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ドーバ

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第四章

「現地に先に行って色々と仕事をしてました」
「それで今ですか」
「こちらに来ました」
 そうだというのだ。
「田所作之助といいます、宜しくお願いします」
「田所さんですか」
「はい、ちなみに名前は親父に私の出身地の作家の名前をつけられました」
「作之助っていう名前は」
「そうです、大阪の」
 田所はキラに明るく話していく。
「そこから来ました」
「そうですか」
「そうです、そしてです」
 田所はキラに彼のペースで話していった。
「今回はクラも観てです」
「別にそれは」
「それとです」
 さらにとだ、田所はキラに自分のペースで話していった。
「収穫祭も観ますので」
「収穫祭もですか」
「あと観光にビーチにお料理に」
「けれど全部ですよね」
 キラは眉を顰めさせて田所に言った。
「部族で未開の」
「ここでも言わせて頂きますが」
 にこにことしたままだ、田所はキラに言うのだった。
「ここは面白いんですよ」
「未開でもですか」
「未開とかそういうのは忘れて」
 そしてというのだ。
「素直に楽しめばいいんですよ」
「海とかをですか」
「はい、お料理とかも」
「そうすればいいんですか」
「ホテルもいい場所ですし」
 そうしたホテルに宿泊するというのだ。
「何でも存分に楽しんで下さい」
「どうしてなんですか?」
 キラは真剣にだ、田所に疑問に思う顔で問うた。
「田所さんは日本人でこのツアーの人もオーストラリアとかからの人が多いですよね」
「はい、そうですが」
「それでどうしてなんですか?」
「どうしてとは」
「どの国もパプワニューギニアより進んでいるので」
 文明がというのだ、彼等の中での。
「そんなところから来るんですか」
「そこがいい場所だからですよ」
「このトロブリアンドが」
「はい、素晴らしいものがありますので」
 田所はこの時ににこりとしていた、そのうえでの言葉だ。
「だからですよ」
「そうとは思えないですが」
「まあそう言わずに。貴方もわかりますよ、このツアーの時に」
「部族や未開とかのよさが」
「いえいえ、人間は近代化ばかりじゃないんですよ」
 それだけが善ではないというのだ。
「それがおわかりになるかと」
「そんなことは」
「日本人も昔はそう思っていましたよ」
 他ならぬ自分達もとだ、田所はキラにこうしたことも話した。
「けれどです」
「今はですか」
「違います」
「こうした場所もですか」
「いいと考える人が多いです」
「どうしてなんですか」
「そうした場所を観て気付いたからですよ」
 それ故にというのだ。
「だからです」
「そうなんですか」
「はい、ではこのツアーをです」
「一緒にですね」
「楽しみましょう」
 田所は終始にこにことしてキラに話していた、そして。 
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