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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第41話 暗闇の先へ手を伸ばせば

 
前書き
どうも、蛹です。

まずは、前回のあらすじから
嵐の中を父親が仕事に行った家まで歩いて行くジェーン。
父親とその家の夫婦は、彼女が来るのではないか。
来ているとしたら危険ではないのかと心配していた。
しかし、彼女は怪我なく目的地にたどり着くことが出来た。
その際に父親に少し叱られるが、すぐに仲直りする。
そして、全員で昼食を始めたのだった――――――――――

家の主と奥さんでは、奥さんはまだしも家の主と言う言い方はおかしいので
家の主がジャックで奥さんがエリナと言う名前になります。
出来れば本編で書きたかったですが、下手に入れると変になってしまうので
前書きに書かせて頂きました。

それでは第41話、始まります!! 

 
俺は大きな肉をナイフで切り分け、その欠片をフォークで刺して口に運んだ。
噛むたびに肉汁が溢れて、口の中を自らの旨味で満たしていく。
それは飲み込んでも、喉で未だに存在を主張していた。
一言で言うと、美味しかった。とっても美味しかった。

「おばさんお料理上手だね♪」

まだ誤解しているらしく若干不機嫌そうだったが
料理上手という言葉には、純粋に嬉しそうにしていた。

「あらやだ、褒めたって何も出ないわよ♪」
「育ち盛りだからな。どんどん食えよ」

隣でジャックが肉の入った皿を見せつけるようにして言った。
その間にレタスとコーンのサラダの入ったボウルが上げられた。
ボウルの向こう側にはエリナの笑顔があった。

「でも、野菜も食べなさいよ」

そして、彼女は俺とジャックにサラダを小皿に分けて渡した。
俺はサラダにドレッシングをかけて、それを口に入れた。
レタスのシャキシャキという音が新鮮さを感じさせた。
コーンの甘みもなかなかで、その薄目の味が肉を欲した。
そして、再び肉を口に入れてみる。すると
最初とはまた別の味が口の中を支配した。
再びサラダを食べてみる。濃い目の味からあっさりした味に
口の中の支配者が変わっていく。物足りなさもあるが
この感覚も悪くはなかった。いや、むしろ良い。
そんな味のサイクルに自然と笑みがこぼれてくる。
その様子を見ていたエリナは言った。

「あら、こっちの大きなお子様よりも聞きわけが良いわねぇ♪」
「誰が大きなお子様だ」

彼女の皮肉にジャックはツッコんだ。
その手元には、まだ手を付けられていないサラダの入った小皿があった。
野菜嫌いの大きなお子様。その単語が頭によぎると少し可笑しかった。

「あっ、ジェーンちゃん笑ったな。それって結構効くんだぜ」

そう言って、小皿を手に取り肉と共に口の中へと放り込んだ。
なるほど、そう言う食べ方も悪くない。
お肉と野菜。つまり濃い味と薄い味が交互に現れる。

ジャックの喰いっぷりから察するに、彼は野菜が嫌いという
わけではなく単に手が伸びなかっただけの様だ。
俺もレタスと肉をフォークで突き刺して口に入れた。
予想通り、美味しかった‥‥‥とっても‥‥‥‥美味しかった。

「お父さん‥‥‥」
「ん、何だいジェーン?」

俺は咀嚼していた物を飲み込んで父さんに声をかけた。
しかし、上手く言葉に出来なかったので
なかなか口から言葉が出てこなかった。

「‥‥‥‥‥‥幸せかい?」

俺の考えていることを察したのか、父さんは俺にこう訊いた。
それだ。その単語こそ今のこの状況と俺の心を表すのに十分な言葉だった。
俺は父さんからの問いにゆっくりと大きくうなずいた。

