FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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シリルvs.三大竜
前書き
この話の前半部分のイメージができるようにと考えてみた今更ながらのシリルの容姿←いまさら!?
身長と体型のベースはウェンディ。だけどウェンディと違って胸の膨らみは一切ないです。一応男の子ですので「一応言うな!!」
目の感じはジュビアの目にたまに光が入った時の感じでグレイみたいに少しだけ垂れてるって感じです。
髪型は一番分かりやすくいうとジュビアVer.1.1です。
イメージできましたかね?なんでいきなりこんなこといったからはお話の中でわかると思います。
『おおっと!!今度は妖精の尻尾のシリル・アデナウアーが1対3の宣言だぁ!!』
シリルの無謀にも思えるような宣言。しかし観客たちはその宣言に大いに盛り上がっていた。理由は単純、3日目の競技パートでエルザとたった2人で100体切りをした彼の実力を、しかも今度は独壇場で見れるというのだから盛り上がらないわけがない。
「1人で十分だと・・・?」
「ふざけてんのか・・・」
スティングとグラシアンは顔にシワを浮かべ、シリルの宣言に苛立ちを覚えている。
「お前に用はない。ガジルとやらせろ」
ローグも同様に怒っている様子。グラシアンがローグをバカにするのかと思われたがあまりにも頭に血が上りすぎている彼にそんなことをする余裕はない。
「俺に勝てばナツさんとガジルさんが相手してくれますよ。最も、勝てればですけど」
普段ではありえないようなシリルの挑発。これには見ている妖精の尻尾の面々も驚いていたが、きっとルーシィをバカにされたことに対する仕返しなのだと思い、見届けることにした。
ボワッ
再びドラゴンフォースを解放しようとする三大竜。すぐにでも戦いが始まろうとしたその瞬間、待ったがかけられる。
「ちょっと待て!!」
「「「「!?」」」」
シリルの後方から聞こえてきたその声。4人の竜は全員がそちらを向く。
「ガジル邪魔!!」
「うおっ」
シリルたちの戦いに待ったをかけたナツはケンカをしていたガジルを地下に備え付けられていたトロッコに乗せると、ブレーキを解除する。
それによりガジルを乗せたトロッコは重力に従い地下のさらに深くまで落ちていく。
「おい・・・てめぇ・・・うぷっ・・・」
ガジルはトロッコから懸命に降りようとしたが、真の滅竜魔導士となったことで乗り物酔いをしやすい体になってしまったため、吐き気をもようしそのまま一気に線路の上を下っていくり
「うわあああああ!!」
ガジルの悲痛の叫びがドムス・フラウに響き渡る。落ちていくガジルを確認したナツは仲間であるシリルの元へと駆け寄ってくる。
「シリル!!俺にもやらせろ!!つかむしろ俺1人で十分だ!!」
「「「何!?」」」
ナツは例によって戦わせろとシリルに詰め寄る。三大竜はシリルに続きナツまでも1人で戦うと宣言したことによりさらに苛立ちを募らせていく。
「でもナツさんケンカしてたし・・・」
「んなの関係ねぇよ!!」
どっちも譲ろうとしない妖精の尻尾。しばらく睨み合っていると、シリルが何かを決意したような顔をする。
(仕方ない。あれをやってみるか)
シリルは目の前にいるナツの右手を持つと、それを両手で包むように握る。
「?」
ナツはシリルが何をしようとしているのかわからず唖然としてしまう。
シリルはナツの手を握ったまま一歩彼に近寄ると・・・
「どうしてもダメですか?」
目をウルウルとさせながら美少女顔負けの上目遣いをし始めた。
「!!/////」
これにはナツも驚いたが容姿は美少女のシリル、彼にそんなことをされて興奮しない男はおらず、頬を真っ赤に染める。
ウルウルウルウル
ナツに許可をもらえるまでは絶対にやめないであろうシリルの上目遣い。しかも運営もその上目遣いに魅了されてしまったのか、観客たちが見ている大型魔水晶にアップで映し始めた。
「「「「「オオオオオオオオッ!!!!!」」」」」
シリルのお色気作戦にソフィアのセクハラで盛り上がった男性陣はもちろんのこと、若い女性たちやシリルと同い年くらいの少年少女、全ての人たちが歓声を上げている。
『キターッ!!ウェンディたんとシェリアたんに続く3人目の天使降臨だぁ!!』
