宴のゲスト
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2部分:第二章
第二章
「それでいくか」
「あとは相手だけれど」
「手頃なのいないか?」
チャーリーもそれに入って早速まあずは店の中を見回した。に住人近くが広いパブの中で飲んでいる。その中でジャックは一人を指差した。
「おい」
「んっ!?」
「どうした?」
「あのおっさんな」
一人でカウンターに飲んでいる男を指差したのである。彼等の席からは後姿しか見えない。だがその身体つきはやたらといいものであった。
大柄であり背中も引き締まっている。ジャックが指差したのは彼であったのだ。
「どうだい?」
「そうだな。がたいもいいしな」
「いたぶりがいがあるわね」
エドガーとエリスが最初に彼に賛成した。
「俺はあのおっさんでいい」
「あたしも」
二人はそれでいいとしたのだった。
「それで俺もな」
「よし、これで決まりだな」
ジャックは最後の一人であるチャーリーの言葉も聞いてそれで決まりとした。そうして彼等を代表してジャックがその男に声をかけたのであった。
カウンターの方に向かい声をかける。友好的なのを装って。
「なあ」
「何だ?」
振り向いたその顔も引き締まっている。口髭が目立つ。歳は四十程度だろうか。その彼がジャックに対して振り向いてきたのである。
「あんたは」
「あんたと一緒に飲みたくてね」
にこやかに笑って切り出したのだった。
「どうだい?一緒に楽しくやるかい」
「悪くないな」
男は彼のその友好的な態度に機嫌をよくしたのか笑顔で返してみせた。
「それじゃあ一緒にやるか」
「ああ。それじゃあな」
こうしてジャック達はこの男を引き込んだ。場所をカウンターに移しそのうえで飲む。その時に彼の身の上のこともじっくりと聞くのだった。
「へえ、ボクサーかい」
「そうさ」
男はビールを飲みながら彼等に述べた。
「アマチュアだけれどな」
「だからそんなに引き締まった身体をしてるんだな」
「これでもトレーニングは欠かさなくてな」
男は陽気に彼等にまた話した。やはりその手にはジョッキがある。
「こうして飲んだ次の日もランニングさ」
「真面目だねえ、本当に」
ジャックはそれを聞いて赤ら顔で笑った。
「まるで俺みたいだよ」
「へえ、あんた真面目なのかい」
「そうさ」
気さくな笑みを作ってみせての言葉であった。
「真面目だよ。本当にな」
「そうだよ。真面目がいいんだよ」
男も笑顔で話した。
「何でもな」
「飲むのもかい?」
「そうさ」
こうエドガーに答える。
「真面目が一番だよ。本当にな」
「じゃあ真面目に楽しむか」
「ああ」
ここで何気なく彼をさらに引き込むのだった。
「どうだい?ここじゃもうお開きにして」
「別の場所で飲むのかい」
「俺のアパートに来ないか?」
ジャックはこう男に提案するのだった。
「俺のアパートにな。どうだい?」
「悪くないな」
そして男もそれに乗るのだった。
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