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クルタ

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第三章

「だからな」
「服を買うにしても」
「高い服は駄目だぞ」
「ドレスとかは」
「絶対に駄目だ、あれだろ」
 ドレスと聞いてだ、ラスルはタハミーネに言った。
「ロシアの貴族が着ていたみたいな」
「その娘そうした服じゃなかったけれどね」
「あんなのは駄目だからな、馬鹿高いのが見ただけでわかるからな」
「それでなのね」
「安いのにしろよ」
「安くていい服ね」
「ああ、そうだ」
 これが兄の出す条件だった。
「そういうのにしろよ」
「厳しい注文ね」
「だからうちはお金がないんだ」
 ラスルはこのことを念押しした、せざるを得なかったのだ。家の事情を考えると。
「今回の飯代も節約しているんだぞ」
「野宿だしね」
「そうだ、だからな」
「服もなのね」
「安いのだ、いいな」
「わかったわ、じゃあね」
「ああ、売上が予想以上だったらな」
 その時にというのだ。
「安い服を買うぞ」
「ええ、その時にね」
 タハミーネも頷いた、そしてだった。
 タハミーネは服のことも頭に入れてだ、そうして。
 この日よりもだ、商いに精を出した。そうしてだった。
 完売してだ、売上を確かめた時にだ、ラスルは妹に言った。
「少しだけれどな」
「少しだけでもなの」
「予想越えたよ」
「あっ、それじゃあ」
「ああ、服買えるからな」 
 こう言うのだった。
「よかったな」
「買えるのね」
「ああ、よかったな」
「それじゃあね、買うわね」
「越えた分だけだぞ」
 その予想がというのだ。
「お金渡すからな」
「ええ、じゃあ買うわね」
「それでどんな服が欲しいんだ」
「奇麗な服よ」
 これがタハミーネの返事だった。
「それが欲しいの」
「それでわかるか」
 兄は妹の言葉を聞いて口を尖らせて言い返した。
「奇麗な服っていっても色々あるだろ」
「それはそうだけれど」
「それでもなの」
「ええ、奇麗な服欲しいの」
「じゃあ明日帰るけれどな」
「その時になのね」
「ああ、買うか」
 服をとだ、兄も言った。
「いいな」
「ええ、じゃあね」
「何はともあれな」
 また言った兄だった。 
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