| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百三十七話 魔界衆その五

「伊賀におる」
「伊賀といいますと」
 ここで言ったのは服部だった、彼は万石取りに取り立てられているのでこの場にいるのだ。大名としてだ。
「まさか」
「その通りじゃ、百地の者達がな」
「その、ですか」
「魔界衆なのじゃ」
 まさにその者達がというのだ。
「都の公卿であった高田前蔵、公方様の傍にいた南光坊天海に以心崇伝、浅井久政殿のおった」
「無明とですな」
「法界坊もじゃ」
 その者もというのだ。
「勘十郎を操っておった津々木蔵人もその一人じゃった」
「魔界衆は十二家とあり」
「そして松永めもそうだったと文に書いてましたが」
「伊賀の石川、楯岡、音羽と」
「そしてその棟梁がですな」
「御前と言われておる者じゃ」
 その者がだ、魔界衆の棟梁だというのだ。
「まさにな」
「では、ですな」
「その老人がですか」
「天下を乱す為に」
「明智殿達を操り」
「上様と秋田介様を消そうとされたのですか」
「そうじゃ、天下泰平の為にじゃ」
 信長は確かな声でまた言った。
「これより伊賀攻めに入る」
「その用意にですな」
「これより」
「そして攻める」
 実際にというのだ。
「魔界衆を討つぞ、しかし」
「しかし?」
「しかしとは」
「おそらくそれで終わりではない」
 伊賀での戦で、というのだ。
「それはまだ続くわ」
「まだ、ですか」
「伊賀の戦の後も」
「魔界衆との戦はですか」
「続きますか」
「おそらくじゃがな、しぶとい連中じゃ」 
 彼等のことがわかっている、それ故の言葉である。
「一度破っただけで諦めはせぬわ」
「では、ですか」
「奴等は伊賀での戦の後も」
「まだ、ですか」
「何かしますか」
「何処かで」
「そうであろう、だから伊賀の後はな」
 その戦の後のこともだ、信長は大名達に話した。
「天下の全てを見ておくのじゃ」
「そこで、ですな」
「何かあれば」
「その時は」
「その場に」
「すぐに向かえる様にしておくのじゃ」
 まさにというのだ。
「わかったな」
「一戦交えても」
「それでもですな」
「終わりではなく」
「そこからもまだ戦だからですな」
「そうじゃ、備えはしておくのじゃ」
 これが信長が言う言葉だった。
「それでいくぞ」
「はい、では」
「まずは伊賀を攻めましょう」
「そしてその伊賀での戦の後は」
「天下を見るのですな」
「おそらくすぐに仕掛けて来る」
 伊賀での戦の後で、というのだ。
「一旦安土に戻り兵を安土に置いてな」
「そのうえで」
「安土から、ですか」
「魔界衆が出た時に」
「まさに」
「うむ、決着をつける」
 まさにというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