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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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竜の魂 眠る場所

その日の夜・・・シリルside

ルーシィさんやエルフマンさんがようやく治り、ポーリュシカさんから外出許可が出た俺たちは毎晩恒例の宴会の会場へとやって来ていた。

「んだとテメェ!!もっかい言ってみろグレイ!!」
「ったく、ぎゃーぎゃーうるせぇっつったんだよナツ。暑苦しいんだよテメェは」

何があってこうなったのかはわからないが、机に足を乗せ目の前に座っているグレイさんと睨み合っているナツさん。
この人たちは本当に仲がいいのか悪いのか・・・

「やんのかテメェ!!」
「やんのかテメェ!!」

2人は互いを見据え今にもケンカを始めそうな様子。

「頑張れナツぅ!!」
「相変わらず元気が有り余ってるわね」
「ナツくんは今日バトルしたばっかりなんだけどな~」

ハッピーは小躍りしながらナツさんを応援し、シャルルとセシリーはいつも通りの2人を見てそう言った。

「炎を操る魔導士と氷を操る魔導士・・・ですもんね」
「ま、仲良くニコニコとはいかんだろうな。奥が深い」
「でもその理論で行くと俺とナツさん仲悪くなっちゃうけどね。

口元に困ったように指を添えているウェンディとその後ろで腕を組み2人を見ているリリーに対し、ウェンディの隣で2人のつかみ合っている様子を立ち上がって見ていた俺がそう言う。

「あぁ~ん!!グレイ様!!ケンカをしてても大胆で素敵!!」
「お前・・・色々大丈夫か?」

取っ組み合いのケンカをしているグレイさんを見て嬉しそうに頬を緩ませているのは俺と同じ水の魔導士のジュビアさん。氷と水って相性いいからジュビアさんはグレイさんに惹かれてるのかな?グレイさんは全然そんな感じはないけど。

「はいそこまで!!」
「「あぁ!?」」

胸ぐらを掴んでいるグレイさんと服を着てないために掴むところがなく、髪の毛を引っ張っているナツさんを指さしケンカを止める人がようやく現れる。俺?いやいや、いつものことだから問題ないと思って止めなかったんだよ。

「これ以上やったらまたお店壊しちゃうでしょ!?」
「「ルーシィ?」」

止めてくれたのはルーシィさん。今日の競技パートでミネルバさんに負わされたキズはすっかり治っており、今はピンクのタンクトップにミニのジーパンという肌を見せる服装をしているがどこにもあざなど見当たらない。ウェンディとシェリアの治癒のおかげだな。俺の力は微々たるものだし。

「まぁ、大魔闘演舞も明日はお休みだし、これくらいいいんじゃない?」
「ミラさん・・・そういうことじゃなくて」

ルーシィさんの後ろからミラさんがやって来てそう言う。ただルーシィさんの心配は大魔闘演舞の最終日に支障が出るということではなく、またお店を壊して弁償しなければならなくなるのではないかということなのである。

「にょっほほほほほ」

するとミラさんとは逆の方から妙な笑い声が聞こえてきて、ルーシィさんはそちらに視線を向ける。

「ってマスター!!ほっといていいの!?あれ!!」

その主はマスターだった。マスターはかなり酔っているのか顔は真っ赤。隣にいる初代はそれを楽しそうに足をばたつかせながら見ている。

「ん!!ここはいっちょガツンといっといてやるかの」

マスターは飲み干したジョッキを座っているテーブルに叩きつけるように置くとルーシィさんの期待に応えるのか、ナツさんたちの方を指さす。

「ナツ!!」
「「ん?」」
「やるんだったらとことんやれ!!滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の気合い見せてみぃ!!」
「ちょっと!!」

