ソードアート・オンライン ~黒の剣士と神速の剣士~
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SAO:アインクラッド
第25話 剣技は更なる速さへ
第3者side
「アスナ!サキ!20秒耐えるぞ!」
「了解!」
「わかった!」
キリトは叫びながら悪魔の亡霊へダッシュする。
悪魔の亡霊は近付いてくるキリトに向けて剣を右上から斬り下ろす。
キリトは剣をクロスさせるとその攻撃を受け止める。
その間にサキは悪魔の亡霊の剣を伝って顔に、アスナは腹部にソードスキル、細剣スキル8連撃技《スター・スプラッシュ》を撃ち込む。
キリトは悪魔の亡霊の剣を押し返すとアスナとスイッチし二刀流スキル16連撃技《ナイトメア・レイン》を放つ。
キリトは技後硬直から回復するとバックステップで距離をおく。
悪魔の亡霊は「グルァア!!」と短く叫ぶとキリトに向けて次々と斬撃を繰り出す。
「キリト、スイッチ」
「お、おう!」
キリトは無理やりブレイク・ポイントを作り出すとその場から退く。
キリトが退くと同時にカゲヤが神速スキル突進技《ストレイトライン》を発動して悪魔の亡霊に攻撃する。
だが、その姿はいつもと少し違っていた。
姿とはいっても変わったのは髪と目だけだが。
髪は純白からほんの少し水色かかった白色に。
目は水色から青に近い水色に変わっていた。
そしてその目はほんの少し光っていた。
「あれは一体……」
キリトは後方に下がるとカゲヤを見ながら呟いた。
近くにはアスナとサキもいて、アスナはカゲヤに視線を向けたままサキに訊ねた。
「サキちゃんは何か知ってる?」
「私も初めてだからわからない……」
サキもカゲヤを見詰めながら応える。
その後は3人共一言も喋らずただひたすらカゲヤを見守った。
カゲヤside
「キリト、スイッチ」
「お、おう!」
俺が言うとキリトはすぐにサイドステップでその場から退いた。
それと同時に《ストレイトライン》を発動して悪魔の亡霊に撃ち込む。
ソードスキルが終わると悪魔の亡霊から少し距離をとる。
「さて、1分で終わらせてもらうぞ………神速スキル《4倍速》」
発動すると同時に俺は地面を蹴る。
悪魔の亡霊は剣を左から横一線に振るうがそれを俺は走りながら上体を前に倒し、腰を落として避ける。
そしてソードスキル、片手剣スキル8連撃技《ハウリング・オクターブ》、細剣スキル10連撃技《オーバーラジェーション》、神速スキル32連撃技《フロォウイング・スタースラッシュ》を立て続けに撃ち込む。
ソードスキルが終わると同時に上から拳が降ってくるがそれをバックステップで避けと拳に片手剣スキル4連撃技《ホリゾンタル・スクエア》を放つ。
悪魔の亡霊は拳を上げると立て続けに剣を振るう。
最初の左上からの斬り下ろしを剣で弾き、次の右からの薙ぎ払いをジャンプで避け、左下からの斬り上げを剣で受け流して攻撃を回避する。
そして上段からの斬り下ろしを最小限の動きで避けると一気に悪魔の亡霊まで距離を詰め斬撃を次々と放つ。
悪魔の亡霊も負けじと攻撃を撃ち込んでくる。
悪魔の亡霊の攻撃を弾いたり避けながら攻撃する。
よし。あの時と一緒だ……よく見える……
悪魔の亡霊の攻撃を全て弾き、避け、攻撃し悪魔の亡霊のHPだけがどんどん減っていく。
