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moon light fantasy

作者:ケンケン4
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フォルツの実力

 
前書き
フォルツ君無双回です。 

 
「さて。グールだらけだね。」
「ああ。」

もう数えるのも飽き飽きするほどグールを倒しまくった俺はため息をついた。とりあえず最初100体。後に50体と推測する。そして後ろをみるとグールの亡骸が浄化されていた。
グールは死ぬと遺体が残らない。つまり生前の姿が分からないのだ。
ちなみに前方には10体ほどグールがいる。

「なあ、ニナ。」
「僕と契約してトランス・フォルツになってよ!」
「…あのな…。トランスは最後の手段だろ…。」
「あはは!冗談、冗談。」
「まったく…。」

トランス…。それは簡単に言えば変身魔法だ。
この世界には魔法が簡単な枠組にすると4つある。
一つ目は元素魔法。火、水、地、風、闇、光、無の7つの魔法。基本的に炎を起こしたり、水を出したり、地面を変えたり、風を起こしたり、闇を操ったり、光を生み出したり、この6つの魔法は基本中の基本である。普通魔術師などはこの魔法で攻撃を行う。それ以外の魔法は無に分類されている。
二つ目は自分の身体能力を上げる能力魔法。これは力を強くしたり、自分の走る速度を上げたりする。『月華流』の剣技は基本の型にこの魔法を重ねることで完成する。
三つ目は召喚魔法。四つ目は変身魔法だ。
だがこの二つは目下、研究中の魔法であり、俺自身もトランスについてはよく分かっていない。
…いや、分かってる。俺のトランスは…。

「フォルツ。敵だよ。」

ニナはそう言って俺の後ろに隠れる。目の前に現れるのはグール。だが後10体だ。

「…。」

俺は『夢幻剣』を上段で構える。
そして近寄ってきたグールを横薙ぎで一気に2体斬り払う。俺は前に向かって走る。
…残り8体。

「邪魔だ…!」

前方にいる3体が俺の接近に気がつくがもう遅い。
俺は夢幻剣を腰のところまで落として。

「月華流『ミカヅキ』!」

そしてそのまま走り幅跳びの様に3体に向かって跳ぶ…いや、飛び越える。
すると3体は慌てて後ろを向くが遅い。3体が振り向いた頃はもはやグール3体は切られていた。
…残り5体!
残り5体のグールは俺をいつの間にかに囲んで、そのまま全方向から向かって来た。

「俺の本気…見せてあげようか?」
「トランス?」
「バカかニナ。こんな所で使ったら無駄だろ?
…隠れてろ。」

するとニナはにやりとすると煙の様に消える。もうグールは手を伸ばせば届く距離にいた。
そしてグールは欲望のままに5体同時に喰らいついて来た。

グシャリ。

肉が潰れる音がする。それはフォルツが喰われた音では無く。グール同士がぶつかった音だった。

「囲んでも所詮はグールか。」

全方向から襲ってきたのなら。三次元的に考えればいい。
俺はただ単に能力魔法『フォルテ』で足の力を強くして垂直跳びをして真上に逃げたのだ。

「…消えろよ。」

そして無防備なグールの上から斬撃を叩き込んだ。
崩れ落ち、浄化されるグールを冷めた目で見る。するとニナが心配そうに。

「何を見てるんだい?」
「グールの末路。」
「…そんなの見て楽しいかい?」
「…全然。」

俺の答えにニナは黙って炎帝の城館に目線を変える。

「早く行こう。フォルツ。炎帝の館はもうすぐそこだよ?」
「ああ。」

俺は夢幻剣を消すと前方の暗い雰囲気を放つ館へと足を進めた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

炎帝の城館の前に着くと庭に捨てられているドラム缶の後ろに隠れているアリスの姿があった。

「ああ。良いところに来ましたね。フォルツ。」

アリスはそう言って俺の方を向き、そして再び前を向く。
その目線の先にいたのは2メートルはあるだろうか?巨大な真っ赤な甲冑が置かれていた。あれは…。

「魔鎧『ストロボ』か。」

魔鎧『ストロボ』。鎧に膨大な魔力を入れることで起動する。よく門番に使用され、その力は普通の人間10倍の怪力、さらに敵、味方を冷静に判断する思考を持ち合わせている。
だがこれはどうやらプロトタイプの様だ。俺のうるさいおせっかいな知り合いが見せてくれた文献の絵にあったプロトタイプのストロボと瓜二つだった。
それでも思考はそのままに、怪力は3倍ほどある。
アリスはそれを見てため息を一つ吐く。

「あんなのが門番とは…。
ストロボではまともに戦っても勝ち目は薄いと思います。ここは違う浸入ルートを探して行くべきですね。」
「断る。」

俺はそう言ってアリスの提案を切り捨てる。そして驚くアリスを鼻で笑う。

「言っただろ?『あんな雑魚は切り刻む。』と。」

俺の言った言葉の意味が分かったのかアリスは顔を真っ青にして俺を見てつぶやく。

「ま、まさか…。」
「じゃあな。」

そう言ってフォルツは魔鎧『ストロボ』の方に向かって飛び出して言った。

「さっすが!フォルツは本当に突っ走る事しか知らないね。」

するといつの間にかにフォルツの使い魔ニナがアリスの目の前に座っていた。

「…なんなんですか。あの人は。」
「ん?フォルツの事?フォルツはね。生き急いでるんだよ。」

ニナはそう言ってアリスをみる。それはまるで愚者に向かって向ける哀れみの目。だけどその中に悲しそうな雰囲気も含まれていた。

「しかも自分が生き急いでる事に気付いてあえて割り切ってる。
…自分の存在意義がもう復讐しかないからね。それも相手はこの世の支配者だ。」
「…え?」
「さて、お話は終わりだ。ちょっと相手が悪いからね。フォルツのサポートをしないと。」

そう言ってニナはふわり浮き上がるとストロボ相手に戦うフォルツへと向かっていった。

「フォルツ・レープリカ…。」

ドラム缶の裏に隠れて1人残されたアリスはポツりその名を呟いた。

 
 

 
後書き
今日は誕生日なのです。
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