FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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打倒 妖精の尻尾!!
前書き
なんか最近進みが順調で自分でもびっくりしてる(@_@)
それはともかくこの物語、大魔闘演舞編だけでおよそ1/3の話を使っているという効率の悪さ(笑)
果たして大魔闘演舞は終わるのか!?自分でもなんだか心配になってきたぞ!!
『勝者!!妖精の尻尾!!ここにきて1位に躍り出たぁ!!』
シリルの勝利を見たウェンディは喜びのあまりベッドで眠っているルーシィへと飛び付き、2人は笑顔で抱き合う。
その隣で眠っていたエルフマンとエバーグリーンも抱き合っていたが、その姿をルーシィとウェンディに見られたのに気づくとエバーグリーンが急いでエルフマンを払い除けていたが。
『これにて大魔闘演舞4日目終了!!』
応援席にいる妖精の尻尾のメンバーたちはシリルの勝利とついに1位になったことに喜びを爆発させていた。
『1日挟んで明後日、最終戦が行われます。最終日はなんとメンバー全員参加のサバイバル戦!!果たして優勝はどのギルドか!?皆さん!!お楽しみに!!』
こうして4日目の実況が終了する。しかしそれでもなお観客たちの興奮は収まることを知らない。
「やっぱりこうなるのよね」
「さすが・・・というべきか・・・」
青い天馬のマスターボブと四つ首の仔犬マスターゴールドマインがそう言う。
「最終日の標的は変わったよ!!」
「来い!!」
打倒!!妖精の尻尾!!
絶対的王者、剣咬の虎の後退により全てのギルドが妖精の尻尾に照準を定める。
「待っていろ、グレイ」
蛇姫の鱗のリオンは恋敵であり、同じ師の元で同じ魔法を学んできた弟弟子を見据える。
「ラクサス・・・マカロフ殿の孫か」
同じくジュラは自分と同じ聖十大魔導の1人であるマカロフの孫、ラクサスに興味を示していた。
「エルザ・・・」
人魚の踵のカグラは同じ剣士であり、さらには彼女が最も憎んでいる男・・・ジェラールと関わりの深いエルザに狙いを定める。
「ガジルか」
青い天馬のトライメンズはバトルパートの途中からいなくなってしまったが、それでも三大竜と五分に渡り合っていたガジルを狙う。
「シリルちゃんの相手はやっぱりソフィアだよねぇ☆」
カグラの隣で目を輝かせ、魔水晶ビジョンを見つめているソフィア。彼女はシリルと戦うことと彼に辱しめをすることが楽しみでしょうがない。
「楽しもうじゃないか、ナツくん」
そしてトライメンズの前に立つ一夜は妖精の尻尾の精神的支柱、ナツを崩し、一気に優勝へと足を進めようと目をキラリと光らせていた。
「すげぇな、シリル」
その頃、ドムス・フラウの中にある蛇姫の鱗の控え室では、この男が1人長椅子に肩をガックリと落とした姿で座り見ているのは、魔水晶ビジョンに映る両手を大きく上げて喜びを表現しているシリルの姿だった。
「最初会った時は俺と同じ側の人間だと思ってたんだがな・・・」
大魔闘演舞1日目の入場前、道に迷い声をかけてきた少年。その時に彼はシリルに対してある感覚を覚えていた。
それは、自分と同じ側の人間であるということらしい。
「まさかあいつは選ばれた側の人間だったとはな」
控え室の天井を仰ぎ見るレオン。彼はしばらく天を仰いだ後、自分の右の掌を見つめる。
「あれからもう1年経ったのか・・・」
場面は闘技場へと戻る。大きく穴が空いた闘技場を見下ろしながら涙を流す一匹の猫がいた。
「レクター・・・」
スティングの相棒であるレクターは最強だと信じてきたスティングの敗北。それも、目標としてきたナツという巨大な壁ではなく、シリルという年端もいかない少年に破れてしまったことにショックを受け、目からあふれでるものを押さえることができない。
それを目撃してしまったフロッシュとキセキも徐々に大切な人が負けたという実感が湧いてきて、目から溢れる雫を拭っていた。
「まさかあの3人が負けちまうとはねぇ」
頬杖をつき予想外の結果にそう言うオルガ。その隣にいる赤い帽子を被ったルーファスはなぜか笑っている。
「面白い試合だった。しかと記憶したよ」
「ククッ。しばらくこれをネタにタカれるじゃんよ」
ルーファスと同じように笑みを浮かべるオルガ。彼らは仲間が破れてしまった悲しみよりも先に、面白い展開になったという嬉しさが出てきたのだった。
「しばらく・・・が、あれば良いがな」
2人の後ろにいたミネルバがそう言う。
3人の敗北を受け、観客席で試合を見ていた剣咬の虎のマスタージエンマは無言の圧で他の観客たちを追い払っていた。
(想いの力・・・か)
待機場所を後にするミネルバ。彼女はシリルたちの戦いを見て何かを感じ取っていた。
シリルside
「やったぁ!!やりましたナツさん!!」
三大竜と言われている3人を倒した俺は嬉しさのあまり後ろから俺のことを見守っていたナツさんに飛び付く。
「お・・・おう/////すごかったぞ、シリル/////」
なぜかナツさんは俺と目を合わせずにそう言う。心なしか顔も赤いし・・・どうしたんだ?
