転生とらぶる
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マブラヴ
1093話
空間倉庫からスライムという能力……能力? まぁ、取りあえずこのスライムは生きている訳じゃないし、俺の手足のような感覚なんだから能力と言ってもいいだろう。
その能力でもあるスライムが出てきた事に、この場にいるスレイ、美砂、イザークの3人はさすがに少し驚きの表情を浮かべる。
それでも驚きの表情が軽く程度で済んだのは、さすがと言うべきだろう。
もしもこの場にいたのが、スティング、アウル、レイといった新人組であれば、恐らく驚きはこの程度では済まなかった筈だ。
「一応大丈夫だと思うけど、何かあった時の護衛を頼む」
その言葉に他の面々が――イザークは微妙に嫌そうな表情を浮かべつつ――頷くのを見て、スライムの方に意識を集中させる。
薄く、薄く……それこそ宇宙船の内部パーツの接合部分からも侵入出来る程まで薄くなったスライムが、宇宙船の中を進んでいく。
……聞こえてくるのは宇宙船の動いているような音だけで、人がいるようには……あ、いた。
ようやく聞こえてきた声に、スライムの意識を集中させる。
『な、なぁ、俺達いつまでここにいなきゃいけないんだ?』
『知るかよ。くそっ、何だって宇宙船を乗っ取るなんて真似を……』
『やっぱりこの船だけ真っ先に作ってたってのがおかしかったんだよな。絶対に何かあると思ってたら……案の定だよ』
『それを今言ってもしょうがないだろ? 大体、そう思ってたんならもっと前に言えよ』
『はぁっ!? んな事言ったってしょうがないじゃん』
『おい、やめろ。俺達がここで喧嘩してどうする! そんなのじゃ、テロリスト共の思い通りになるぞ』
『……テロリストじゃない』
『え?』
『だから、この船を占拠した奴等はテロリストじゃない。アメリカの政治家がいたし、ボーニング社のお偉いさんの姿もあった』
『じゃあ、この騒動はアメリカの作戦か何かって事か? けど、なら何でわざわざこんな真似を? この宇宙船はオルタネイティヴ5って体裁を取ってるけど、実際にはアメリカが主導権を握ってるんだろ? なら、こんな真似をしなくてもいんじゃ……』
『俺達、もしかして何かとんでもない事に巻き込まれてないか?』
『どのみち、技術者として必要だってここに閉じ込められた時点でそれは変わらないだろ』
一旦スライムとの感覚を切り、思わず溜息を吐く。
「はぁ……また、面倒な事になってるな」
「どうした? 何か分かったのか?」
イザークの言葉に頷きを返す。
「どうやらこの宇宙船の中にいるのは、オルタネイティヴ5派を含めたテロリストだけじゃないらしい。この宇宙船を作った技術者と思しき者達が人質……いや、違うな。何かあった時に船の修理とかをさせる為の人員兼人質として捕らえられてるっぽい」
その言葉を聞き、確かに面倒臭くなったという表情を浮かべるスレイ、美砂、イザーク。
「更に犯人の中には政治家とか、戦術機を作っているボーニング社のお偉いさんとかがいるらしい」
「まぁ、そっちは大体予想通りと言えば予想通りでしょ」
「確かにそうだけど……とにかく、最悪の時に使うつもりだった宇宙船諸共に破壊するというのは人質がいる以上は出来なくなった訳だ」
「……アクセル君、そもそも私達が宇宙船の中に侵入したのはこの宇宙船を取り戻すためだったんでしょ? なのに破壊してどうするのよ? それなら最初からこんな手間を掛ける必要はなかったと思うけど?」
「だから、あくまでも最悪の時にだよ。それこそこの宇宙船がG弾を積んだまま地球に落下していくかもしれないと考えたら、その辺に関しては心配しておく必要があるだろ」
俺の言葉に、まさかそんな事は想定していなかったと言いたげに美砂が言葉に詰まる。
「ふむ。だが、ハイヴに落ちるのなら……いや、重力異常が残るか。その辺を考えれば、やはり地球に向かったら撃墜するしかないだろうな」
一瞬考える様子を見せるスレイだが、すぐに訂正する。
そうなんだよな。結局G弾がこのマブラヴ世界の住人に受け入れられないのは、使った場所が重力異常になるというのが大きい。
植物が育たず、人間にもどんな影響を与えるか分かっていない重力異常だ。
折角ハイヴを破壊してその地を取り戻しても、その地が汚染地になってしまうのは、BETAに国土を奪われた国々にしてみれば絶対許容出来ない事だろう。
後、アメリカがそんな核兵器をも超える威力をもつG弾を持つのを危険視しているというのもある。