まさかの展開に思わず突っ込むルーシィさん。まぁマスターならきっとこう言うと俺は思ってたけどね。

「そうだそうだ!!ドラゴンを倒す滅竜魔法の使い手が泣くぜ!!漢だ!!」
「そうね」
「やめてってば!!」

マスター同様ナツさんを煽るエルフマンさんと全く止める気なんかないミラさん。ルーシィさんがエルフマンさんたちを止めようとするがもう時すでに遅し。

「言われるまでもねぇ!!泣かすぞグレイ!!」

ナツさんは右手に炎を纏い戦闘体勢に入る。

「やかましい!!泣くのはてめぇだ!!ナツ!!」

グレイさんも両手を合わせて造形魔法で対抗する。2人の魔法が同時に繰り出され、衝突した途端、

「いただきま・・・!!」

近くのテーブルでお魚を食べようとしていたハッピーにぶつかった。

「「ありゃ?」」
「ひどい!!何この扱い!!」

氷漬けにされたハッピーはまさか自分に当たるとは思っていなかったようでそう言う。
そしてハッピーが持っていたお魚はナツさんの炎で見事ちょっと焦げ気味の焼き魚へと変貌しながら飛んでいき・・・

ベチャッ

エルザさんが食べようとしていたショートケーキを押し潰してしまった。

「「あ・・・」」

俺とジュビアさんは偶然にもその瞬間を見てしまい、固まってしまう。
甘党のエルザさんはケーキが大好物。大好きなショートケーキを壊されてしまったエルザさんはフルフルと震えながら右手に持っていたフォークを曲げてしまう。

「ひっ!!」

俺とジュビアさんの視線の先で何かが曲がる音がしたせいでルーシィさんがビビったらしく、思わず声を出す。

「やな予感・・・」
「そうですね・・・」

ルーシィさんはヤバイ感じのオーラを放っているエルザさんから距離を取るようにそそくさと離れていく。そのエルザさんはオーラを出したままゆっくりと立ち上がっていた。

「今治しますから」
「オイラよりお魚を元に戻して・・・」
「それは無理でしょ~」
「だらしないわね」

エルザさんが怒っているのに気づいてないウェンディはケガしたハッピーに治癒魔法をかけている。ウェンディは純粋だからなのかはよくわからないけど、結構鈍いよな。

「なんか不思議よね。治癒魔法を使うあんなおっとりした子が同時に滅竜魔法を使う滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だなんて・・・」
「だよなぁ。しかもあいつら育てたのはドラゴンつうんだもんなあ・・・」

ミラさんとエルフマンさんはウェンディとナツさん、そして俺を見ながらそんな話をしている。その間もナツさんはグレイさんと拳を交えている。
だがその2人の髪の毛を間に入ってきたエルザさんが掴み、2人の頭をゴチンとぶつける。

「やめんか!!」
「「え・・・エルザ・・・」」

頭の・・・それも脳天に衝撃を受けた2人はあまりの痛さに起き上がることができない。エルザさんって加減を知らないからなかなか厄介な人だよね、普段はすごい頼りになるのに。

「貴様ら・・・今は最強の魔導士ギルドを決める『大魔闘演舞』の真っ只中。しかも最終戦目前だぞ」

エルザさんは目を細め明らかに怒った様子で2人を見下ろしながらお説教をし始める。

「最下位スタートでここまで巻き返したが、どのギルドも一筋縄ではいかん。気を引きしてなければならんこの時に貴様らは・・・私のケーキを!!」
「「「ええ!?」」」

さっきまで相づちをしていたルーシィさんもまさかのオチに驚いてしまう。エルザさんはそんな3人などお構いなしに換装して剣を取り出す。

「そこに直れ!!切り捨ててくれる!!」
「「「ひぇぇぇ!!」」」

目が本気のエルザさん。これはまずい、非常にまずい。
逃げようと全速力で店の中を走るナツさんたちとそれを剣を振り回しながら追いかけるエルザさん。というかなんでルーシィさんも一緒に逃げ回ってるんだ?わけがわからないぞ。

「どうしようシリル・・・」
「どうしようか・・・」

ウェンディと俺はエルザさんたちを止めようかと話し合っている。でも今行ったら俺たちも間違いなく斬られそうな気がするから止めるに止められない。

カラカラカラ

するとお店の扉が開き、そちらを向いた俺たちは入ってきた人を見る。

「「「「ガジル(くん)」」」」
「ったく冗談じゃねぇぞ、やっとついた」

そこにいたのは今日のトリプルバトル中にナツさんに地下のさらに奥に追いやられてしまったガジルさんだった。

「今までどこ行ってたのさ」
「そうだ!!お前試合すっぽかしやがって!!」
「おいおい・・・」
「ナツさん・・・」

ナツさんの発言に呆れるグレイさんと俺。それに対し当然のようにガジルさんも怒りを覚えたらしく、ナツさんに近づき額を近づける。

「あのな!!テメェが試合中にムチャこいたせいでコロシアムの地下に落っこちたんだろうが!!」
「あぁ・・・そうなのか?」
「そうですよ」
「今の今まで覚えてなかったのかよ・・・」

