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ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~

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第7話悲しい顔は見たくないんだ

 
前書き
どもー!醤油ラーメンデース!
今回からアニメ第4話「黒の剣士」のストーリーを数回に分けて投稿したいと思います。それでは、どうぞご覧ください! 

 
ライリュウside

2024年2月23日、第35層・迷いの森

オレは今、10間攻略を休んで第35層のフィールド迷いの森にいる。何故攻略組のオレがこんな中層にいるかというと、ある人から依頼を受けたからだーーー犯罪者(オレンジ)ギルド《タイタンズハンド》の投獄。
この依頼の依頼主(クライアント)は実際にタイタンズハンドの被害に合い、ギルドメンバーを殺害され、運良く生き残ったギルド《シルバーフラグス》のリーダー。
彼の依頼を受けたオレは《タイタンズハンド》のリーダーを第35層で見かけたという情報を手に入れて今に至る訳なんだがーーー未だに見つからない。

「さあて、どこにいる?タイタンz「ピナぁぁ!!」!?」

この状況をどうやって打破するか考えていると突然誰かの悲鳴が聞こえた。声からして女の子だ。とにかくその聞こえてきた声の主の所に走る。

「いた!」

木槌を持った体長が人間の成人男性よりも高めの猿が3体、その向こう側に黄色い服を着たツインテールの少女。追い詰められてる。

「間に合え!」

3体の猿の中の1体が木槌を振り上げた瞬間に考えていたことが自然に声に出てしまった。オレは急いで猿共の背後に間合いを詰め寄りーーー猿を斬り裂いた。
少女は突然猿がポリゴンになって消滅したことに驚き、オレの存在に気づいた。

「・・・・・・・・・ピナ」

オレが助けた少女は「ピナ」と呟き、すぐ近くに落ちていた羽根をそっとすくいあげた。

「あたしを独りにしないでよ・・・ピナぁぁ!」

「・・・その羽根は?」

泣きじゃくる少女を見てオレは胸が苦しくなった。少し抵抗があったが、彼女が「ピナ」と呼んだ羽根について質問をぶつける。

「ピナです。・・・あたしの大事な・・・」

「!?君は《ビーストテイマー》なのか?」

内心すごく驚いた。彼女はSAOの中でもかなり稀のビーストテイマーだった。ーーーつまり《ピナ》と呼んだ羽根はテイムモンスターの羽根。

「ゴメン・・・君の友達、助けられなかった。もう少し早く気付いてたら・・・」

「・・・いえ。あたしがバカだったんです。一人で森を突破できるなんて、思い上がってたから。・・・ありがとうございます、助けてくれて」

彼女はもしかしたら、誰かと揉めて喧嘩別れをして一人だったんだ。ーーーん?羽根が残っているということはーーー

「その羽根、アイテム名とか設定されてる?」

オレはしゃがみこみ、彼女にそう質問した。彼女が羽根を軽くタップすると、「ピナの心」という表示が出た。それを見た彼女はーーー再び泣き出した。

「あぁ!泣くな泣くなって!ピナの心が残ってればまだ蘇生の可能性がある!」

「!?・・・本当ですか?」

オレは再び目の前で泣き出した少女を見て軽くパニックを起こしてしまい、必死に安心させようと蘇生の可能性があることを伝えた。彼女がオレに本当なのかと聞き返してきて、オレはうなずいた。

「47層の南に「思い出の丘」っていうフィールドダンジョンがあるんだ。そこのてっぺんに咲く花が使い魔蘇生用のアイテムらしい」

「はぁ・・・!47層・・・」

47層、その言葉に彼女は気落ちした。ここは35層、SAOの適正レベルは階層+10レベル。つまりここにいる彼女は少なくとも45、6レベル。47層に行くにはかなり厳しい。

「実費だけ貰えれば、オレが取りに行ってもいいんだけど・・・。使い魔の主人が行かないと花が咲かないらしいんだ」

「情報だけでもとってもありがたいです。頑張ってレベル上げすれば、いつかは!」

ーーー多分、それじゃ駄目だ。

「使い魔の蘇生は・・・死んでから3日までだ。それまでに47層の適正レベルまで上げるのは、無理がある」

「!?・・・そんな。あたしのせいで・・・ゴメンね、ピナ」

オレが言いはなったセリフは彼女に見えた希望の光を消してしまったようだ。
ーーーでも、諦めるのはまだ早すぎる。

「大丈夫・・・まだ3日も残ってる。これなら、5、6レベルは底上げできる。オレも手伝うよ、きっとなんとかなる」

オレは彼女を安心させるためにそう宣言し、トレードウィンドウを表示して《イーボン・ダガー》、《シルバースレッド・アーマー》、《ムーン・ブレザー》、《フェアリー・ブーツ》、《フロリット・ベルト》を彼女に送った。

「・・・なんで、そこまでしてくれるんですか?」

「?・・・あぁ、無条件で協力するっつったら・・・そりゃ疑うわな」

「甘い話には裏がある」。SAOはこの言葉を色濃く体現しているだろう。

「・・・理由としては二つ。オレ、4ヶ月ぐらい現実の友達とギルドを組んでたんだけど・・・オレの不注意でみんな死んじゃって。でも、ピナはまだ救える。可能性を無駄にはしたくないだけさ。もう・・・悲しい顔なんて見たくねぇから」