「‥‥‥‥‥‥‥‥そうか」

そして、しばらく二人の間に沈黙が流れた。
夫婦二人が何かを話しているようだが、それも耳に入ってこなかった。
しばらく閉じていた父さんの口がようやく開いた。

「‥‥‥‥‥実は、父さんもなんだ」

それを聞いて驚いた俺は父さんの顔を見る。
父さんは微笑んでいた。今まで何度も見てきたが今回は違う。
その表情には何というか‥‥‥‥‥‥深さがあった。

「もしも彼女が、ジェーンのお母さんが今も生きていたなら、こんな風に
 明るく家族三人で食卓を囲めたかもしれない。そう、思うとね」

今まで食事をしていても、こんなに楽しいとは思わなかった。
元々、お父さんがそんなに喋らない人だからかもしれないが。
ふと、俺は母さんの姿を想像で思い浮かべてみた。
俺が本当に小さい頃に病気で亡くなった母さん。
記憶になど残っているはずがなかった。
それでも、もし生きていたなら――――――――

「―――――――楽しかっただろうなぁ」

父さんが俺の代弁をするかのようにつぶやいた。
その目には光るものがあった。同時に
俺の視界もグニャグニャに歪んでいく。
両目から暖かいものが溢れて、頬を伝って、膝に落ちる。

「‥‥‥‥‥‥そうだね」

それは俺の涙だった。しかし、悲しみの感情は全く無い。
ただ、他人に伝えるにはあまりに複雑すぎて俺の語彙力が足りなかった。

「‥‥‥‥あら、手が止まってるわよ?もうお腹いっぱい?」
「どうしたんだよ急に‥‥‥‥何だよ、泣いてんのか?」

手を止めている事に気付いた二人は声をかけた。
そう言われて父さんは親指で目を拭い、俺は両手で擦った。

「いや、家族ってこんなに大切なんだなって改めて思っただけです」

父さんは頭を掻きながら照れくさそうに言った。
こんなに父さんが嬉しそうなのを見るのは初めてだった。
二人も楽しそうに笑っている。こんな初めての事ばかり。
こんなに良いことばかりがある今日。


この光景が、ずっと続けばいいのに―――――――――――――――――



















 カッ!!


 ピシッッ!!


 ドゴオオォォオォォォォオオオォォォォオオォォォオオォォオオオオオンッッ!!!!




















「‥‥‥‥‥‥‥‥う‥‥‥‥うぅ‥‥‥‥」

俺は唸り声を上げながらゆっくりと身体を動かす。
痛みが走った。だが、どこかに大怪我を負ったわけではないようだ。
最初に一瞬、閃光が走ったと思ったら次の瞬間。
衝撃に身体を吹き飛ばされて、いつの間にか地面にうつ伏せて倒れていた。
部屋の明かりが全て破損したはずだが、辺りは何故か薄明るかった。
頑丈そうだった壁は弾け飛んで、空いた大穴から風が吹き込んできた。

「‥‥‥う‥‥‥‥だ、大丈夫か、ジェーン‥‥‥」

父さんの声がした。その方向に顔を向けると
肩を押さえてゆっくりと立ち上がっている父さんの姿があった。
左腕には痛々しい傷があった。瓦礫か何かで潰されたのだろうか。

「‥‥‥お父さんは‥‥‥‥?」

俺は無意識のうちに口にしていた。
この姿を見ればどうなのかは俺より小さな子供でも分かるだろうに。

「‥‥‥お父さんは‥‥‥‥‥‥大丈夫だ」

分かっている、やせ我慢だ。鮮血が溢れ出る腕は
痛み以外の感覚はおそらく無いだろう。
それを俺に気にさせまいとしているのだ。

 ガラガラガラッ

「ゲホゲホッ、一体何があったんだ‥‥‥?」
「ゴホッ、ゴホッ、さぁ‥‥‥‥‥」

ジャックとエリナが上に乗っていた瓦礫や木材をどかして
ゆっくりと立ち上がっていた。二人とも体の所々に切り傷があった。
爆発(?)で壊れて飛んできた壁の破片で付いたのだろうか。