『目の保養になるね』
『ありがとうございます!!ありがとうございます!!ありがとうございます!!』
実況席の3人もシリルの上目遣いに大興奮。昨日のウェンディとシェリアの登場に大喜びだったチャパティは席から立ち上がり、マイクを握りしめ鼻息を荒くしていた。
「ちょっ・・・シリル可愛すぎ/////」
蛇姫の鱗のシェリアはそう呟いた後隣にいるリオンの反応を見てみようと横目で彼の方を見る。
「いかん・・・俺にはジュビアという心に決めた人が・・・////」
画面を直視しないように顔をうつ向けながらもちょいちょいビジョンを見ているリオン。彼もまたシリルの色気に引っ掛かってしまった人なのかもしれない。
「レオンは・・・」
シェリアはシリルと仲の良いレオンに目線を向ける。が、どこにも彼の様子はない。
「あれ?シェリー姉、レオンは?」
「さ・・・さぁ?お手洗いじゃないですか?/////」
シェリーはシェリアの質問に画面から目を離さずに答えている。シリルの上目遣いを目に焼き付けようとしているかのように。
「シェリー姉・・・」
シェリアはシリルに見とれているシェリーに思わず呆れてしまったが、自分もシリルに見とれてしまっていたため何も言うことができず、静かにため息をついていた。
「きゃあああああああ!!」
その頃ルーシィたちのいる医務室ではウェンディの悲鳴が響いていた。
「見ちゃダメ!!見ちゃダメです皆さん!!」
恋人のシリルのまさかの姿に顔を真っ赤にしながら画面を隠すウェンディ。
「ウェンディ・・・あんたちょっと慌てすぎよ・・・」
「別にナツくん説得するための策なんだから気にすることないじゃん」
シャルルとセシリーはウェンディが彼氏であるシリルの女の子のような行動を回りに見せたくないのだろうと思い、そう言った。だが彼女の考えは違う。
「違うよ!!こんなの見たらみんなシリルが好きになっちゃうぅ!!」
「「「そっちか・・・」」」
ウェンディの心配はシリルを好きになる人が増え、ライバルが増えてしまうのではないのかという考えだったようだ。
だがこの上目遣いでは彼の同性である男しか落とせない上に、ウェンディバカのシリルに取ってはウェンディ以上の存在などいるわけもなく、彼女のライバルになり得る訳がないということに気づけないほど、彼女は余裕はなかった。
「ダメですか?」
「くっ・・・/////」
この映像を見ている全ての人が魅了されている中、直接にやられているナツが耐えられる訳もなく、彼は極力おかしなことを言わないようにと顔を反らしながら首を縦に振る。
「やった!!ありがとうございます!!」
小さくガッツポーズした後頭を下げるシリル。そして上げた顔はまさしくしてやったりという感じの顔をしている。
しかし彼は決して自分の女のような容姿を利用してこの作戦をしたわけではない。彼の考えとしてはこうだったのだ。
(やっぱり年下の子にこんなことされたらいくらナツさんでも折れてくれるよね)
そう、彼はナツよりも年下であり、ギルドの中でも1、2を争う幼子である自分に見つめられたらきっと誰でも折れて譲ってくれるという考えだったのだ。
「んじゃ・・・やりましょうか」
シリルはようやく三大竜と戦えるとそちらを振り返る。だが彼らはシリルの方を一切向かず、なぜかローグの肩にスティングとグラシアンは手を乗せていた。
「俺・・・お前の気持ちわかったわ・・・」
「今までバカにしてすまなかった」
「いいんだ。わかってくれたなら」
7年前にローグがシリルに一目惚れしてしまったことをずっとおちょくる材料にしてきたスティングとグラシアン。だがたった今シリルがナツにお願いするべく行った行為を間近で見てしまった彼らはシリルの可愛さに魅了されてしまい、あれが男だとわかってなかったら間違いなく落とされていたと思い、ローグに謝罪の言葉をかけていたのだった。
「俺・・・今あいつと戦える自信ないわ・・・」
「奇遇だな。俺もだ」
スティングとグラシアンは完全に戦意喪失ぎみ。それを見たシリルはどうせならとさっきの質問をもう一度投げ掛けてみる。
「さっき言ってた初恋がなんちゃらって・・・あれなんですか?」
シリルの質問を聞いたスティングとグラシアンは互いの顔を見てうなずくとシリルに視線を向ける。
「7年前の魔法コンテストでお前に花を渡した奴いただろ?」
「あれな・・・こいつなんだ」