実際の被害、影響力、その他諸々の理由からG弾は地球で歓迎されていない訳だ。
更に、俺達シャドウミラーがG弾よりも威力が高く重力異常のようなものがない、同じような兵器のフレイヤを所持しているというのもあるだろう。
G元素がなければ作れないG弾と比べると、その差は圧倒的だ。
「人質の場所はどこだ? ムウ達に知らせておいた方がいい」
イザークにしては珍しく建設的な意見……と言えば怒られるか。
イザークも元々優秀な人物だったのは事実なんだから。
ただ、どうしても俺の場合はイザークに突っかかられた記憶が多い為にそう思ってしまう訳で。
「結構離れた場所にあるな。スライムで探し出したし、この宇宙船を建造する時に色々と設計図とは違う改造がされているから……多分この辺だと思う」
一応念の為にという事でエザリアから渡された図面で、人質がいたと思われる場所を指さす。
尚、当然この図面はアメリカにとっても部外秘のものだったが、今回の件に併せてエザリアがアメリカから借りてきた代物だ。
当然別働隊であるムウも同じ物を持っている。
「えっと、そこは図面だとトイレになってるんだけど……」
うわぁ……といった表情を浮かべる美砂。
スレイにしても、言葉には出さないが同じような表情を浮かべていた。
「だから言っただろ。突貫に近い感じで作ったから、色々と図面とは違う場所があるって」
「にしても、トイレはないと思うけど……取りあえず向こうに連絡を入れておくね」
美砂が通信機を取り出しているのを見ながら、俺は再びスライムへと意識を集中する。
人質がいた場所からは大きく離れ……あ、いた。
『ふざけるな! 大体、何だってこんな自殺行為に私達を付き合わせたんだ!』
『何を言ってる! 別に頼んで君達に来て貰った訳ではない! 君達が自分からこっちに合流してきたんだろう!』
『はぁ!? あんまりふざけた事を抜かすな! そもそも、お前達の目論見が甘いからこんな状況になってるんだろうが!』
『そうそう、大体何でシャドウミラーを巻き込むのかね? 彼等がどれ程の実力を持っているかというのは、君達はよく知っている筈だが?』
『お前が言うな! そもそも、戦術機の売り上げが加速度的に落ちてきたからシャドウミラーの機体を入手したいって言ったのはお前達だろう! そのおかげでこっちの軍隊にも被害が出たんだぞ!』
『偉そうに言うのなら、きちんとシャドウミラーの機体を入手してから言って欲しいものだね。大体、何だい? あれだけこっちに金を出させておきながら、ろくに成果もないなんて……』
『そういう意味では、私は全くのとばっちりだな。おかげで祖国から追われる事になってしまった』
『あのままソ連にいたら、それこそ捕らえられてシャドウミラーに対する手柄にされてたんだから、生き残ってるだけマシだろ?』
『あー、もう。大体この宇宙船に逃げ込んできたのはいいけど、これからどうするってんだよ。まさかバーナード星系に行くってつもりじゃないよな? 俺はごめんだぞ?』
『そもそも、そんな真似をするにしてもこの宇宙船1隻で出来る筈がないだろ!』
『どうでもいいから外にいるあのでかいのを何とかしろ! このままだと絶対に不味いぞ!』
『そんな事を言っても、じゃあどうしろと言うんだ! この宇宙船には武器らしい武器は存在していないんだぞ!』
『くそっ、G弾があれば……』
『馬鹿者! あんな欠陥兵器をこんな場所で使えばどうなるのか分かっているのか! 私達まで巻き込まれて死んでしまうぞ!』
『欠陥兵器だと! G弾があればBETA共など……』
『そんな台詞は重力異常をどうにかしてから言ってくれ!』
『貴様ぁっ! 貴様までシャドウミラーの連中と同じ事を言うのか!』
『事実だろ! 重力異常や植物が育たなくなるというのは、明らかな欠点だ!』
『貴様……貴様ぁっ!』
『おい、止めろ。こんな場所で騒ぐな! 今はこれからどうするかを考える必要があるんだろうが!』
うあぁ……何と言うか、予想外に予想通りの方向だな。
考えるまでもなく明らかな事だが、この宇宙船に逃げ込んでいるのは地球にいられなくなった者達が大半だ。
それ以外は強制的にこの宇宙船に連れてこられた人質兼技術者みたいな奴等とかか。
で、基本的にはこの宇宙船に逃げ込んできた奴等ってのは地球では社会的地位の高い奴が多い。
政治家とか、会社の重役とか、そんな感じで。
そんな奴等が追い詰められて宇宙船の中に存在して皆で協力してやっていけるか?