途中悪魔の亡霊が横一線に振るった剣を俺はジャンプするとタイミングを見計らい真下に来た瞬間に片手剣スキル重単発技《ヴォーパルストライク》を剣の腹に撃ち込み破壊する。
そして着地すると同時に斬撃のラッシュを再開する。
しかし剣は折れた部分から闇のようなものが伸びていき元通りになり悪魔の亡霊はまた攻撃を開始する。
「グルァァァアアア!!」
「!!……来た」
不意に悪魔の亡霊が咆哮をあげ背中の翼を広げる。
その行動だけで悪魔の亡霊が飛ぶことがわかった。
だが、飛んだ時の対処法はあらかじめ用意していた。
俺は悪魔の亡霊が飛び上がる前に悪魔の亡霊の体を駆け上り背中に剣を突き刺す。
それと同時に悪魔の亡霊は翼を羽ばたかせ上空へ飛び上がる。
おれも剣を握ったまま一緒に上空へ飛び上がる。
といっても悪魔の亡霊の背中に突き刺した剣にぶら下がっているだけだが。
悪魔の亡霊は10メートルまで飛び上がり急停止するとその反動でおれは上に飛ばされる。
しかしそれは計算の内なので慌てず空中で体勢を立て直すとソードスキルを発動し
「堕ちろ」
その言葉と共にソードスキル、神速スキル36連撃技《ブレイジング・アサルト》を悪魔の亡霊の背中に撃ち込む。
悪魔の亡霊は悲鳴にも似た叫び声をあげながら攻撃を喰らうたびに少しずつ地面に向かって落ちていく。
ソードスキルが終わると悪魔の亡霊は翼を羽ばたかせ上昇しようとするが立て続けにソードスキル、神速スキル43連撃技《アンリミテッド・ナイトメア》を放ち更に落とす。
必死に翼を羽ばたかせる悪魔の亡霊を力尽くで止め押し返す。
残り時間も少なくソードスキルが終わると同時にラストスパートをかける。
片手剣スキル10連撃技《ノヴァ・アセンション》、細剣スキル9連撃技《ヴァルキリー・ナイツ》、片手剣スキル6連撃技《ファントム・レイブ》を立て続けに放ち、最後に神速スキル52連撃技《クリムゾン・レイン》を撃ち込む。
「ハァァアアアア!!」
「グルァアアアア!!」
絶叫しながら、悪魔の亡霊は抗い俺は全力で剣を振る。
歯を食いしばりながら更に振る剣を加速させる。
ソードスキルの最後の一撃が翼の付け根に当たりクリティカルヒットした。
悪魔の亡霊は短い悲鳴のような叫びを上げバランスを崩して落下する。
「解除!」
悪魔の亡霊が落下する直前に神速スキル《4倍速》を解除する。
時間制限になる前にぎりぎりで解除することに成功し安堵する。
危ない……あと0,5秒遅かったら間に合わなかった……
地面に向かって落下していく悪魔の亡霊と共に俺も重力に従い落下する。
安堵すると無意識に緊張の糸が切れそれと同時に集中力も切れた。
その瞬間、激しい頭痛と眩暈が俺を襲い意識が朦朧とする。
キリト……後は頼んだ……
その想いと共に俺は意識を失った。
サキside
「カゲヤ君!!」
空中で体勢が崩れ頭から落下するカゲヤ君を見て私は急いで落下地点に向かう。
落下地点まで行くと落ちてきたカゲヤ君をしっかりと受け止める。
「サキはカゲヤを安全なところへ。ボスは俺とアスナが相手する」
「わかった!」
ボスに向かって行くキリト君に返事をしながらカゲヤ君を抱いて扉の近くへ走る。
途中カゲヤ君の様子を見ると水色かかった髪の色が段々薄れていき元の純白の色に戻っていった。
大丈夫だよね……?
