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戦国異伝

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第二百三十七話 魔界衆その四

「それならばな」
「謀反のこともな」
「操られてじゃ、あ奴に責はない」
「そういうことでな」
「うむ、これよりな」
「上様をお待ちして」
「お話を聞こうぞ」
 こう話してだった、そのうえで。
 大名達は安土城でとりわけ大きな間に一同に会した、そこには武田家や上杉家、徳川家といった様々な家の者達もいてそれぞれの色でいた。
 その者達が集まっているところにだ、信長が来た。その後ろには幸村と兼続が小姓役としてそれぞれ控えている。
 その者達にだ、信長は言った。
「この度集まってもらったのは他でもない」
「天下のことでありますな」
「そうじゃ」
 信玄に確かな声で答えた。
「わしは本能寺である者達に襲われたが」
「その者達が、ですな」
「魔界衆といった者達じゃ」
「その魔界衆ですが」
 家康が怪訝な顔で言って来た。
「文にありましたが」
「うむ、実はな」
「あの様な者達が天下の裏におって」
「そしてじゃ」
「常に天下を乱そうとしておったのですか」
「それで多くの高僧や力の持ち主、天下を治める者達があの者達の乱を防いでおった」
「その中にはですな」
 今度は顕如が言って来た。
「我等の開祖であられる親鸞上人もおられ」
「他にも行基上人もな」
「あの者達と戦っていたと」
「神武帝の頃からじゃ」
 まさにというのだ。
「あの者達は天下を乱そうとしておった」
「まつろわぬ者達」
 謙信は瞑目する様にして述べた。
「まさかまだ生き残りしかも長きに渡って悪を為そうとしているとは」
「思わなかったな」
「はい、わたくしも」
 到底、とだ。謙信は信長に答えた。
「それは」
「そうじゃな、わしも感じてはおったが」
「それでもですか」
「まさかその様な者達がおるとは」
「とても」
「思わなかった、しかしその者達はおってじゃ」
 そしてというのだ。
「あの者達はな」
「確かにいて」
「天下を乱そうとしておるのじゃ」
 確かにというのだ。
「古来よりな」
「そして上様のお命を狙った」
 元親は言いつつその目を鋭くさせた。
「天下を乱す為に」
「そういうことじゃ、わしと奇妙を消してな」
 一門衆筆頭として場にいる信忠を見つつだ、信長は言った。
「天下に隙を作ってな」
「その隙に入り込み」
「乱そうとしておったのじゃ」
「そうでしたか」
「そうじゃ、だからじゃ」
「あの者達をですか」
「討つ」
 必ず、というのだった。
「天下を泰平にする為に」
「わかりました、では」
「これよりですな」
「天下を乱す魔界衆を討つ」
「そうしますか」
「あの者達の居場所はわかっておる」
 既にとだ、信長は諸大名に言った。 
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