魔界転生(幕末編)
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第20話 決戦・岡田以蔵
伊東の策略通り、岡田以蔵は現れた。
伊東は前もって新撰組が見回る場所を触れ回っていた。
その噂は京都中を駆け回り討幕派も小さな諍いもその日だけはなく静かなものだった。
そして、まんまと以蔵は策にはまりあらわれたということになった。
土方を含め新撰組隊員もどこから仕入れたのか全員が西洋甲冑を見に纏っていた。
「なんじゃあ、その恰好は」
以蔵は狂笑したが、確かに異様な光景だった。
「笑いたければ笑うがいい。本時を持ってお前はこの世から消え失せる」
土方は岡田を睨みつけた。
「まずは、名前を聞いておこうかの」
岡田は不敵な笑いを浮かべ土方に聞いた。
「新撰組副長・土方歳三、押してまいる」
土方は、以蔵と対峙した。
(なるほど、化け物だな)
土方は以蔵の容姿を見たと同時にそう思った。
(さて、伊東の策、吉とでるか狂とでるか)
土方は愛刀・和泉守兼定を抜き、低く構えた。
土方が不利であるのは後ろを取られること。何故なら、西洋甲冑は後ろを上手く見えないからだ。
以蔵もまた、刀を抜き正眼に構えた。
じりじりと二人の距離がちじまっていった。
以蔵の強さは化け物なったとしても変わりはないのは土方はその構えから悟った。
気合の事がしたと同時に二人は刀を交え切りあった。
刀の刃からは火花がちり一進一退の攻防が続いていった。が、つばぜり合いから土方は銅を払った。が、以蔵は後ろへと飛び去った。
その瞬間、以蔵は背中に生えるたくさんの刃を放出した。
(これか、斉藤君が言ってたのは)
その刃はまるで意志を持っているかのように土方に襲いかかった。と、同時に以蔵は疾風のごとき速さで土方の間合いに入り切りかかってきた。
鋼鉄の西洋甲冑からガラスをひっかいたような音が聞こえてくる。
土方はその飛んでくる刃を気にすることなく以蔵の攻撃をなんとか防ぐことに集中した。
(が、これはもつのか?)
嫌な音が何度も聞くことで土方は不安になっていった。が、ここで磁石を使うわけにはいかなかった。何故なら、この刃のすべてを捉えきれる可能性は少なかった。
磁石を使うのは一瞬、土方はその時を待った。
「あはは。なかなかやるぜよ」
以蔵は飛ばした刃を背中へと収納した。
「が、しかし、その鎧ももうすぐ終わる」
土方からは見ることが出来ないが、すでに鋼鉄の鎧が傷だらけになってしまっていた。
(次か)
土方は以蔵の言葉なぞ耳に入っていなかった。次の攻撃こそ土方の待ち望んだ攻撃だと本能で察しからだ。
「くらえぇー!!」
以蔵はまるで刃の玉と化して猛スピードで転がってきた。
「うお、速い」
土方はタイミングがとれず、横に飛んだ。刃の玉はその横を通り過ぎ、待機していた隊員の群れに突っ込んでいった。
隊員達はその玉の勢いでなぎ倒されていった。が、固い西洋甲冑を着ていたのにもかかわず真っ二つに切り裂かれた隊員もいた。
(馬鹿な、あんなの食らったひとたまりもないぞ)
土方の背中に嫌な汗がにじんでいった。
(くそ!何かないか。何か)
土方は頭を猛スピードで回転させたのだった。
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