俺がナツさんの不審な態度に首を傾げていると、彼は俺の後ろで倒れているスティングさんたちに視線を向ける。
「また戦おうな。今度は俺が相手してやっからよ」
いつもの笑顔で倒れているスティングさんたちに声をかけるナツさん。悔しいであろう彼らに取ってこういってもらえるのは嬉しいのかわからなかった俺は、声をかけることはあえてせず、ナツさんの後ろにくっつくように闘技場を後にした。
第三者side
「くっ・・・」
悔しそうに手を握りしめるスティング。彼の頭の中では2日目の競技パートでナツたちに一点や二点いらないといい、彼らに順位を譲ったことを思い出していた。
現在のポイントは妖精の尻尾45P、剣咬の虎44P。
(その一点に泣くなよ、小僧)
ガジルが言ったこの言葉を思い出すと彼は後悔をしてもしきれない。もしあの時彼らに必死に食らいつき、あわよくば自分の方が先にゴールしていれば、逆転されることなどなかったのだから。
(か・・・完敗だ・・・)
隣で倒れているローグは体は起こせないがその目はしっかりと開かれており、自分の目の前にある地下の地面を見つめている。
(もしガジルやナツもシリルと同じの戦闘力としたら・・・俺はどこまで思い上がっていたんだろう・・・)
自分の力はとうに彼らを越えたと思い込んでいたローグ。しかし蓋を開ければ結果は惨敗。彼もスティング同様に悔しさを噛み締めている。
(シリル・アデナウアー・・・とんでもない奴だ・・・)
グラシアンは開かない目をなんとか開かせ、遠ざかっていく小さな背中を見届けている。
(これは最終日・・・リベンジしなければならんな・・・)
彼は他の2人とは違い後悔など微塵もしていない。次に勝つために自分ができることをしようと彼は心に決めたのだった。
シリルside
「やったね!!ナツ!!」
闘技場の出入り口から入ってきた俺たちをまず最初に迎えてくれたのはハッピーだった。
「おうよ!!つってもシリルに最後いいとこ全部持ってかれたけどな」
ナツさんはなんだか親の仇でも見るような目で俺を見た後、また頬を赤くして顔をそらす。さっきからなんなんだこの人は。
「やったじゃねぇか、シリル」
ハッピーの後ろからグレイさんがポケットに手を突っ込みながらやって来る。
「えへへ。やりましたよ!!」
「あぁ/////すごかったぜ/////」
なぜか笑顔で俺が返すとグレイさんもナツさんと同じように顔を赤くしながら視線を反らす。なんだ?いじめか?いじめなのか?
「素晴らしい戦いだったぞ、シリル。私もグレイも驚いていたんだ」
今度は俺の後ろからエルザさんがやって来ると俺の頭を掴み、
ゴチーン
自分の鎧を纏った胸へと引き寄せてくる。
「いったぁー!!」
エルザさんの腕力プラス鎧の強度が合わさり思わず絶叫する俺。なんだこれ!?一種の拷問なんじゃねぇか!?
「どうした?男は皆こういうのが好きなのではないのか?」
「いや・・・当たらずとも遠からずではありますけど・・・」
たぶんエルザさんのイメージとしては男性が女性の胸に顔を埋めた時の感じなんだろうけど、それはそんな鎧でするものではない。断じて違う。
「最終日のサバイバル戦に備え、明日はしっかり休んでおけよ」
「最終戦か・・・次こそきっちり決めてやるぜ!!」
エルザさんが俺たちにそう言い、グレイさんが最終日での活躍を誓う。
「まずは優勝!!そんでグレイともエルザともシリルとも勝負だ!!」
「ええーーーーーっ!?」
まさかの俺までナツさんの戦う相手にカウントされている事実に叫ばずにいられない。俺は絶対やらないからな!!