寝覚める気配の無いカゲヤ君を見て急に不安な気持ちが溢れてくる。
扉の近くまで来るとカゲヤ君を壁に凭れさせてゆっくりと座られる。
悪魔の亡霊の方を見ると転倒状態になっていてキリト君とアスナが容赦なく協力なソードスキルを放っていた。
「あ、カゲヤ君の剣……」
悪魔の亡霊から少し離れたところにカゲヤ君の剣が落ちていることに気付き、急いで取りに行く。
剣を拾う時にチラッと悪魔の亡霊の方を見るとHPは残り3割になっていた。
もう大丈夫かな……
少し安堵しながらカゲヤ君の元に戻ると背中の鞘に剣を入れる。
それと同時にパリィィィィンという音がボス部屋に響き振り向くと大量のポリゴンの欠片が中に舞いボス部屋の中央に『Congratulations』という文字が高々と浮かび上がった。
やっと終わったんだ……
そう思うと疲れているせいか急に力が抜け私は床に座り込んだ。
カゲヤside
「大丈夫か?サキ」
床に座り込んだサキに後ろから話しかける。
「あっ!カゲヤ君!目が覚めたんだ。よかった〜」
「すまない。心配かけたな」
「あんまり無茶しないでよ」
「悪い、気をつけるよ」
そう言って俺はサキに手を差し出す。
サキがその手を取ると俺は引っ張りサキを立たせてあげる。
そのあとサキと一緒にキリトたちのところへ向かう。
「もう大丈夫なのか?」
キリトは俺たちに気付くと俺に心配そうに訊く。
「なんとか大丈夫だ」
「なら、さっきの戦闘、説明してもらおうかしら」
キリトの隣にいたアスナが笑顔で言う。
怖い笑顔だな……
そんなことを思いながら俺はキリトたちに言う。
「わかったよ。1つ目は神速スキル《4倍速》だ」
「これ以上速くなってどうするんだよ」
キリトが呆れたように言うが俺は気にせず続ける。
「だが、《3倍速》からはある一定時間以上使うと神速スキルに冷却時間が課せられるんだ」
「一定時間て?」
「3倍速は10分、4倍速は1分、そして5倍速は5秒で冷却時間が課せられるんだ」
「だからあの時1分間だけ任せろと言ったのか」
「そういうことだ」
キリトはあの時の言葉の意味が解り納得したように言った。
「1つ目ってことは2つ目もあるんでしょ?」
「まぁ、そうだが……」
そこで俺は言葉を止めた。
突然の沈黙にキリトたちは不思議そうにこっちを見る。
「2つ目はリミッター解除による加速状態と俺たちは呼んでいる」
「それはどういうやつなんだ?」
「例えるなら、某バスケアニメにゾーンていうのがあるだろ?」
「ああ、あのめっちゃ強くなるやつだろ」
「そう。それに近い状態になるんだ」
今の会話でキリトはだいたいわかったらしく納得したが、アスナとサキは理解できず頭の上に?マークを浮かばせながら考える。
「ん〜、わかんないよカゲヤ君。もっと私たちにわかるように説明してよ〜」
「簡潔に言うと100%の力を発揮する状態かな」
「100%?」
「そう。俺の兄が言うには人間にはリミッターが掛かっているらしい。理由は単純にずっと100%の力を出していたら身体が保たないからだと。加速状態はそのリミッターを解除することによって起こる状態の1つらしいんだ」
「でもそれって……」
「ああ、使ったあとに反動がくる。使っている状態が短ければ反動は軽いが、長く使えばその分反動もきつくなる。いわゆる諸刃の剣みたいなものだ」
「使い勝手の難しいやつだな」
「だが、滅多に使うことのないものだから大丈夫だ」
「それなら心配ないな」
3人とも理解して納得すると沈黙し静寂が訪れる。
するとアスナが手をパンパンと叩いて気分を変えるように明るい声で言った。
「これからどうしようか?」
「まずは次の層の転移門をアクティベートしなきゃいけないな」
「あまり気が進まないな……」
「同感だ……」
今頃俺たちのスキルの話題が回っていると思うと転移してきたプレイヤーたちに質問責めにされる可能性があり、俺もキリトも気が進まないのだ。
ただでさえ疲労が溜まっているというのに、これ以上面倒事が増えるのはごめんだ……
「前みたいに隠れてやり過ごせばいいじゃない」
「どんだけ前のことだよ……」
「でもキリト君。前の層の時、途中で抜け出してたよね?」
「うぐ……」
「まぁそれは後で考えよう。まずは次の層の転移門をアクティベートするのが最優先だ。少なくとも何人かはゲート開通を待ってるからな」
「そうだね」
一同は次の層に続く階段に向かって歩き始めた。
後書き
作者「第74層終了!!」
カゲヤ「結構危なかったな」
作者「また新しいスキルと能力が出てきたね」
カゲヤ「今回はスキルなどの能力は説明しているから大丈夫だろ」
作者「そうだね。さて次回は……何の話だっけ?」
カゲヤ「キリトとヒースクリフの話じゃないのか?」
作者「そうだっけ?」
カゲヤ「俺に訊くな」
作者「まぁいいや。それでは次回も!」
カゲヤ「よろしくな」
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