「・・・そうなんですか?じゃあ二つ目は?」

「二つ目は・・・」

ここまで言って詰まってしまった。

「・・・笑わないって言うなら、言う」

「笑いません」

どうしよう、なんか恥ずかしくなってきた。ーーー腹決めるか。

「・・・君は、チビの頃の妹になんとなく・・・似てるから」

ーーー言ったら言ったですごく恥ずい。オレは彼女の顔を横目で見るとーーー

「・・・プスッ!あはははは!ははははは!」

ーーー笑っちゃったね。

「笑うなつったじゃん。笑わないって言ったじゃん・・・。とりあえず早めに忘れてくれ」

「ふふ、ごめんなさい」

まあ、あんな悲しい顔されるより良いか。

「あの、こんなんじゃ全然足りないと思うんですけど・・・」

「いや、べつにいいよ」

彼女はトレードウィンドウに自分のコルを出そうとしたのでオレは受け取らないままトレードを終わらせた。

「オレがここに来た理由と被らないでもないから」

「?あっ!あたし、シリカっていいます」

「あぁ、そういえば自己紹介してなかったっけ。オレはライリュウ。しばらくの間よろしくな」

オレは彼女とーーーシリカと自己紹介をして握手を交わした。








******












第35層・ミーシェ

「やっと戻れたな、地図アイテム持ってて良かった」

「そうですね。あたしも持ってなかったから後々どうしようかと思いました」

迷いの森は1分ごとに地形が変わるから地図アイテムがないとほぼ確実に迷う。まあ、1分以内に1ブロック抜けるぐらい走ればさほど問題はないけど。

「お!シリカちゃん発見!」

「!」

遠くからシリカを呼ぶ声が聞こえてきてオレとシリカはその方向を向いた。

「随分遅かったんだね。心配したよ」

「あ、あの・・・」

「今度パーティ組もうよ!好きなとこ連れてってあげるから」

「お話しはありがたいんですけど・・・」

パーティの勧誘か。でもなんかシリカ困ってるみたいだけどーーー。当のシリカはオレの顔を見てーーー

「しばらく、この人とパーティを組むことにしたので・・・ん?」

シリカはオレの左腕を掴もうとしたのか、オレの黒いマントを掴んで、その感覚に疑問と違和感を感じたような顔をした。そういえばシリカに見せてなかったな、左腕。
それよりもーーー目の前のパーティ勧誘してきたデブとピンクの防具を着た多分ネカマだった奴らの視線が痛い。

「悪ぃな、緊急事態なんだ。」

「すみません・・・」

とりあえずこの二人から離れたい。シリカもそう思ったのか、オレのマントを引いて歩き出した。後ろの二人の視線が消えることはなかったけど。

「すみません、迷惑かけちゃって」

「君のファン?あの二人。人気者だな」

「いえ、マスコット代わりに誘われてるだけですよ、きっと・・・」

マスコット?なんでそんなことーーーあぁ、なるほど。SAOの男女比は圧倒的に女性が少ない。それに加えて、シリカは同年代の女の子の中でもーーーまあ、かわいい方だ。それもあって中層のアイドルのような扱いを受けているんだな。

「それなのに、《竜使い》シリカなんて呼ばれて・・・いい気になって」



ポンッ


「え?」

「心配すんな。必ず間に合う、絶体生き返らせよう」

「・・・はい!」

収まっていた涙がまた溢れて出てきていた。オレはそれを安心させるためにシリカの頭に手を置いてそう言った。




「ライリュウさんのホームって?」

「例の47層だけど、面倒だしオレもここに泊まるよ。同居人にはあとでメッセ送るよ」

「同居人?それって・・・」

「・・・妹だよ、あいつもSAOにいて一緒に住んでる」

「そうなんですか!?」

オレは例の47層に家を買って妹と一緒に住んでる。それを言ったらシリカはすごく驚いた。とにかく今日はここに泊まることにした。

「そうですか、ここってチーズケーキが結構いけるんですよ!」

「あら~シリカじゃない」

「ん?」

急に赤髪の槍を持った女がシリカに話しかけてきた。シリカの反応を見るとーーーあまりいい関係じゃあなさそうだ。

「へぇ、森から脱出できたんだ。良かったわねぇ」

「知り合いか?」

「はい、ちょっと・・・」

やっぱりいい関係じゃないようだ。

「あら?あのトカゲどうしちゃったの?もしかして?」

ーーーコイツ、傷をえぐってんじゃねぇよ。

「ピナは死にました、でも!絶対に生き返らせます!」

「へぇ?てことは、思い出の丘に行くつもりなんだ。でもあんたのレベルで攻略できるの?」

「できるぜ。オレがついていけば、そんなに高い難易度じゃない」

これ以上べらべら喋られるといい加減腹が立つ。

「なぁに、あんた?その子に垂らしこまれたの?それに見たところ、そんなに強くなさそうじゃない」

「別に垂らしこまれちゃいねぇよ。それに・・・人を見かけで判断するなって親に言われなかったか?オバサン」

「オバッ!」

オバサンって言ったらメッチャすごい目で見られた。だってそうじゃん。

「悪いけどオレたちここで退散するわ。・・・あぁ、そうそう!ロザリアさんってオバサンのことだよな?」

「オバサンゆーな!それがどうかした?」

とりあえずこのオバサンから離れたいから宿に入るけど、その前に一言。

「もしかしたら、また会うかもしんないけど・・・せめて明日はよしといてくれよ?」

「!」

「あの!?ライリュウさん!?」

それだけ言ってシリカを宿に連れ込みーーーなんだかヤバイ言い方だけどまあいい。出来ればシリカを利用するような真似はしたくないんだけどなーーー

 
 

 
後書き
やっとここまできました・・・。次回は途中まで少し原作やアニメと違う流れを出したいと思います。
次回もお楽しみに! 
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