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ドーバ

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第五章

 キラはそのツアーの日程の中で旅行をしていった。ホテルに泊まってそこの食事を食べてクラも観て海でも泳いだ。
 海では他の観光客は楽しんでいた、キラもこの時はそうだったが。
 しかしだ、マリンブルーの何処までも続く海を観て彼はこう言った。
「これ位の海なら」
「パプワニューギニアではですね」
「海と森ばかりですからね」
 上はシャツ、下は半ズボンで砂浜にいる田所に言った。
「ですから」
「特にですか」
「これ位では」
 全く、という口調での言葉だった。
「僕は」
「まあそれはです」
「僕がパプワニューギニア人だからですね」
「その中にいるとです」
 田所はここでもにこにことして話した。
「そのよさにわからないこともありますよ」
「そうなんですか」
「この海にしましても他のことも」
「他のこともですか」
「はい、わからないことがありますよ」
 こうキラに言うのだった。
「時として」
「そうですかね」
「では今は海を楽しんで」
 ここでもにこにことしている田所だった。
「ここでお昼も楽しみましょう」
「砂浜で、ですか」
「日本の海のお料理を用意しています」
「日本の?」
「はい、焼きそばです」
 用意しているのはこの料理だった。
「ここの海の幸を使ったそれを楽しんで下さい」
「そばっていうとヌードルですか」
「日本の」
「それは美味しいですか」
「かなり」
 田所はキラに自信に満ちた声で答えた。
「ご期待下さい」
「それじゃあ」
 キラはその焼きそば、鉄板の上で油をしいた後で海の幸と一緒にソースや塩胡椒で味付けをしたそれは素直に楽しめた、そして。
 海も何だかんだで楽しんだ。しかしそれでもだ。
 部族、未開についてはそのままだった。思うことは同じだった。
 その彼にだ、田所がまた言ってきた。日程が最後になって来た時に。
「では今日の夜はです」
「あれですよね」
「はい、収穫祭ですよ」
「ヤム芋のですか」
「この辺りの名物ですよね」
「はい、ヤム芋は」
 その通りだとだ、キラも答える。
「そうです」
「それのお祭りですので」
「そうしたお祭りも」
 ここでも言うのだった。
「やっぱり」
「未開ですか」
「部族のお祭りですからね」
 やはりこう言うのだった。
「未開ですよ」
「まあそう言わずに」
「お祭りに参加してですか」
「楽しまれて下さい」
 是非にというのだ。
「そうされて下さい」
「こうした場所の収穫祭は」
 ここでキラが言うことはというと。 
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