だからな、あの者達の数自体はじゃ」
「少ないですな」
「そのことは間違いない」
 こう言うのだった。
「だからな」
「あの者達は、ですか」
「そのことを踏まえて戦うべきじゃな」
「しかし上様」
 ここで竹中が言って来た。
「あの者達はこうしたことからもわかる様に」
「術を使うな」
「それに妖術も使いますので」
「それじゃな。これまであの者達は多くの高僧や陰陽師、そして仙人とも戦ってきたが」
「その際は」
「妖術を使っておったな」
 こう言うのだった、信長も。
「やはり」
「それがしもそうだと思います」
「妖術か」
 ここでだ、信長は言った。
「我等は武士じゃ、武士はな」
「武芸、軍略で戦うものです」
 生駒も言って来た。
「このことは当然のことです」
「妖術のことは知らぬ」
 全く、というのだ。
「そうしたものです」
「そうじゃな」
「今は勝ちましたが」
「これからじゃな」
「どうすべきかです」
 その妖術にというのだ。
「我等は」
「わからぬな」
 妖術については、信長もだ。 
 腕を組んでだ、こう言うばかりだった。
「そちらは全く知らぬ」
「書には出てきますな」
 こう言って来たのは黒田だった。
「そうしたものは」
「うむ、明の書にもな」
「列仙伝、神仙伝があり」
「あれは仙術じゃがな」
「あとは水滸伝等にも」
「出ることは出る、しかしな」
 それでどういった妖術があるかは知っている、しかしだった。
「じゃがどうして使うか、その破り方等はな」
「全てですな」
「知らぬ」
 信長もこう言うばかりだった。
「とてもな。しかしな」
「我等も妖術のことは」
「知らぬしじゃ」
 それにだった。
「知っている筈もない」
「左様ですな」
「三国志演義では諸葛孔明は妖術も使う」
 仙術と言うべきだが信長はあえてこう言った。 
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