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黒を纏う聖堂騎士団員

作者:櫻木可憐
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03.ベホマとメラゾーマ

暇で暇で仕方のないクロノスちゃんは、暇で暇で仕方のない宿舎を歩きます。
夜はみんな寝ているか、遊びに抜け出しているか。
ククールなんかドニの町に朝帰り・・・
その後どうなるかは、ご想像にお任せします。

仕方がないので、外を眺めてみます。
すると、外に不審な人影を見つけました。

マルチェロに知らせるか、弓で撃ち抜くか。
いや、弓にスキルはふっていないな。
など、考えてるうちに声が聞こえました。

「・・・ベホマ・・・・・・」

ベホマはククールもクロノスも使える呪文です。
いやいや、僧侶が回復呪文使えなくして何になるのです!!

努力家の団員として見逃してやろうとしましたが、その声はベホマに似合わない声だったのです。

聖堂騎士団員のなかで一番の努力家といえば・・・

マルチェロではありませんか!?

間違ってもククールではないでしょう!!

「・・・・・・」

彼女は優しいのです。
本来なら無駄にプライドの高いマルチェロに近寄りませんが、クロノスはマジックバリアをかけて突撃しました。

 
 
「抜け出してベホマの練習か」

「貴様こそ、抜け出して夜遊びかな?
赤い生命体と同じ部屋だけあるな」

「貴様こそ練習に見せかけた夜遊びでは?」

緊迫しすぎた空気で、もしかすると宿舎で誰かが起きたかもしれませんが、知る余地もありません。

「ベホマ、教えてやるよ。
代わりにメラゾーマを教えてくれよ」

マルチェロは命令されるのはだいっきらいです。
ですが、規則を破っていると言われるのも嫌です。
この条件なら貸しにもなりません。

「手合わせでメラミを使ったのはメラゾーマごとき使えぬからか。」

「メラゾーマよりベホマの方がまずいような・・・
まぁいいや。ベホイミは使えるんだろ?
似たようなものさ。似ててもちょっと違うだけ。
ベホイミに慣れすぎたのさ」

マルチェロからしてみれば、メラゾーマなんぞメラミを巨大にしただけなのですが。
難易度で言えばベホマの方が難しいでしょう。

これから極悪人マルチェロになるのですから、ベホマは必須でしょう。
ベホマ・・・ベホイミ・・・よりザラキを先に習得したのは、マルチェロが実は根っからの悪だという前触れなのでは・・・

ここで死ねば後世のため・・・いえいえ!!
まだまだ先があります。

「よし、私はメラゾーマだな。
メラミをでかく・・・メラミをでかく・・・
集中できない。」

「全快回復をするだけの魔力がどこからでると言うのだ」

マルチェロが変な言い訳をしています。
・・・マダンテのほうが覚えやすい人のようです。
グランドクロスが出来、メラゾーマの方が威力が上のマルチェロに、今後のためにマダンテは教えません!!

ゼシカ、ククールの死亡確定しますから。


 
 
 
それを実は遠目から眺めていたククールは叫びたい衝動を押さえ込みました。

「バカ兄貴~!!
そこはクロノスを押し倒し我が物とする場面だろうが!!
あの手のレディは強引なのがお好みなんだ!!」

と、勝手なことをぶちかますのです。
マルチェロがいたら、グランドクロスからメラゾーマですよ。

こうして二人は一週間の成果で、
マルチェロはしんくう波を。クロノスはピオリムを。
それぞれ習得しましたとさ。 
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