「おそらく、雷がこの家のすぐ近くに落ちたのでしょう」

父さんは痛みで顔を少し歪ませたまま自分の仮説を言った。
だが、雷が家の近くに落ちた衝撃でこの頑丈な家の壁が壊れるだろうか。
その仮説が正しいことを裏付ける理由を知っているのだろうか。
夫婦二人は不安げに顔を見合わせた後、ジャックは言った。

「確かその壁の向こうには、大型発電機が置いてあったはずだ。
 もしそれが爆発したってんなら、この威力も納得できる」

この町では、いや、ここ以外でも残った町では
地下にある水道は生きていても、地上に張られた送電線は
"鎧虫"らの侵略時の破壊で断たれているため
各自、もしくは複数の家で発電機からの電力を使って
電化製品を動かしているのだ(それでも一部屋分の電力しか補えないが)。
この家の発電機は、隣にある小屋の中に入れていたため
雨風からは遮られていたが、さすがに雷の直撃は耐えられなかったのか。
それにより爆発。この家を含む周りの家をいくつか破壊したようだ。

「‥‥‥何で‥‥‥‥?」

俺は涙で目を滲ませながらつぶやいた。

「何でいつもこんなことになるの‥‥‥‥‥‥?」

今日、俺が不運に巻き込まれずに済んだ理由が分かった気がした。
上から見ている誰かか、それとも俺自身の負の運命か。
それが、俺を絶望に叩き落としたがっているのだ。
俺の幸せが最高潮になったタイミングを狙って
一気に不幸のどん底へと陥れる。それを見て楽しんでいるのだ。
そう思うと、圧倒的で大きすぎる力に対する自身の無力感で涙が溢れた。

「どうして‥‥‥っ‥‥‥‥‥グスッ‥‥‥‥」
「大丈夫だよ、ジェーン」

父さんは怪我をしていない右腕で俺を力強く抱き寄せた。

「‥‥‥大丈夫。お父さんたちがきっと守ってあげるから」

さらに抱き寄せる力が強くなる。父さんの胸に
押し付けられて俺は父さんの心臓の音を感じていた。
普段より少しだけ早い。怪我をしているのだから当然だろう。
それでも聞いているだけで、何だか安心できた。

「二人共!急いで逃げるわよ!!」

エリナは焦りの声を上げた。爆発で発生した火の気がここまで来ているのだ。
俺は父さんと急いで火の気と反対の入り口に向かい、そこから外へ逃げ出した。

「‥‥‥ッ‥‥‥熱‥‥‥‥」

入り口を開けた瞬間に熱風が全身を叩いたで、俺は思わず言った。
目の前には、その熱の発生源である炎がいたるところで揺らめいていた。
おそらく、この家と同じような事が他の家でも起こったのだろう。
この家だけでなく、この町の数十ヶ所ある発電機に雷が直撃するなんて
確率的には相当低いだろう。しかし、俺の不幸はそれを確実にする。

『始めから、あたしがこの町に来なければこんなことには―――――――』

俺は自分の行動を悔いた。

「早く逃げるぞ!火で囲まれたら逃げられなくなる!」

そう俺たちに促しながら走っていく走っていくジャックとエリナ。
それについて行こうと俺も走ろうとするが不意に父さんが足を止めた。

「‥‥‥う‥‥‥ぐ‥‥‥ッッ‥‥‥‥‥」

左腕の激痛に父さんは顔を歪ませてうめき声を上げた。
熱風が傷だらけの腕に更なる痛みを加えているのだ。
しかし、それでも今の俺にはこれだけしか言えなかった。

「お父さんっ!早く逃げないと死んじゃうよっ!!」

父さんは俺の顔を見てうなずくと、ゆっくりと走り始めた。
一歩ずつ足を踏み出すたびに激痛が走り、声を漏らしていた。
それでも、それでもなお、父さんは走り続けた。生きるために。

「こっちだ!!」

と、先頭を走っていたジャックが曲がり角を進むと急に歩みを止めた。
俺は追いついて見てみると、そこには人が立っていた。

「‥‥‥‥どうしたの?‥‥おじさん‥‥‥‥」

そこに立つ人を見ているジャックの顔は険しかった。
まるで、そこに立つのが人でないかのように。

「‥‥‥‥チッ、気付かれたか。まぁ、道のド真ん中に
 ボーッとつっ立ってりゃ怪しいと思われて当然か」

 メキッ!メキメキメキッ!

