ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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第5話友を斬り裂く鬼の太刀
前書き
今回はとにかくヤバイです。
2023年8月2日
「よーし、今日はここまで!帰るぞー!」
『はーい!』
オレがオレの友達と妹のギルド《リトルギカント》に加入してから4ヶ月。みんなにレベリングを教えてそれを見守る、危なくなったら助けに入る。そんな我が子を見守る親の心境を感じるレベリング授業、最近は助けに入ることがなくなるくらいみんな強くなってしまった。妹のミラにいたってはリザードマン1体を1人で倒してしまうくらい成長した。我が妹ながら驚きを隠せないくらいに強くなった。モタモタしてたら完全に追い抜かれるかも。
気づいたらもうすっかり夜になっていた。さすがに今日は長すぎたかな。レベリングはここまでにして今日はもうギルドホームにもどることにした。
******
「やっぱり、アインクラッドの夜って現実より怖い気がする」
「モンスターもバンバン出るからな。みんな気を付けろよ」
アリーの言う通りアインクラッドの夜は現実よりも怖く感じる。現実じゃ出ないモンスターがバンバン出るし、何よりこの世界でHPが0になったら現実のオレたちも死ぬんだ。その不安感がよりいっそう夜の恐怖感を強くするんだろう。
ーーー!?
「誰だ!?出てこい!!」
「!?お兄ちゃん?」
「なんや突然?」
「誰かいるのか?」
オレの索敵スキルが敵の存在を感知した。モンスターじゃない、プレイヤーの反応だ。今の今まで接近に気付かなかった。オレの索敵スキルがこの距離まで接近に気付かなかったということは相当隠密スキルをあげている。
「何?モンスター?」
「いや、プレイヤーだ。」
「は?プレイヤー?だったらそこまで危険はないんじゃn・・・」
アリーの予感はオレの言葉で外れた。ミストガンはなんともすっとんきょうな声を上げて危険はないと言おうとしたが、その言葉は続かなかった。なぜならーーー左肩から下に向かって、切り裂かれていた。
ーーーパリィィン
!!
「ミストガン!!」
「いやぁぁぁぁ!!」
「何しとんねんあんたぁぁ!」
「なんで・・・どうしてミストガンさんを!」
「ひひひひひ・・・ひゃははははは!一丁上がり!どうだ!?仲間が目の前で消える光景を見た感想は!」
「・・・・・・・・・弾。」
思わずアイツの名前、本名を呟いてしまった。ミストガンーーー霧島弾とは中学1年生のころ同じクラスになり、お互いアニメ好きなのが影響してよく話すようになった。現実に戻ったらSAOにとらわれたせいで見ることが出来なかったアニメのDVDを買って一緒に見ようと約束していた。それが今ーーー叶わぬ願いになってしまった。
「・・・・・・ねぇ・・・」
「・・・ライリュウ?」
「・・・・・・さねぇ・・・!」
「・・・お兄ちゃん?」
「・・・・・・てぇ・・・さねぇ・・・!」
「・・・ライリュウ・・・どないした・・・!?」
「ライリュウくん?」
「どうした?ショックで動けねぇか?それとも恐ぇのか!?ひゃははははは!」
いきなりミストガンをーーー友達を斬り殺しやがってーーーこいつだけはーーーこいつだけはーーー
「てめぇだけは・・・・・・・・・絶対ぇ許さねえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「あぁ?・・・・・・ごふっ・・・!」
オレはこいつに、弾を殺したこのバカ野郎をオレの愛剣《サイレント・ワイバーン》で斬りかかった。思いっきり、スピードと威力を込めて。
「今のはミストガンの怨みだ!」
「ひ・・・ひぃぃぃ!」
まだ殺してない。だけど今の一撃でビビってやがる。一度斬られたくらいでビビってんなら殺すんじゃねぇよ。とりあえずーーー
「てめぇ何者だ?なんでゲームオーバー=現実の死を意味するこの世界でPK・・・プレイヤーキルなんてしやがった!」
従来のオンラインゲームではプレイヤーキル、略称PKは割りと普通にあった。ゲームオーバーになってもアイテムやステータスがデスペナによって一部失われるだけ。だがこのゲーム、SAOーーーソードアート・オンラインは訳が違う。実際に現実で死んでしまうんだ。
オレの質問にミストガンを・・・弾を殺したこの男は・・・
「PKはプレイヤーに与えられた権利だ。何が悪い?」
『!?』
こいつーーー殺しに何の迷いもない。それどころか殺しを楽しんでやがる!オレは視線をフォーカスしてこいつの頭の上を見てみた。ーーーこいつ、カーソルが!
