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魔界転生(幕末編)

作者:焼肉定食
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第19話 伊東の思惑

怪物・岡田以蔵退治の作戦、特訓は着々を整ってきていた。
以蔵の必殺パターンは2つ。
沖田にくらわした身を丸くして転がってくる攻撃を仕掛けてくるものと体にはえる刀を自由自在に飛ばすもの。
それを強力磁石ですべて絡みとれば、あとは普通に剣技の勝負となる。
ただ、その作戦が土方の技量によるものだし、うまくいく可能性があるとは保障できるものではない。
まして、土方はフル装備の鎧を着こまねばならないというハンディーがある。が、怪物退治をやらなければ新撰組は失墜するのも事実。
決戦はもうまじかに迫っていた。
(ふふふ、うまく土方を担ぎだすことができたわ)
伊東甲子太郎はほくそ笑んだ。
何故なら、伊東は討幕派だったからだ。
新撰組は幕府に偏っていた。すなわち、佐幕派である。が、伊東はこう考えた。
土方さえいなくなれば、と。
新撰組は事実、土方が運営しているようなものだ。近藤は腕は確かだが人が良すぎる。
土方亡き後、新撰組は崩壊する。
だからこそ、伊東は土方を担ぎ出さねばならなった。
沖田、斉藤共に新撰組の剣客だ。が、怪物・岡田以蔵に負け、逃げ帰ってきた。
伊東の思惑は岡田に土方が負け、戦死すること。
そして、まんまと土方は伊東の思惑に乗って担ぎだされてしまった。
(こんなにうまくいくとは)
伊東は笑いが止まらなかった。

「さて、土方さん、岡田との決戦なんですが?」
「あぁ、いつでもいいよ。伊東君。後は、やるしかないんだから」
土方は伊東の思惑を知ってか知らずか飄々とした笑みで答えた。
伊東はその笑みに不気味さを感じた。
(まさか、私の企みに気づいているのか?)
「で、いつ、やるんだい?伊東君」
土方のその目は飄々とした笑みとは別に鋭く伊東の心に突き刺さるような光を帯びていた。
「そ、そうでね。なるべく早い時期にしましょう。会津もうるさくなることだし」
伊東は冷静さを装って答えた。
「そうだね。そろそろ、訓練とは面倒くさくなってきたし。怪物退治としょれこもう」
「岡田をおびき寄せる算段はしておきます。後はよろしくお願いします、副長」
「あぁ、まかせな」
土方は伊東を鋭く見つめた。
(死ね、死んでしまえ、土方、岡田と共に)
伊東は笑みで土方に答えた。
 
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