相変わらず記憶力の悪いナツさんに俺とグレイさんがそう言う。目の前にいるガジルさんもあまりの物忘れのひどさに何も言えなくなってしまってるけどね。

「そりゃ大変だったな」
「他人事かよ!!」
「ちゃんと謝った方がいいですよ!!」

自分がやったといまだに自覚がない様子のナツさんに突っ込みを入れるグレイさんと俺。リリーたちも突っ込んであげてよぉ。

「チッ、まぁいい」
「いいんだ・・・」

意外にもガジルさんがすんなりとナツさんを許したことに驚きを隠せない俺。そんな俺のことなど気にする様子もなくガジルさんはナツさんに話を続ける。

「それより、面貸せや火竜(サラマンダー)。見せてぇもんがある」
「ん?」
「お前らもだ。ガキ、小娘」

ガジルさんはそう言うと俺とウェンディに目を配る。

「え?」
「私たちもですか?」

思わず顔を合わせて首をかしげる俺とウェンディ。ガジルさんが見せたいものって一体なんなのかな?





















第三者side

妖精の尻尾(フェアリーテイル)で宴会が開かれている頃、大魔闘演舞の現在の順位とポイントが映し出されているクロッカスの広場にある魔水晶(ラクリマ)の前では今日の試合を見ていた人々がいまだに冷めぬ興奮をぶつけ合っていた。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)パネェ!!」
「優勝来るんじゃない?」
「ないないない」
「セイバーちょっとひどくなかった?」
「見た見たww」
「ラミアも少しまずい感じしたな」
「だなww」

どこが優勝するのかで盛り上がっている観客たち。やはり皆応援するギルドは十人十色なようでまともに相手の意見を肯定する者はほとんどいなかった。

「こりゃあ妖精とマーメイドの一騎討ちか?」
「ラミアは絶対上がってこれないだろうしな」
「まだまだセイバーだって狙えるぞ」
「ないないない!!」
「いや・・・剣咬の虎(セイバートゥース)がこのまま終わるとは思えんダニ」

観客たちの中ではすでに優勝は妖精の尻尾(フェアリーテイル)剣咬の虎(セイバートゥース)人魚の踵(マーメイドヒール)の3つのギルドに絞られているようだった。
四つ首の仔犬(クワトロパピー)青い天馬(ブルーペガサス)は上位ギルドにあまりにも大きく点数を開けられているために逆転は皆難しいと考えている。
そして今日のトリプルバトルで3対1の絶対的有利な状況から引き分けに持ち込むのが精一杯だった上に主力メンバーの弱点が露呈した蛇姫の鱗(ラミアスケイル)は優勝候補に名前が挙がることはなかった。
それと時を同じくして、彼らが優勝候補の一角にあげた剣咬の虎(セイバートゥース)ではある問題が起こっていた。
それと同じように、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)でも・・・


















大きく抉れた大地・・・粉々になりそこら中に散らばっているワイバーンの鱗・・・元々は森だったと思われるその場所には抉れた大地とその境になる場所にたくさんの木々が生い茂っていた・・・
そしてその大きく沈んでいる大地の目の前で立ち尽くしている金の色の髪をした少年。彼の目に映るのは2匹のオレンジ色の猫と自分と同じほどの身の丈の赤紫色の髪をしている少女。
オレンジの猫のうち、1匹は赤紫の少女の腕の中で血まみれになりピクリともしない。
そしてもう1匹・・・少し小さい方の猫は顔を歪ませて泣きじゃくり、少女に抱えられている猫を見ている。
その姿を見ていた金色の少年は足から力が抜けその場に膝をつき、震える体を押さえられないでいた・・・










蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のメンバーが泊まっている宿、ここでは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の宴会も終わりに近づいていた頃、すでに多くのメンバーが眠りについていた。