そういって2人はローグを指さす。ローグは決まりが悪そうな顔をしてシリルを見ないようにしている。
「え!?そうなんですか!?」
もちろん驚くシリル。しかし彼はすくに冷静になるとペコペコと頭を下げる。
「お花、ありがとうございました」
「いや・・・いいんだ」
「でもなんで花なんてくれたんですか?」
「「「・・・は?」」」
シリルの予想外の発言に三大竜全員が思わず声を出す。シリルはよくわからないといった表情で首をかしげる。
「いや・・・なんで花くれたのかなぁ?って」
「お前それは普通好きだからに決まってんだろ!!」
「それ以外に花なんかやる奴なかなかいねぇぞ!?」
状況を飲み込めていないシリルに対してスティングとグラシアンが怒声にも似た声を出す。
「好きって・・・ローグさんて男ですよね?」
「そうだ」
「だったらなんで俺を好きなんか・・・」
そこまで言ってシリルは気づいてしまった。彼は自分のことを女だと勘違いしていたのだと。
「まさかあんた俺のことを女と間違っていたのか・・・」
「むしろドレスなんか着ておいて間違えない方がおかしいだろ」
ローグの最もな意見。だがシリルに取ってこの発言はプライドを傷つけられた以外の何物でもない。
「人の性別間違えておいて仕方ないはないだろ・・・」
「つーかお前はローグの気持ちに気づいてなかったのか?」
「それはそれでお前もひでぇぞ」
「うるさいうるさいうるさ~い!!」
どう考えても三大竜の方が正しい気がしたシリルは無理矢理彼らを黙らせると腕に水を纏っていく。
「俺が勝ったら俺をバカにしたこと・・・それと仲間をバカにしたこと、全部謝ってもらいますからね」
「だったら俺らが勝ったら・・・」
「ローグの気持ちを踏みにじっといてなおかつそれに気づかなかったことを・・・」
「謝罪させてやる」
ローグたちはそういうと体に魔力のオーラを纏っていき、ドラゴンフォースを解放する。それもさっきよりも明らかにプレッシャーが大きい。
「ドラゴンフォースは竜と同じ力。この世にこれ以上の力はねぇ。ドラゴンの力に破れされぇ!!」
スティングは今までよりもさらに速い速度で走り出し、シリルに向かって鉄拳を放つ。だがそれをシリルは片手で軽々と受け止める。
「その程度・・・か!!」
「ぐあっ!!」
シリルはスティングの顎に頭突きを喰らわせる。スティングは思わず後方へとよろけるとすぐさまグラシアンがシリルに踵落としを入れようとする。
「幻竜の・・・地割れ!!」
グラシアンの振り落とされた踵は大地にヒビを入れるほどに強烈だった。しかしシリルはその攻撃を完全に予知しており、平然とグラシアンの背後へと移動していた。
「水竜の・・・鉄拳!!」
「ぐああっ!!」
シリルのパンチにより空中へと投げ出されるグラシアン。そのシリルに今度はローグが遠距離攻撃を打ち込む。
「影竜の・・・咆哮!!」
影の竜の黒きブレス。それに対してシリルは振り向きながら同じようにブレスを吐き出す。
「水竜の・・・咆哮!!」
シリルの口から出されたブレスはローグのブレスにぶつかると一瞬のうちにそれを打ち消し、ローグを飲み込む。
「まだまだぁ!!」
「こっからが本番だぁ!!」
「俺もだ・・・まだやれる!!」
シリルに数秒のうちに次々と返り討ちにあった三大竜。だが彼らは決して諦めるようなことはしない。
「来い!!」
シリルもさっきまで怒っていたのはどこへやら、戦うことに楽しさを感じ始めているのか、歯を見せながらグラシアンたちに構える。
「「「うおおおおおおっ!!」」」
三方向からシリル目掛けて突進してくるスティングたち。シリルはまずスティングの右ストレートを交わすとその腹に向かって強烈なジャブを打ち込み、その隙をつこうと足元を狙い滑り込んできたグラシアンをジャンプで避けると、スティングの腕を掴みグラシアンへと叩きつける。
「「ぐおっ!!」」
スティングの膝が入ったグラシアンと同じように頭が入ったスティングは互いに苦痛に顔を歪める。
そんな2人の直後にローグが左フックでシリルを狙うが、彼はそれも見切っており、頭を下げながら交わすと次々に繰り出される拳をすべて避け、顎にアッパーパンチを叩き込む。
「うおおっ!!」
シリルは自分のすぐ周りに集まった形の3人を体を空中で一回転させながら全員に蹴りを入れていく。
「マジかよあいつ・・・」
「1人でもこれだけ戦えたのか・・・」