先程まで人の姿をしていたのに、いつの間にか異形の姿になっていた。
しかし、俺たちはコイツ等の存在を嫌でも知っていた。
地球に攻め込んで多くの国々を消し去った怪物たち。
俺たち地球人はその生物たちをこう呼んだ。

「‥‥‥"侵略虫"‥‥‥‥‥‥」

ジャックはこめかみに汗を流しながらつぶやいた。
"侵略虫"は首をゴキッと鳴らした。

「お前ら人の事を勝手につけた総称で呼ぶんじゃねぇよ。
 俺たちにだって、ちゃんと名前があるんだからな」

そう言って、もう一度首をゴキッと鳴らした。

「まぁ、もうすぐに死ぬお前らには関係ないがな」

そう言って、ゆっくりと歩いて来る。指先までだらりと
力を抜いているはずの腕からは凄まじい圧力が感じられた。

「逃げろッッ!!!」

ジャックは全力で叫んだ。それを聞いて一瞬硬直したが
すぐに立ち直って、全員はある程度に分かれて別の道へと走り出した。

「さぁさぁ、早く逃げな。俺は優しいからな。一回ぐらいなら
 見逃してやるぜ。だが、次はねぇから‥‥‥‥‥‥覚悟しろ」

基本的に軽い性格のように思われるが、最後の言葉には本物の殺意があった。
俺たちはすでにその場から去っていたが、彼が最後に放った威圧は
逃げている俺の足が一瞬止まりかかる程のものだった。

「足を止めるなジェーンちゃん!!」

しかし、ジャックから大声で走るように促されて、俺は反射的に足を出して
そのまま止まることなく再び加速を始めた。全員は火と"侵略虫"からの追手から
逃げるために必死で走り続けた。


「‥‥‥‥‥‥‥‥来たな、ネズミが」


その姿を見つけた男は口元を歪めながらつぶやいた。
そして、スイッチを入れて取って黒い塊を放る。

 ゴトッ ゴロロ‥‥‥‥ 

黒い塊は丁度逃げている俺たちの前に落ちて転がった。
ジャックも、エリナも、そして俺も周りの火に気を取られて気づかなかった。
その存在に気付いていたのは、この中でただ一人。

「危ないッ!!!」

父さんは腕の傷のことなど忘れたかのように必死で走って
前を入っていた俺たち三人を押し飛ばした。そして次の瞬間―――――



 ドゴオォォオオォォォオオオォォォオオォォオオォォォオオンッ!!!



俺は目を開けた。爆発したのがついさっきなのか、それとも時間が経ったのか。
記憶が途切れていて分からなかった。とりあえず身体を起こそうと手をつけたが
突然、左肩に激痛が走ったため俺はうめき声を上げた。
理由を知るために俺は左肩を見た。そして、俺はあまりのショックに絶句した。
視界にあったのはいつもの肌色の表皮ではなく、醜く焼け爛れていた。
さらに、そこは表皮が焼けてなくなっているので血で赤く滲んでいた。
原因を知った俺の脳は痛みの回線を繋ぎ直したのか
左肩に鋭い痛みが断続的に走り始めた。

