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IS〜もしもの世界

作者:にゃーす
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37話

ー保健室ー


「・・・ん」

ゆっくりと目を開ける。どうやらあの戦闘の後、倒れてしまったようだ。そしてまだ上手く働かない頭を使いながらもベッドから降りようとしたら、


「・・・え?」

どうやら楯無さんと鉢合わせしてしまったので軽く挨拶する。

「あー、楯無さんこんばんわ」

「・・・あなた何処にいくの?」

「え?まあ一夏の所に行くつもりだったんですが・・・」

と言って失礼しようとすると手を掴みグイッと引っ張るので何の用か聞く。

「・・?楯無さんどうかしたんヒッ」

「・・・泰人くんベッドに座って」

振り向くと背中にゴゴゴと言いかねないほど怒った様子で指示してきたのでおどおどとしつつ座る。

「背中見せて」

「背中?なんでです(早く)アッハイ」

すると背中を撫でるように押してきて痛みで思わず顔を顰めてしまった。

「・・・こんな身体でよく動こうとしたわね。いくら貴方のISが貴方を保護していると言っても他のISと比べると防御が明らかに低いのよ。それを省みず亡国機業と一対一で挑むなんて・・・ブツブツ」

珍しく説教モードの楯無さんが来たので大人しく聞くことに徹する。このモードだと何を言っても火に油だろう。
そして10分くらい説教したあとようやく話せる状態になったので謝る。

「・・・すいません。独断で行動してみんなに迷惑をかけてしまって」

と頭を下げようとすると別にいいと言うように額に指を当てて押し上げてくる楯無さん。

「・・・いえ、悪いのは私なのよ。スコールを逃して貴方達の方に行かせてしまったし、貴方の判断は正しかった。敵が襲撃と同時に
的確な判断で余計な被害も出なかったのよ・・・」

「な、ならそれでいいんじゃ」

と答えると顔を急に顔を近づけてきて、

「だからこそよ!なんで私とか他の人を頼ろうとしないの⁉︎」

と答えられたのでなんて言えばいいのか返答に困る。

「え、ええっとそれはそのう」

「・・・・・」

「傷つくのは自分だけでいいと言うかなんと言いますか・・・」

そうやって答えると楯無さんは自分を何秒か見つめてきた後、盛大にため息をついた。

「まったく、それがいけないって言ってるのに・・・」

「え?どうしました楯無さんっ⁉︎」

何故ため息をつかれたのか分からなかったので首を傾げていると、楯無さんがまた急に俺の頭を掴んで抱きしめてきた。

「ちょ、ちょっと楯無さん⁉︎」

ジタバタする俺を抑えつつ楯無さんは喋る。

「泰人くん、貴方は気づいてないんでしょうけど他の人たちと同様貴方が傷つくことで誰かを心配させてしまうのよ?」

そう言って頭を離し部屋をでるのだがついでにと大人しく部屋で養生しなさいと灸を据えられてしまった。

「・・・他の人と同様、か」

俺は本来この世界に存在しない人間だからと言い聞かせて多少の無理は承知でしてきたのだが、そうでもしないと亡国機業どころか代表生とも渡り合えないと言うどっちに転んでも問題という壁にぶち当たり小一時間ほど、うーんと悩む泰人だった。その実、一番心配していたのが楯無さんとも知らずに…













ー楯無ー

「じゃあね泰人くん」

と言って出てドアが閉まると、顔を赤らめてつつ呼吸を整えるが動悸が治まらないのでその場にしゃがみ、自分が何てことをしたのかを思い出しつつ考える。

「まったくもう…私が心配してることくらい気づきなさいよ…」

と言ってはいるがなんでそんなに心配してしまうのかそんな自分もおかしいだろ、とむむむと唸る。
別に彼が死にかけでもなくケロっとしていているにも関わらず怒ってしまったのはただ自分のことに無関心すぎる彼に怒っていただけであって決して下心なんて無い訳でー
そうやってどんどん自分で自分を追い詰めていたのだが、