「おまえ・・・犯罪者プレイヤーか!?」
「《オレンジプレイヤー》?」
オレが発した言葉にミラが反応する。そういえば、まだ教えてなかったなーーー
「視線をフォーカスするとオレたちの頭の上に緑色のカーソルがあるだろ?犯罪を犯すとカーソルがオレンジになる。オレンジプレイヤーっていうのは要するに・・・犯罪者なんだよ。時と場合によっては実質的には犯罪者っていう訳でもないけど・・・」
「犯罪者!?そんなんがいたらみんな殺されてしまうわ!」
「・・・プスッ!犯罪者?そんな甘いもんじゃねぇよ。オレたちはレッド・・・殺人者だよ!」
『!?』
こいつの言葉にオレを含めてみんなが驚いた。こいつは自ら進んでPKを行っていたんだ。ーーーオレたち?
「オレたちってどういうことだ!?他にもいるのか!?」
「・・・ああ、いるぜ。もうすぐ近くに!」
「!?みんな逃げろ!」
『!?』
こいつにも仲間がいた。殺人集団という仲間が。みんなに逃げろと叫んだが・・・時すでに遅く、すでに囲まれてしまっていた。
「リーダー!」
「リーダー?」
「オレは殺人ギルド・・・笑う棺桶リーダー、PoH!さあ、楽しい楽しいPartyの始まりだ!」
「・・・・・・・・・やめろ」
殺人ギルド笑う棺桶のリーダー《PoH》と名乗った男はパーティの開始を宣言した。完全に嫌な予感しかしないーーー完全にオレたちを殺すつもりだ!
「みんな逃げろ!早く!」
「イッツショウタイム!」
「ひゃははははは!」
「ぐわぁぁぁ!」
「ライト!?うっ!うわぁぁぁぁ!」
「キャンディ!」
「お兄ちゃん!」
無慈悲にも奴等の攻撃の雨がオレたちに降り注いだ。その雨によりライトとキャンディがーーー翼とかんなが、殺された。次々と仲間がポリゴンとなって消滅する。次々とオレの友達が死んでいく。生き残っているのはオレとミラとアリーの3人。このままじゃみんな殺される。
「ミラ!アリー!とにかく走るぞ!こいつら振り切って転移結晶でどこでもいいから転移するぞ!」
「わかった!」
「うん!」
「逃がすな!追え!」
助かるにはまずこいつらから早く離れて転移結晶でどこかの街に転移する。犯罪者プレイヤーは主街区には入れない。
奴等は当然逃がしてくれる訳もなく、オレたちを追ってくる。オレたちはなんとか殺人者たちのチェイスを振り切りオレとミラとアリーが集合する。
「早く転移するぞ!転移結晶での転移は少し時間が掛かる!」
「わかってる!」
「!きたよ!」
もう追い付いてきやがった!オレたちは転移結晶を前に出して転移を開始する。
『転移!』
オレたちの身体を青白い光が包み込む。オレとミラの身体を。
「!?アリー!?」
「アリーさん、それ!」
アリーが持っていたのは転移結晶ではなく解毒結晶だった。あいつーーーまさか!
「ごめんね、2人共。・・・生きて。
大好きだよ、竜くん」
「!?ーーー!ーーー!?ーーー!」
アイツが最後に言い放った言葉を聞き逃さなかった。オレの叫びはーーー届かなかった。
******
『!』
オレとミラの転移は成功した。すぐに周りを見渡してもアリーはいなかった。そこでミラがフレンドリストを確認し出した。そこに書いてある仲間の名前はーーーグレーに染まっていた。本来ならこのゲームからログアウトしているという意味なのだろうが、自発的なログアウトが不可能のこのデスゲームでそれが意味するのはーーー
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
アリーが亜利沙が、死んだ。
翼も、弾も、かんなも、亜利沙もーーーオレの友達がみんな死んだ。オレにーーーもっと力があればーーー!
「畜生ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
2023年8月2日ーーー
リトルギカントーーー壊滅
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