moon light fantasy
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魔鎧ストロボとの死闘
「月華流『月光』!」
夢幻剣を何もない虚空から取り出すと横薙ぎの一閃、『月光』を放つ。銀色の閃光を放ち放たれる一閃はストロボに当たる。
しかし。
「やはり魔鎧。グールの様には行かないか。」
ストロボは無傷。俺は慌てて後ろに飛び退く。するとストロボは自分の鞘にある巨大な剣を引き抜き上に掲げる。
何をする気だ…?
すると後ろからニナが叫んだ。
「上だよ!フォルツ!」
ハッとして上を見上げるとおびただしい数のロングソードが空中に浮き上がっていた。
まずい。
「ぐがあああああ‼︎」
ストロボは巨大な声で唸ると上空のロングソードが一斉に向かってきた。
これは…。召喚魔法『マジックソード』。確か自分の意のままに操れる剣を召喚する魔法だ。
「まさかこんなところでお目にかかるとはな…!」
そう言って俺は一番近い5本の剣を『月光』で横薙ぎに一閃する。一閃され剣は魔力を失い、燃えて無くなった。しかしまだおびただしい数のロングソードが俺に向かってくる。
「くっ⁉︎」
俺は少し慌てて剣の下をスライディングで切り抜ける。
月華流は致命的な弱点がある。それは乱発できない事だ。魔法と自分の身体能力を使うため乱発すると魔力不足による目眩、魔力補助による運動による疲労が起こる。だから良くて一つの戦闘で3回までだ。現に2回の『月光』だけでも頭が回らなくなり、疲労が激しくなっていた。
そんな隙があった。その隙を奴は見逃さない。
剣の下をスライディングで躱した先にはストロボが剣を構えていた。
「しまっ…‼︎」
その言葉の前にストロボの巨大な剣の剣撃が俺に向かっていた。俺はとっさに剣で守るがストロボは怪力だ。俺の身体は剣ごと吹き飛ばされ城館の壁がめり込むほど叩き付けられる。
そしてさらに向かってくるロングソード。壁にめり込み無防備な俺に剣がささる所で。
「まったく。フォルツは突っ込み過ぎ。」
するといつの間にか現れたニナが俺の前にいた。
「満月」
そう、ニナが唱えると俺たちの周りに灰色のバリアが俺たちを囲む様に出現し、全ての剣が弾かれる。
ニナの使える唯一の魔法。無で魔法による攻撃をシャットアウトする魔法だ。だけどこれを使うとニナは当分魔法が使えない。俺は壁から出るとニナを見て。
「助かった。」
「それは良かった。」
ニナは珍しくそっけなく言うとストロボの方を見る。
「さて。どうするの?奴はそう簡単に直せないみたいだよ?」
「…。」
「月華流は効かない。相手の攻撃は強烈。
…これはトランスすべきでしょ?」
トランス。確かにトランスをすれば強大な力をもつストロボを倒すことは簡単だろう。
ニナは悪魔の笑みで誘惑する。そう、トランスすれば…トランスをすれば…!
「さあ!早くトランスする覚悟を決めるんだ!」
…。
…勝てない!と思ったら勝てない。だから工夫するんだよ?どんな敵も三次元的に考えれば弱点は必ず存在する。
…ふと、その言葉を思い出した。俺はニナを見ないで答える。
「まだだ。」
俺はそう言って夢幻剣を構え直す。
「まだ、足りないんだ。」
確かにここでトランスすればストロボを簡単に倒せる。しかしこんな所でトランスをしてたんじゃ奴どころか炎帝すら倒せない。
「こんな所で切り札を切ったら奴を倒せないんだ…!」
それを聞いてニナはキョトンとするといつもの笑顔に戻る。
「そうだね〜。ここでトランスしてちゃ奴は倒せないね。
でもその前にどうやって倒すの?」
「俺に考えがある。それでも倒せなかったらトランスする。」
「…了解。んじゃ僕は魔力回復に努めるから!頑張ってね?」
そう言ってニナはふっと消えさった。するとストロボはいつの間にかロングソードを再び出現させていた。
「ぐがあああああ‼︎」
そうストロボは再び吠えるとロングソードをが俺に向かってくる。再び俺はロングソードをスライディングでかわす。そして待つのはストロボの剣撃。さっきは頭が働かずやられたがここからが違う。
「…はっ!」
俺は能力魔法『フォルテ』を使い、ストロボの股下を抜き、ストロボの後ろに回る。そして。
「月華流『月光』!」
そうして3回目の月華流をストロボの背中に叩き込む。
放つと同時に身体を襲う魔力不足の倦怠感と身体の疲労感。
そして目の前にいたのは。
「ぐがあああああ‼︎」
轟くストロボの姿だった。背中にはひびが入っている。どうやら背中は防御が薄い様だがストロボは未だ健在だった。
ストロボは俺の方に向き直ると自らの剣を叩きつけようとする。
俺はそんなストロボに一言。
「いいのか?そこに立って俺の方を向いたらお前死ぬぜ?」
ザクザクザクッ
そう言った瞬間。ストロボのマジックソードがストロボのヒビの入った背中に突き刺さった。
俺のやった事は簡単。無防備な背中に向けて全力の『月光』を放つ。だがそこからだ。ここで倒したらラッキー。だめなら奴のマジックソードで自爆を狙おうと決めていた。それに俺が後ろに回ると背後がおろそかになり、マジックソードの制御も甘くなると考えたのだ。
「が、がくあああ…!」
マジックソードを受けて悲痛な断末魔を受けてストロボは崩れ落ちた。
「…。」
「すごいですね。フォルツ。」
そう言ってドラム缶から出てきたアリスがそう呟いた。
そして何かを思い出したのか少し考えて。
「ん…?夢幻剣…?
もしかして…『夢幻の剣』フォルツ・レープリカですか?」
「…。」
「そうだよ!『夢幻の剣』フォルツ・レープリカだよ!」
俺がだんまりを決めているとニナが勝手に明るい声でそれを肯定した。
「おい!ニナ!ふざけるな‼︎そんな話を広げるな!」
「え〜?なんで?僕はただ単に教えただけじゃん〜?」
「バカニナ。少し黙ってろ。」
慌ててニナを止めようと手を伸そうとすると強烈な目眩がした。そしてその理由が頭に浮かぶ。
…魔力不足の副作用と疲労が今になって来たか…!
「くっ…。」
驚く2人を最後に見て俺は意識を手放した。
後書き
ニナが某魔法少女の契約を迫ってくるマスコットに見えたら負け。
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