「・・・他の人と同様、か」

と言った瞬間、胸が締め付けられるような苦しさを覚えてつい向こう側の彼を安心させようとしてしまう自分を戒める。だけど彼のことを考えれば考えるほど胸が苦しくなる自分を見てこれ以上はいけない。と別の自分に諌めてもらう。
そうだ。私は生徒会長。この学園の長であり、全ての生徒を守らなければならない。たとえどんな手を使っても。それが楯無という代々受け継がれたこの名を背負う者の使命。
そして楯無の名の通り、たとえ楯が無かろうと守りきると言う決意の証。
そう自己暗示をかけて立ち去る。そして彼を想う気持ちでさえも力に変えると心に誓ったのだった。
















「…すいません楯無さん」

と呟きつつ一夏の家を目指す俺。やっぱり親友の誕生日くらい無理をしても良いだろ。多分楯無さんも許してくれるはず。多分。

道を曲がり、何やら自販機のとこに人気を感じた俺はそちらへ振り向くー


「っ!一夏!」

銃を向けられた一夏が目に入る瞬間、時を止めて敵めがけて移動、そのまま刀を呼び出し切り刻む。

「ちっ・・・」

と舌打ちした敵はもといゼフィルスの操縦者はそのまま身を引いて闇に紛れてしまった。

「ぐっ…ってて、大丈夫か一夏?」

「あ、ああ泰人のおかげでなんとも無いよ」

という一夏にそれなら良かった。と声をかけようと振り向くと、何故かISを部分展開したラウラがいた。

「…なにしてんだラウラ?」

「…こ、これはだな」

何故か一夏と同じ反応をするラウラだが大方一夏を追いかけて来たんだろうと予測する。

「…なんか俺はお邪魔みたいだし先いってるわ、ニヤニヤ」

「え?まてよ泰人?てかなんでそんなニヤニヤしてんだ」

と言う一夏の声を背中に感じつつ早足で一夏の家へ向かった。















織斑という表札が書いてあったので呼び鈴を鳴らし、箒ら辺が出てくれるだろうと待つ。

「・・・が出るわ」

妙に聞き覚えのあるこえだった。まさかな。

「はい、どちら・・・って」

「・・・お邪魔(ry)」

脱兎のごとく逃げようとする俺に対して逃げれない等に腕の関節を極める楯無さん。痛い。

「あっ、ちょっ、まってくれ「ギチギチギチ」痛い痛い!降参。逃げないから腕離してくださいお願いします!」

痛みで騒ぐ俺をズルズルと引きずり居間のドアの手前で壁ドンされる俺。

「まったく・・・あれほど言ったのにちっとも懲りてないじゃない!」

「あ、あはは」

「あははじゃないわよ!まったくもう。みんなには怪我で来れないって言っちゃったし」

「す、すみませんでも親友の誕生日くらい行きたくて。楯無さんには申し訳なかったんですがこれだけは譲れなかったんですよ」

「…まあ来ちゃったから追い返すのもおかしいし。仕方ない、織斑くんが帰って来るのを待ちましょう」

諦め気味で許してくれた楯無さんに感謝しつつ、部屋に入るとみんなが驚くようにこっちを見つめて来たので、

「どうしたんだみんな?ああ、怪我なら大丈夫だぞ?」

と言ってもみんな硬直状態でなんとか立て直したシャルが問いかけてきた。

「そ、それは良いんだけどなんで楯無さんと腕組んでるの?ってもしかして・・・」

「え?・・(テヘッ)いやテヘッじゃ無いですよ。離れて下さいよ」

「…そんなに私といるのが嫌?もしかして私のこと嫌い?」

「別に嫌いとかじゃなくて普通に恥ずかしいです。ほらみんななんか勘違いしてますよ」

と腕を離そうとするとむっと言ってもっとキツく腕を絡めてくる。

「泰人くんは私の心配を無下にしたのでこれは罰です。だから問題ない」

「別に無下にはしてないですよ。べつに心配してくれる事は嬉しいですし。だから離れましょう?」

「…そーやってはぐらかそうとしても無駄よ。諦めなさい」

「…みんなが勘違いしてもいいんですか?」

「別にいいわよ?ふふん」

「うぐ。なら仕方ない。諦めましょう」

「うんうん。素直な子は私、好きよ」

そういって空いているソファーに座り、適当に食べ物を紙皿に乗せて食べる二人は誰が見ても仲の良い恋人としか見れずいつか私もこんな風に一夏と出来たらなぁと二人を見て、少女達はため息をつくのだった。













 
 

 
後書き
ちょっとした出来心だったんです。まさかこんなことになるとは(震え 
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