ガバッ

そんな中眠っていたうちの1人、大魔闘演舞の出場者である魔導士レオンは勢い良く上体を起こし、辺りを見回す。

隣で静かに寝息を立てているシェリア、その同じベッドでさっきまで自分と一緒に寝ていたはずなのにいつの間にやら移動してシェリアにくっついている猫型のラウル。
自分たちの寝ている向こう側のベッドではトビーが鼻提灯を膨らませながらかけ布団を蹴り飛ばしており、隣に寝ているユウカはトビーに背を向けるように布団にくるまっていた。

「夢か・・・」

額に嫌なものを感じ掌で拭うレオン。その手にはびっしょりと汗が付着していた。

「あれから1年・・・か」

レオンは隣に視線を移しラウルの姿を見ながらそう言う。そして彼を見たことにより嫌がおうにも一緒に眠っているシェリアの姿が目に入り、辛そうに顔を歪める。

「2年は長いよな・・・」

ふぅ~と長いため息を漏らした後、彼はもう一度布団に潜り込み眠ろうとする。しかし嫌な夢を見た上にそれにより思い出したくない思い出が頭の中に浮かんできてしまい、彼はただただ寝返りをうつだけで一向に眠りにつけそうにない。

『お前本当にリオンのいとこなのかよ』

ギリッ

『リオンのいとこ・・・レオンくんだったか?彼にはがっかりしたな』

『シェリアの邪魔だけはしないでもらいたいのだが・・・』

振り払ったはずの苦い過去。なのに今日はそれが頭の中に出てくる出てくる・・・耐えかねた彼はもう一度体を起こすと頭を振り、しばらく固まってみる。

「ちょっと外の空気を吸ってくるか・・・」

彼は床に足をつくと眠っているシェリアたちを起こさないようにと静かに扉を開け、部屋の外へと出ていった。








「どこに行く?」
「!!」

部屋から出て外にいこうとまずロビーに向かおうとしたレオンに後ろから声をかける者がいた。彼の一番慣れ親しんだその声は彼が答えるのを待つように一切言葉を発せずに閉ざされている。

「ちょっと外の空気を・・・」
「そうか。わかった」

彼らは短くそんなやり取りをするとレオンはロビーの方へと足を進めていく。

「どうやら相当参っておるようだな」

レオンと話していた薄い水色とも銀色とも取れる髪型をした青年の後ろから長いアゴヒゲを生やしたがっしりした男が現れる。
リオンは顔を少しうつ向かせながらジュラに背を向けて話をする。

「俺のしたこと・・・余計だったんですかね?」
「む?」

ジュラはリオンが何を言いたいのかわからず、リオンの背中を見つめる。

「俺はレオンを()()()()に戻そうと思って今日のバトルパートでわざと周りにあいつの弱点を晒した・・・
でも実際は、その行動がレオンを苦しめてしまっている」

リオンはやってはいけないことをしたのかもしれないと思い、今まで見たことがないくらい表情を歪ませている。
ジュラはそんな彼の隣に並ぶ。

「確かにお前のやり方は少し悪かったかもしれん」
「そうですね・・・」
「だが・・・ワシは余計だったとは思っておらん」

リオンはそれを聞いて驚きながらジュラに視線を向ける。

「今は確かに苦しいかもしれん。だがレオンはそれを以前にも乗り越えてきた。自分の力で」

ジュラすでに見えないレオンの方を見ていた顔をリオンの方に向ける。

「ワシらはあいつをカバーしてやればよい。そうすれば必ず、お前の想いは報われる」
「ジュラさん・・・」

そう言うとジュラは部屋の中に入っていく。リオンはしばらくその場で立ち止まっていたが、ジュラの一言で心の荷が下りたのか、さっきまでの暗い表情から一転し明るく笑顔を見せていた。


















シリルside

「一体何があるんですか?ガジルさん」
「黙ってついてこい」

ウェンディの質問に対して素っ気なく返すガジルさん。
俺たちは今ドムス・フラウの地下へと来ているのだが、ガジルさんは一体何を見せようとしてるのかな?