「い‥‥痛い‥‥‥痛‥‥い‥‥‥痛‥‥‥‥い‥‥‥よぉ‥‥‥‥‥」

泣き叫ぶ余裕さえない程の痛みに俺は歯を食いしばった。
こんな痛みの中で父さんは走っていたのか
という思考が、激痛の中で脳内に一瞬浮かんだ瞬間だった。

『‥‥‥と‥‥‥父さんは‥‥‥‥?』

父さんに突き飛ばされた瞬間に爆発した。
それならば、その爆心地にいた父さんは一体どうなったのか。
突き飛ばされたおかげで肩だけで済んだ俺とは違うのだ。
最悪の想像をしている間、肩の痛みはどこかに吹き飛んでいた。
そして、視界の先に転がっているのを見つけた。

「父さんッ!!」

俺は必死に父さんに駆け寄った。

「‥‥‥あぁ‥‥‥ジェーン‥‥‥‥無事で‥‥‥‥良かった‥‥‥」

父さんは今にも消え入りそうなほど弱った声で言った。
目は虚ろで俺の事も本当に認識しているのかと訊きたいぐらいだった。

「‥‥‥‥父さん‥‥‥何だか不思議と‥‥‥左腕‥‥‥‥痛みがないんだ‥‥‥
 だから‥‥‥‥‥‥‥‥大‥‥‥丈夫‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

父さんは弱々しく微笑んでそう言った。俺を安心させるつもりなのだろう。
しかし、俺は分かっている。先程まで父さんに激痛を与え続けていた左腕は
はるか向こうで手の平を上にして転がっていた。父さんは意識が朦朧と
しているため、自分の腕があるか無いかという基本的な機能まで
麻痺してしまっていたのだ。肘から下を捥がれた左腕の傷口は
爆破の熱で焼き塞がれたのだろうか。黒々と焦げた肉のようになっていた。
全身も酷い火傷を負っており、生きているのが奇跡に思える程だった。

「父さんは‥‥もう‥‥‥‥いや‥‥‥後で‥‥‥追い‥‥‥‥つくから‥‥‥
 ジェーンは‥‥おじ‥‥‥さん達と‥‥はや‥‥‥く‥‥‥逃げるん‥‥だ‥‥」

父さんはそう言うが、突き飛ばされたおかげで直撃はなかったとはいえ
二人とも爆発で吹き飛ばされた衝撃で気絶してしまっていた。
俺一人では二人を運ぶことはどう考えても不可能だった。

「‥‥‥‥‥もうやだ‥‥‥‥‥‥‥やだよ‥‥‥‥‥‥」

俺は涙を流しながらつぶやいた。

「誰か助けてよ‥‥‥‥‥‥‥」

身体の震えが止まらなかった。死への恐怖が
内部から這い上がって来るのを感じて、俺は身体を押さえた。
しかし、そんな事をしても無駄だった。
周りから微かに聞こえてくる悲鳴。
どこかで鳴り響く爆音。燃えている炎の音。
爆音。炎の音。悲鳴。炎の音。悲鳴。爆音。悲鳴。炎の音。爆音。悲鳴。
炎の音。爆音。爆音。悲鳴。炎の音。悲鳴。爆音。炎の音。悲鳴。悲鳴。
悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴。
赤と黒の空の裂け目を漂う火の粉のように天に還っていく人々の魂。
その叫びが聞こえるたびに、恐怖がこみ上がって来た。

「死にたくないよ‥‥‥‥‥‥」

俺はその一心から必死に虚空へと叫んだ。

「誰か助けてよッ!!!誰かあッ!!!!」

俺は血にまみれた右腕を赤と黒の空へと伸ばした。















 ガシッ!!!!


その時、誰かが俺の伸ばした手を掴んだ。 
 

 
後書き
なかなか復活出来ません‥‥‥また書くのに一か月もかかってしまいました。
今度こそ頑張って一週間でも短く投稿できるように努力します。

地から離れ、天へと還っていく魂。
漆黒と紅蓮に染まり荒廃していく町。
絶望という名の暗闇の中で彼女が伸ばした手の先にあるのは――――――――――

次回 第42話 きっと誰かが掴んでくれる お楽しみに! 
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