「フッ、いいだろ」
「気が早いっつうかなんつうか」
エルザさんとグレイさんはやる気十分。それを確認したナツさんはこっちに目を向ける。
「もちろんやってくれんだろ?シリル」
「やだ」
「なにーーーー!?」
ナツさんのお願いに首をフルフルとして即座に却下する。俺は死んでもあんたたちとはやらん。絶対やらん。
第三者side
ガチャッ
開かれる医務室の扉。その音を聞いたルーシィやウェンディたちはその入り口の方を見る。
そこにはボロボロな姿のナツとシリル、そして彼らに付き添うようにいるエルザとグレイだった。
「お疲れさま」
「お疲れさまです」
ルーシィとウェンディが戦いを終えた彼らに声をかける。
「どうだった?俺らの試合」
「すごかったよ。ナツもシリルもガジルも・・・3人ともすごかった」
ルーシィは頬を赤らめながら彼らに労いの言葉をかけていく。
「これでようやく1位になったんですもんね」
「けどこれで終わりじゃねぇ。こっからだ」
シリルとナツがそう言う。それに対しシャルルを抱えセシリーを頭に乗っけているウェンディが答える。
「目指すは優勝!!ですよね」
「当然よ。ここまできたんだもの」
「もう一気にいちゃおう~!!」
クールに言うシャルルと大騒ぎしそうな勢いのセシリー。
「初日は最下位スタートだったがな」
「ブーイングまでされたしね」
「それぞれ悔しい想いもあったが」
「後もう一歩で優勝だな!!」
エルフマン、エバーグリーン、エルザ、グレイがそれぞれそう言う。
「ナツ、言ってたもんね。0点から逆転するんだって。涙は優勝した時のためにとっておこうって」
「そうだ!!登ってやろうじゃねぇか!!俺たちに諦めるという言葉はねぇ!!」
どこか嬉しそうなルーシィと気合いを入れ始めているナツ。だったが・・・
「目指せ!!3000万J!!」
「「「「「「「「「「違うだろ!!」」」」」」」」」」
突然乱入してきたマカロフによって出鼻をくじかれてしまう。それからもう一度彼らは想いを1つにし、大きく拳を掲げた。
「目指せ!!フィオーレ一!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」」
それからしばらくし、医務室に雪崩れ込んできたナツたちはシリルだけを置いて先にホテルに帰っており、さっきまでとは打って代わり医務室は本来の静かさに戻っていた。
「それにしてもシリル本当にすごかったね」
「頑張っちゃいましたからね」
「本当にかっこよかったよ」
「惚れ直しちゃったのかな~?」
「「うるさいセシリー!!」」
最後のシリルの独壇場について語り合っているシリルたち。そんな中一緒に話していたうちの1人、シャルルの表情が変わる。
「っ!!」
「ん?」
「どうかした?シャルル」
シリルとウェンディがシャルルに声をかけるが、シャルルは「なんでもない」といい、顔を反らす。
(また・・・城が崩壊する未来予知)
シャルルは嫌な感じを覚えていたが、それを他の人に相談することはしなかった。いや、できなかったのだ。話すとそれが本当のことになってしまいそうな気がして・・・
「ルーちゃん!!」
そこにまたもや来訪者が訪れる。それはルーシィの一番の友達レビィと彼女のチームメイト、ドロイとジェットだった。
「やったね!!」
「レビィちゃん!!」
「2人とも、具合はどうだ?」
「差し入れ持ってきたぞ」
ドロイの持ってきた差し入れは彼がいつも食わえている骨付き肉だった。はっきり言って病人に対する差し入れには向いていない。
「このまま行ったら私たち優勝できちゃうかも!!」
「当然よ!!あのメンバーが負けるわけないもん!!」
「だよなぁ」
「よろしく頼むぜ、シリル」
「もちろんです!!」
レビィ、ルーシィ、ドロイ、ジェット、シリルがそう言う。
「ところで・・・ガジル見てない?」
レビィは試合中にナツによってどこかに送られてしまったガジルのことが心配で色んな人たちに聞いて回っていたようだった。
「あれ?そういや・・・」
「まだ戻って来てないの?」
「それってかなりヤバイんじゃないですか?」
エルフマンとルーシィはあまり気にした様子はなかったが、シリルはかなり心配していた。彼にはわかるのだ、乗り物酔いをしているせいで気持ち悪いのにそれから降りられないという辛さが。
「どっかで鉄でも喰ってんだろ」
「そのうち戻ってくるでしょ」
「それもそうですね」
「そうかなぁ・・・」
ウェンディさえもガジルの心配をしてないせいでシリルもどこかでガジルならという考えになってしまい、彼のことについてあれこれ考えるのをやめてしまう。
そうして再び彼らは先程の滅竜魔導士たちの戦いに話を戻す。
妖精の尻尾のメンバーたちは皆、大魔闘演舞の優勝を信じていた。
このメンバーで負けるはずがないと。
しかし最終日、そしてその直後、彼らの前に思いもよらない強敵たちが現れる。
だが今は誰もそんなことなど知るよしもなかった。
後書き
いかがだったでしょうか。
今回は結構短めになっちゃいました。
次回からアニメ的にはセカンドシリーズに入っていきます。
次回もよろしくお願いします。
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