妖精の尻尾の待機場所ではグレイとエルザが1人でグラシアンたち3人を圧倒しているシリルを見て驚愕している。
「あいつは元々やれる奴なんだよ。ナツと同じで敵が強ければ強いほど力を発揮していく奴なんだ」
2人の後ろで腕を組んでみているラクサスは少し口角を上げ、その戦いを見守っていた。
「すごい・・・」
「凄まじいものだな」
蛇姫の鱗のシェリアはグレイとエルザ同様に驚いており、ジュラは次々と三大竜に攻撃を打ち込むシリルに感心したようにそう呟く。
「初めて会った時はどう見ても頼りない奴だと思っていた。だが今は違う」
リオンは腰に手を当て魔水晶ビジョンに映るシリルを見ながら言う。
「妖精の尻尾の強い想いが、あいつを大きく成長させているんだ」
「素晴らしい香りだね、シリルくん」
「クソッ、あいつどんだけ強いんだよ」
「まさしく格が違うって感じですね」
青い天馬の一夜、レン、タクトはシリルの実力の高さに純粋に感心していた。
「やあああっ!!」
「くはっ!!」
シリルの鉄拳がスティングの顔面を捉え、地面に仰向けに倒れるスティング。しかし彼は諦めるということは絶対にしない。すぐに立ち上がるとローグとグラシアンとアイコンタクトをし、3人同時にシリルに迫る。
ドンッ
しかしシリルは後ろから来ていたグラシアンのパンチを頭を下げながら避けると、勢いで前のめりになりながら頭上に来たグラシアンに頭突きをいれつつローグとスティングに両手を広げて拳を押し込む。
「ハァッ!!」
スティングは後ろによろけながらもブレスを吐き出しシリルを攻めようとする。だがシリルは目を解放しているため、その攻撃を体を横に少し動かし楽々避けると、口に魔力を溜めてブレスをスティングに放つ。
「ぐわあっ!!」
ピンポン玉のように飛ばされ壁に激突するスティング。これには剣咬の虎のメンバーたちも驚きを隠せない。
「おいおい、マジかよ」
「記憶にないね、ドラゴンフォースの力がこうも押されるなんて」
「力・・・か」
なおも続くシリルの猛攻。三大竜はなすすべなく闘技場の地下の壁や地面に打ち付けられ、完全にサンドバック状態である。
「バカな・・・」
「俺はナツさんを越えるために進んできたのに・・・なんでこいつに・・・」
立ち上がるのがやっとのグラシアンとスティング。シリルはそれを見て笑みを浮かべながらこう言う。
「残念ですけど、ナツさんとガジルさんはもっともっと強いですよ」
「っ・・・!!」
突きつけられる現実。シリルはまだ幼い分未熟なところも多いため、今の段階ではナツよりも劣っているというのもうなずける。
しかしそれでは自分たちは7年間何をやってきたのかわからなくなり、スティングは表情を歪める。
「スティング!!グラシアン!!」
シリルの発言を聞いた途端、ローグの目付きが変わる。ローグは2人の名前を呼ぶと右腕を引き、自らの後ろに巨大な魔力の球体を作っていく。
「おおっ!!」
「ああっ!!」
それを受けスティングは両手を引き、グラシアンは左腕をローグと同じようにして自分の魔力の球体を作り出す。その球体は少しずつ、少しずつ大きくなっていく。
「この感じ・・・また魔力の質が変わりましたね」
「3人の魔力が融合を始めているのね」
共に長き日を歩んできた友。3人は目の前の相手を倒すために力を合わせる。
「合体魔法!?」
「それも3人での魔法。相手の意思と呼吸、魔力を一体化させた力。生半可な信頼関係では絶対に発動することができません」
マカロフとメイビスが次第に高まっていく3人のプレッシャーを感じ取り、緊張した面持ちでそう言う。
3人の後ろに現れていた魔力の球が一瞬で消える。彼らは先程まで高めていた魔力を一点に絞り込むと、スティングを中心とした隊形からその絞り込まれた力を合わせていく。
『ヤジマさん!!あれはいったい・・・』
『合体魔法・・・一般には一生かけても習得することができない高難度な魔法とされておるんだが・・・』
本来できる可能性が限りなく低い魔法。それを生み出すのは相手のことを熟知し、それに対応できる経験。
「「「聖幻影竜閃牙!!」」」
3人が後方に持ってきていた腕をピタリと合った呼吸で前方へと出し、合わされた力は前方にいる敵へと目掛けて飛んでいく。
シリルはそれを交わさそうとはせす、真っ正面から受け止める。
「まさかシリル・・・受け止めるつもり!?」
「ムチャだよ~!!そんなの~!!」