まぁ、出世している者達なんだから、基本的には有能な奴が多いだろう。
親の地位を引き継ぐとかの奴もいるかもしれないけど、このマブラヴ世界で皆がそんな真似が出来るかと言われれば難しい。
何だかんだと、この世界の人類は俺達が来るまでは追い詰められていたのだから。
その辺を考えると、やっぱりここにいる人物は多かれ少なかれ有能なのは間違いない。
ただ……有能なだけに我が強く、自分の意見が絶対だと思っている者も少なくない。
色々と上手くいっている時であれば、お互いに多少の妥協も出来るだろう。けどここまで追い詰められると、そんな余裕は既に存在しない。
「……不味いな」
「どうした? 何か見つけたのか?」
思わず呟くと、スレイが尋ねてくる。
「ああ。敵の主要メンバーがいる場所は見つけた」
「なのに、不味いの?」
理解出来ないといった様子で美砂が呟くが、そこにイザークが納得したといった表情で頷きを返す。
「なるほどな。恐らく責任の擦り付け合いといったところなのだろう?」
「イザーク、正解。それもかなり険悪になっている。下手をすれば同士討ちをするんじゃないかってくらいにな」
「うわ……何て言うか、自業自得としか言えないんだけど。いっそ、このままここで待ってない? 多分そいつらが仲間割れして勝手に数を減らしてくれるわよ?」
いともあっさりそう告げる美砂。
この辺、恭順派のアジトに潜入した夏美とは違って、人の死というものに嫌でも慣れているんだよな。
俺と共に魔法世界を旅したのもあるし、拳闘士として戦ったってのもある。そして何より、シャドウミラーとしての戦いにブリッジクルーとしてでも参加したというのも大きい。
勿論最初は色々と厳しかったと思うが……
だが、美砂の言葉に首を横に振る。
「駄目だ。俺としても出来ればそうした方が手っ取り早くていいと思うんだけど、これだけ大きな騒動になったんだ。犯人は少なからず必要になる。犯人が全員死亡ってなると、アメリカだけじゃなくてマブラヴ世界的にも色々と都合が悪い」
「それも、出来れば犯人は多ければ多い程にいいだろうな」
イザークの言葉に頷く。
「って訳で……うわ、マジか」
言葉を言い掛け、一旦止める。
スライムから通じてくる声が非常に険悪なものになっていったからだ。
「やばい。殺し合いが始まりそうだ」
「なっ!?」
それぞれが殺気立った声で叫ぶのはいい。……いや、良くはないが、殺し合いになるよりは大分マシだ。
しかしスライムを通じて聞こえてきたのは、銃を弄っているような音。安全装置を外したり、スライドを引っ張るような、そんな音だ。
「本格的に不味いぞ。このまま放っておけば本気でこの中で撃ち合いをやる気だ」
厄介なのは、この宇宙船自体が俺達の知っている程に頑丈じゃないって事だ。
拳銃程度ならまだしも、アサルトライフルとかそういうのを使われれば、下手をすれば内部から装甲に穴が空く可能性もある。
そんなに脆くはないと思いたいが、安心は出来ない。
「ちっ、しょうがないか。影のゲートを使って向こうを鎮圧する。お前達も近くに!」
既に影のゲートを幾度となく使用しているメンバーだけに、全員があっさりと俺の近くへと来る。……イザークは再び微妙に嫌そうな顔をしていたが、量産型W諸共に俺は影のゲートを展開。ブリッジへと姿を現す。
ブリッジでは、100人程がそれぞれに銃を持って構えており、既にいつ銃撃戦が始まってもおかしくない状況になっていた。
他にも銃を持っていない者や、指示をしている者といったのを合わせると300人近くは存在しているだろう。
影槍を作りだし、銃のみを切断する。
同時に……
「行け!」
俺の言葉と共に、何故いきなり自分の持っている武器が壊れたのかを理解出来ないでいた者達へと、スレイ、イザーク、美砂の3人に量産型Wが襲い掛かっては無力化していく。
俺もまた瞬動を使いつつ首筋に手刀を叩き込んでは意識を奪っていき……結局数分も掛からずにその場にいた者達は全て鎮圧されたのだった。
……さて、この宇宙船にいる奴等はここにいる奴等と、捕らわれている奴等で全部だといいんだが……
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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