ガールズ&パンツァー もう一人の転校生 【リメイク】
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原作編
転校生です
先日の戦いの後に知った驚愕の真実を私は誰にも言うことなく今日まで過ごしてきたのだが、誰かに話したい衝動がついに出てきてしまいました。それでも極秘のことであろうからいまはまだ内緒にしている必要があるのに、いっそのこと新聞部にでもばらしてみようかな?
梨華が面白味のある笑みを浮かべていると後ろから小さくではあるが足跡が聞こえた。久しくい聞くこのない音だったのか、すぐさま反応しました。
「いったい何の用?」
無言という返答が嫌な感じを思い浮かべていた。それもそのはず、彼女をつけているのは川忍高校の使いのものなのだから。正式には、どこからかの依頼かもしれないけど。
「変な詮索はしないほうがいい。とくに大洗についてはな」
それだけ言い残し気配を消す。不気味で仕方がないけど、今回は警告だけみたいだからそこまで気にすることでもないかな。大会前日とかになるとよく彼女たちを見かけたものだけど、この学校に来てからはまだ一度も見たことがない。それとも、調べる必要がないと思われてるのかな?
まあ、私も早く学校に向かわないといけないから気にしてはいられないかな。
「今日から皆さんと一緒に勉強させてもらうことになりました牛目はやといいます。前の学校では戦車道をやっていましたので、こちらでもやっていこうと思います。どうかお願いします」
緑の髪色のショート。それが彼女の特徴的な面であろう。ほかは、周りより若干身長が低いこと。それが彼女のコンプレックスなので追及はできまい。
「同じく転校してきました山元みのりです。となりのはやとは結構長い付き合いです。みなさんともこれからたくさん遊んでいきたいです。よろしく」
オレンジの髪の毛が印象的な彼女は、はやと見比べると身長がやや高いものの、やはり周りよりも低い。理由はわからないけど髪の色以外はほとんど違いがないように見える。
「神下幸です。お願いします」
口数が少なく、あどけなさが残る顔立ちからすると、他の三人より幼く見えてしまうのが彼女のコンプレックスらしいが、それはそれで個性があっていいと思う。
「木島さいかです!これからよろしく!」
そして最後になるが、この子はいつでも明るいのが特徴なのだけど、落ち込むとめんどくさいらしい。
国立白河女子高からの転校と聞き、幾らかは反応したものの、知名度的にはあまりないのか、そこまでの反応を楽しめていなさそうだった。
「SHRは終わりです。選択授業に遅れないようにね」
担当教員はそれだけ言い残し、教室を去ってしまったのだが、はやたちを待っていたのはこの
「白河ってどこなの?」
「部活はなにはいるの?」
「牛目さん。戦車道はどれくらいやってるの?」
質問攻めである。
予想がたてられないわけでもないが、自己紹介のときには静かすぎたものなので、どう反応をとればいいのか躊躇ってしまっていたのです。
「みんな落ち着いて。一辺に聞かれても答えられないから一人ずつお願い」
はやの突然の行動に驚くクラスメイト達だが、はやにとってはいつもやっていることとあまり変わらないのです。元々は隊長を務めたことがあるので、こういう状況にも慣れているのっです。
その様子を見ていた三人はいつも通りだと安心しているように見えた。
「ちなみに、白河は福島県にあるんだよ。部活は入らないつもりなんだ、ごめんね。戦車道はかれこれ10年以上やってるかな」
耳がよく聞き逃さないのがはやのいい面でもある。
『普通1課2年A組牛目はや、神下幸、木島さいか、山元みのり。至急、生徒会室まで来るように』
いきなりの放送での呼び出しのせいか驚いている四人だが、それを見ているクラスメイトからは「いつものことだから気にしないで」といわれるものの、気にしないでというほうが無理なはなしであった。現に廊下を歩いている彼女たちの背がとても小さく見えた。
同じ頃に、C組の教室にいた梨華たちもはやたちが来たことに驚いていた。
「梨華、はやたちが転校してきたみたいな言い方だったけど、どう思う?」
さやねの言う通りだとしかとらえることしかできない現状に梨華は何の反論もすることもなくただ「そうみたいだね」と答えるだけだった。思えば不審な点はあった、私がはやのかわりに隊長を引き受けた時、如何なる理由であろうと戦車道を優先するはやが休んだのだ。もしも、その時に転入試験を受けていたなら納得できる話だった。
「さやねはさいかからなんか聞いてなかったの?」
双子である二人なら何らかのやり取りがあったのかとおもったが、さやねは首を横に振っていた。
それを見た梨華は立ち上がり、教室を一人出ていこうとしたのだが、
「梨華、どこ行くの?」
ドアから一番近いところにいる裕香にそう聞かれると短くため息をつき、そして
「生徒会室に行くよ」
ただこう言い放ったのだ。そして五人一緒に生徒会室に向かっている中で梨華は考えていた。はやたちの転校の理由。もしそれが私のことを思ってくれてのことだったときはどう迎えればいいかが考え付かないのだった。
「角谷生徒会長。入りますよ」
返事の前に入るのはどうかと思いますが、いつもの梨華らしくて安心しました。こんな梨華でも気分がいいときはノックを待つと言っていましたが、私は一度も見たことありません。
「梨華ちゃん。そろそろかと思ってたよ」
凄いですね。私たちが来ることを予想するなんて。でも、はやたちが来たことを考えると、私たちが来ることも予想がつくのかな?
「単刀直入に聞きます。どうしてはやたちがいるのですか?」
梨華。たしかに単刀直入だけど、もうちょっと手順を踏んでもいいんじゃない?
「それは私よりもさ、牛目ちゃんたちに聞いてあげてよ」
そう言うと、角谷会長は後ろで待っていたはやたちを前に出してきた。これは好都合なんだろうけど、
「はや。どう言うことなのか説明して」
「そう、考えずともわかるはずなんだけど」
はやはなにかを考えながら口に出したが、これではわからない。「仕方ない」と言い梨華の方を向いて、
「大狩流家元の命令で梨華たちの援護に来たの」
「お母様の?」
大狩流家元とは大狩梨華の母が現在就任している。次は姉の深雪が選ばれることはほぼ決まっているらしいが、
「そう。だからまたよろしくね」
はやの笑みはとても輝いていた。
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