医務室から試合を見届けているシャルルとセシリーはそう叫ぶ。
「大丈夫!!」
しかしそんな2人の考えを否定する者がいた。
「シリルは絶対大丈夫だから!!」
そう言ったのは彼のおさななじみであり、恋人であるウェンディ。彼女の声を聞いたシャルルとセシリーは顔を見合わせた後、笑って納得してしまう。
「どんなに離れていても、ずっと見守っている・・・か」
右手の親指と人差し指を立て、頭上へと掲げるルーシィ。それはかつて幼き日のラクサスが、マカロフが、ミストガンが大切な人に送った無言のメッセージ。
ルーシィのそれを見たウェンディとシャルル、セシリーとエルフマン、そしてエバーグリーンが同じようにポーズを取る。
彼女たちと同じように、応援席にいる妖精の尻尾のメンバーたちも手を上げ、シリルに無言のメッセージを送る。
(力だけでは決して破れない壁があります。しかしそれを打ち破る力があるとすればそれは・・・想いの力)
自らに迫る三大竜の意地と誇りをかけた一撃。シリルはそれに新たなる技で挑む。
「行くよ!!ヴァッサボーネ!!」
両手首を合わせたシリル、それをヘソの前に持ってくると水色の魔力がそこに集まってくる。
「雲竜水!!」
肘を伸ばし三大竜に向かって放たれた魔法。かつて父が自分のために、エドラスの父を通して教えてくれた魔法。
1つになったギルドの想いを乗せた彼の魔法が三大竜の意地と誇りをかけた一撃を
打ち破った。
「「「なっ・・・」」」
ドゴォーン
大地震でも訪れたのかと思ってしまうほどの振動がドムス・フラウを揺るがす。
『おおっと!!今両者の大技が決まったようですが、凄まじい振動です!!どうやら中継用の魔水晶が故障したようなので、しばらくそのままお待ちください!!』
4人の衝突した力の大きさに最初に悲鳴を上げたのは魔水晶ビジョンの方だった。会場に映し出されている映像は砂嵐のようになっており、見ている全ての者が映像の復帰を待ち、視線を画面から一切外さない。
しばらくすると魔水晶が復帰し、地下の様子が映し出される。
『ああっと、お待たせしました!!魔水晶ビジョンの映像が回復したようです』
静まり返りビジョンに見入る観客たち。最初に映ったのは剣咬の虎が誇る三大竜が1人、ローグ・チェーニ。
(シリル・アデナウアー・・・)
立っていたかに見えたローグ。しかし突然ふらつき始めた彼は前のめりに倒れ出す。
(こいつの底が・・・見えねぇ・・・)
次に映ったグラシアンは背中の方からゆっくりと崩れていく。
(レクター・・・強すぎるよ・・・こいつら・・・)
スティングは膝をつくと、重力に従うように前に上体を倒していく。
バタンッ
3人のドラゴンが力なく地面に伏す。それはつまり、この死闘の決着を意味していた。
『こ・・・これは・・・立っているのは・・・シリル・アデナウアー!!』
傷だらけになりながらも倒れているスティングたちを見下ろし、仁王立ちしているのは小さき竜、シリル・アデナウアー。
(ギルドとは、想いを育む場所)
カンカンカンカン
試合終了のゴングがなったと同時に両手を上げて喜びを表現する勝利者。
『妖精の尻尾だぁ!!三大竜破れたりぃ!!勝者!!妖精の尻尾!!』
この結果を受け妖精の尻尾の得点に10ポイントが加算される。
昨年まで弱小ギルド、万年最下位という不名誉な名を欲しいままにしてきた彼ら。1日目はまさしくその名通りの最下位スタートであった。
しかし帰ってきた天狼組の活躍により2日目から少しずつ点数をあげたことによりじわりじわりと追い上げついに、大魔闘演舞始まって以来初となる・・・
1位 妖精の尻尾 45P
2位 剣咬の虎 44P
3位 人魚の踵 40P
3位 蛇姫の鱗 40P
5位 青い天馬 30P
6位 四つ首の仔犬 15P
単独首位に立つ!!
後書き
いかがだったでしょうか。
終盤地の文を作者が読んでる『ONEOUTS』をイメージして作ってみました。できてるかよくわからんけど(笑)
というか三大竜と本気で戦うきっかけになった理由はどう考えてもシリルがわr「うるさいうるさいうるさ~い!!」
というわけで無事に『バトル・オブ・ドラゴンスレイヤー』終了です。
最終日の構想もほぼ確定しております。
次回もよろしくお願いします。
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