「なんで俺たちだけ!!」

ナツさんは納得いかないような口調でそう言いながらもガジルさんにぴったりとついてきている。

「俺たちの共通点というと・・・」
滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ってこと~?」

俺とセシリーがそう言う。俺とウェンディ、ナツさんとガジルさんといえば言わずと知れた滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だ。それだとラクサスさんもじゃないかと思われるがあの人は第二世代・・・つまりドラゴンに滅竜魔法を教えてもらったわけじゃないから少し扱いが違うらしい。マスターが前にそう言ってたってグレイさんが言ってましたからね。

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)に関係する何かってこと?」
「だろうな」
「っていっても、野次馬もいるけどね」

ハッピー、リリー、シャルルがそう言う。もちろん野次馬と言うのはこの人たちしかいない。

「馬って奴があるか」
「だって気になるじゃない」

宴会では上半身裸だったのに今はオレンジのシャツを前を開けたまま着ているグレイさんとルーシィさんがそう言う。俺的にはシャルルとかも野次馬の部類に入ると思うぞ?

「ここだ」
「ん?」

先頭を歩いていたガジルさんが立ち止まる。俺たちは彼の前に広がっている光景を見て驚愕した。

「これは・・・」
「一体・・・」
「なんだこりゃ・・・」

ウェンディ、俺、グレイさんが目の前の光景にそう言う。

「動物の・・・骨?」
「ドラゴンの骨・・・ドラゴンの墓場・・・」

ドムス・フラウの地下にある薄暗い場所・・・ここにはなぜか無数のドラゴンの骨が放置されていた。

「これ全部ドラゴンの骨?」
「すごい数!!」
「一体どのくらいいるんだろ~」
「ドラゴンの存在を確定付ける場所か」

ハッピーたちがそう言う。俺たちはそのドラゴンの骨がある場所のより深くに足を進める。

「なんなんだここは」
「知るか」
「どうなってんだこりゃあ」
「こんなにたくさんのドラゴンがなんで・・・」
「ここで何かあったのかしら?」

俺たちは辺りを見回しながらなぜこんなにたくさんのドラゴンたちがここに骨となっているのか話している。

「もしかしてここにイグニールも・・・」
「ハッピー!!」
「何言ってるの~!!」

ハッピーが口走ってはいけないようなことを言ったのでシャルルとセシリーが怒鳴る。ハッピーもそれで急いで口を塞ぎながらナツさんに謝罪する。

「いや・・・いねぇよ」

ナツさんはハッピーの方を振り返ることもなく冷静にそう言う。俺も辺りを見回して見たけどここには俺たちの親であるドラゴンたちは絶対にいない。

「俺たちのドラゴンが姿を消して14年だ」
「ここにいるドラゴンたちはそれよりもずっと前に亡くなっちゃったドラゴンたちだろうね」

ガジルさんと俺がハッピーにそう伝える。ここにあるドラゴンの骨は相当古いものだ。もしかしたら100年とか普通に越えているものもたくさんあるかもしれない。

「あ・・・」

するとウェンディがこの光景を見て何か思い付いたようだ。

「どうしたの?ウェンディ」
「ミルキーウェイ・・・ポーリュシカさんから教えてもらった滅竜奥義の1つなんだけど・・・」

3か月前に俺とウェンディがエドラスのグランディーネにあたるポーリュシカさんから与えられた滅竜奥義・・・それが一体この状況でなんだっていうんだろう?

「天の川へと続くドラゴンの魂の声を聞け・・・私てっきり攻撃系の魔法だと思ってたんですが・・・もしかしたらこのことなのかも」
「?」

イマイチウェンディが何を言いたいのかわからず首をかしげる。ウェンディの話を聞こうとナツさんたちも近くにやって来る。

「ミルキーウェイ、魂となったドラゴンの声を聞く魔法かもしれません」
「え!?」
「何?」

魂となったドラゴン・・・つまり死んじゃったドラゴンってことだよね?それを聞くって・・・

「それって・・・」
「ここにいるドラゴンの声が聞こえればここで何があったかわかるかもしれません。そしていなくなった私たちのドラゴンのことも」

ウェンディの言葉にナツさんとガジルさん、そして俺は顔を見合わせる。ヴァッサボーネに繋がるかもしれないドラゴンたちの声。それを聞くためにウェンディはポーリュシカさんから教わった滅竜奥義を発動させるための準備に取りかかった。







 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
次はよくしゃべるあいつの登場です。
次回もよろしくお願いします。 
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