ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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第6話リバイブ・クリスマス
前書き
お待たせしました。久しぶりの更新です。
今回のサブタイトルは上記の通りです。
ぜひご覧ください!
2023年12月24日、第49層・ミュージェン
デスゲーム開始から1年1ヶ月と17日、今日はSAOでの二度目のクリスマスイブ。この街の連中はクリスマスということでかなりはしゃいでいる。SAOの中でなければオレもこんな感じだっただろうが、今はそんな気分じゃない。
「リュー坊も随分と無茶なレベル上げをしているそうじゃないカ」
「そんなことはどうでもいい。新しい情報が入ったのか?アルゴ」
オレをリュー坊と呼んだこの女、名を《アルゴ》。第1層のボス攻略に向けてガイドブックを作った情報屋ーーーオレと同じ元ベータテスターだ。
「金をとれるような物はないナー」
「情報屋の名が泣くぜ」
「ベータテストの時にもなかった初めてのイベントダ。情報のとりようがねぇヨ。クリスマスイブ、つまり今日の深夜にイベントボス《背教者ニコラス》が出現する、あるもみの木の下にナ。有力ギルドの連中も血眼になって探してんゾ」
それだけ聞けばもういい。オレは座っていたベンチを立ち上がる。
「おまえ、目星ついてんダロ?」
「さあな」
「マジにソロで挑む気か?二つ下の層に妹置いて来てんダロ?」
「なんでオレのホームタウンまで知ってんだよ。・・・ミラには何も言わずにここに来た。あまり期待させたくなかったからな・・・《蘇生アイテム入手クエスト》なんて、ホントにあるかどうかわからないからな」
オレがここに来た理由ーーーそれはクリスマスイブにだけ行われるイベント、《蘇生アイテム入手クエスト》。
オレはそれを手に入れるためにここに来た。ーーー4ヶ月前に殺人ギルド《笑う棺桶》に殺されたオレの友達を《小さな巨人》たちを蘇生させるためにーーー
「キー坊と同じこと言ってるヨ」
「キー坊?誰のことだ?」
こいつはよく他人に変なアダ名を付けるからな、第三者をアダ名で出されてもわからねぇよ。
「おまえもよく会ってんダロ?キリトって言えばわかるカナ?」
「キリト!?まさかあいつも!!」
「あぁ、行ってるゾ。蘇生アイテム入手クエスト」
ーーーキリトも狙っていた。それを聞いてオレは人混みを掻き分けて走り出した。早くしないと、あいつに蘇生アイテムが渡ってしまう。みんなを蘇生出来なくなる!
******
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
延々と続く冬の森を走って行く。ボスを見つけるまでただただ走り続ける。その最中にある光景が視界に入った。
「あ?あれは・・・」
その光景とは・・・プレイヤー同士が戦闘をしている所だった。二組のギルド、片や白い鎧に身を包んだ攻略組の大型ギルド《聖竜連合》。片や赤い甲冑や鎧に身を包んだ6人という少人数ながらも攻略組として今のところ一人も犠牲者を出していないという活躍をしているギルド《風林火山》。
何故あいつらが戦ってる?少なくとも片方は蘇生アイテム狙いだ。《風林火山》の方は問題はない、だが《聖竜連合》の方はレアアイテムのためならどれだけ危ないことだってするような奴らだ。あんな奴らにーーー渡せる訳がねぇ!
「どけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
『!?』
「おまえ・・・ライリュウか!?」
オレの名を呼んだ赤い甲冑の頭に悪趣味なバンダナを巻いた侍、ギルド《風林火山》リーダー、《クライン》。
「・・・トを・・・」
「あ?」
「キリトを見たか!?」
オレはクラインにキリトを見たかどうかを質問した。クラインはおろか、他の連中が少し怯んだところを考えると、オレは焦るあまり鬼のような形相を浮かべているのか。だがそんなことはどうでもいい。
「・・・この先にいる。」
「!!・・・クソッ!!」
オレはかなり遅れて来たようだ。クラインたちが聖竜連合と戦っているということは、キリトの邪魔をさせないように足止めをしているということになる。つまり、キリトはもう《背教者ニコラス》と交戦中なのかもしれない。
******
「・・・・・・・・・キリト!?」
「・・・ライリュウ」
走り続けて15分、ようやくキリトを見つけた。
「そこをどいてくれ!!早く蘇生アイテムを入手しn「これだ」・・・!?」
オレの話しの途中にキリトが何かをオレに投げてきた。オレはそれを見て驚愕した。
「それが蘇生アイテムだ・・・」
「これが・・・でもなんで」
キリトがオレに投げ渡した物はーーー確かにオレが欲しかった蘇生アイテム。確かに本物だ。だがこいつが何故オレにこれを渡したのかがわからなかった。オレはアイテムをタップして詳細を確かめた。
「!?・・・そんな・・・」
「次におまえの前で死んだ奴に使ってくれ」
キリトはそれだけ言い残し、オレの前から去って行った。「サチ・・・サチ・・・」と呟きながら。
オレは転移結晶を取り出しーーー
「転移・・・フローリア」
オレのホームタウンにワープした。妹が待つ、自分の家にーーー
ミラside
クリスマスイブの夜、あたしの兄《ライリュウ》が家を出ていった。理由は割りとすぐにわかった。ーーー《蘇生アイテム入手クエスト》。
ゲームオーバー=現実の死を意味するこの世界では存在すれば救いになるような話しではあるけどーーーそれはありえないと思う。だってそんな物があったら今まで死んでいった人達がみんな生き返ることだって出来るかもしれない、あたしは完全にデマだと思う。お兄ちゃんだってきっとそう思っていたはず、なのに行ってしまった。きっと小さな、本当に小さな可能性を感じて確かめに行ったんだ。・・・《リトルギカント》の蘇生の可能性を。
《リトルギカント》のみんなはお兄ちゃんの学校のクラスメイトとあたしで構成されたギルド。しかもみんなお兄ちゃんとすごく仲の良かった人達だった。あたしはお兄ちゃんを通して知り合ったけど、みんな良い人ですぐにあたしも仲良くなった。そんな人達をいきなり、それも一斉に亡くしてしまったらショックなんて言葉で片付けられないくらいだけどーーーそう考えている内に玄関のドアが開いた音がした。
「お兄ちゃん!?」
「・・・ただいま」
「ただいまじゃないよ!急にいなくならないでよ!」
「・・・ゴメン」
お兄ちゃんが帰宅していきなりいなくなったことを怒鳴るように叱ってしまった。その当人は少し間を空けて謝ってきた。
「蘇生アイテムなんて・・・そんな根も葉もない噂なんて信じて、死にに行くような真似しないでよ!」
「やっぱり気づいてたか、変に期待させたくなかったのに。・・・本当だったよ、その根も葉もない噂。」
「え?・・・あったの?」
お兄ちゃんはあたしに変な期待をさせたくなくて黙って出ていったんだ。でもそのあとに言い放った言葉に驚愕し、硬直した。ソードスキルを使った訳じゃないのにーーー
「これだ・・・もう意味ないけど。」
「は?意味がないって、どういうこt「タップして詳細を見てみろ」・・・?」
お兄ちゃんが言った言葉に疑問を感じたけど、言われた通りアイテムをタップして詳細を確認してーーー理解した。それと同時に、なんともいえない気持ちが沸き上がった。
「対象のプレイヤーの・・・「10秒以内」・・・」
「・・・おまえが持ってろ」
「10秒以内」ーーーそんなのとっくのとうに過ぎてる。意味がないと言ったその意味はーーー遅すぎた、という意味だった。
あたしの目から小さな水滴が落ちた。時間がたつにつれて、その量がどんどん増えていった。
お兄ちゃんは自分の部屋に戻ってしまった。あたしも見せたくないんだ、聖なる夜に降り注ぐ・・・悲しみの雨という名の涙をーーー
後書き
・・・自分でも上手く書けてるかわからない。
とりあえず、今回でオリジナルストーリー「リトルギカント編」は終了したいと思います。
次回も楽しみにしてください!
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