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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第31話  黒の剣士、再会を喜ぶ

 
前書き
やっと出来ました(大汗)今回は無理やり話を進め、オリキャラ登場、新たな話のフラグも書きました。よかったらどうぞ見ていってください。

それではどうぞ! 

 



「師匠!」

キリトの師匠と名乗る男…(すめらぎ) (らい)の介入によってキリトは九死に一生を得た。もし雷の介入が間に合わなかったたら須郷のナイフで命を落としていたかもしてなかった。

「和人……事の詳細は直葉から聞いている。この(クズ)は私が抑えているから、お前は早く彼女の元に行って来い!」

キリトは師と呼ぶ雷を心配するように声を掛けるが雷は須郷に隙を見せずに早く行けと言う。対するキリトは「けど…」とまだ不安を拭えていないが己の師…雷の背中が語っていた



―――いらぬ心配だ―――



「少しは自分の師を信じろ」

「…わかった。ありがとう、師匠!!」

そう言うとキリトはそのまま病院内に駆け込んだ。しかし…

「待てよ……このクソガキ!僕を無視するな!!」

雷とキリトの話の途中から目を覚ましたのか、まるで自分のことは眼中に無いと言わんばかりに話を進められ、気を失っていたはずの須郷は眼を覚まし、キリトを追いかけようと覚束無い足で走り出した。しかしそうはさせないと雷が須郷の目の前に立ちはだかった

「行かせると思うか?外道が…お前ごとき人の心を無くしたクズが……我が弟子 和人の道を遮るんじゃない」

「畜生……っ!あと少しで…あと少しで僕は世界の王に…神になれたのに……っ!この現実(リアル)の世界だって、僕は王にもなれたんだ!それなのに…それなのに……あのクソガキは僕の足を引っ張ったんだ!そんなガキはこの僕が裁くんだ!邪魔を……するなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

そう叫びながら須郷は雷に向かってナイフを突き刺そうとするが雷は焦る事無く左手でナイフを持っていた須郷の右手首を掴んだ

「お前ごときが王になれると本気で思っていたのなら……いつまでも都合の良い妄想(ゆめ)の中で溺死していろ…」

―――バキィッ!―――

「がぁっ!」

二度目の拳が効いたのか今度こそ須郷は気を失い、動かなくなった

「…ふぅ………そこで物陰に隠れている3人。もう出てきてもいいんじゃないか?」

「「「………」」」

雷の言葉にタカトラこと藤堂平助、ソウジこと沖田総一郎、ヤマナミこと山南敬介の3人が姿を現した。そして3人の代表として山南が雷に声を掛けた

「申し訳ありません。こちらも貴方が何者なのか…本当にキリトくんの味方なのか確かめたかったのです」

「成程…そちらの言い分も最もだが………先程の私と和人の会話を聞いていたなら分ったはずだ。アイツには二刀流の基礎を叩き込んだのでな……弟子として可愛がったアイツを裏切るマネなど、私はせんよ」

雷の眼を山南は観察し、あるモノをかんじた。この男の言葉に嘘は無い。しかし、なにかを隠している。それを感じた山南は今は敵対していないが警戒を解かずに対応することにしたのだ

「……分りました。今は貴方の言葉を信じましょう……ただし、もし我々の仲間であるキリト君に危害を加えるなら、コチラも容赦はしません」

そう言いながら山南と総一郎と平助は護身用に持ち込んでいた木刀に手を伸ばし、殺気を雷に向けるが雷本人はその殺気を受け流し、こう答えた

「ああ、その時は構わない。もしそうなったら遠慮なくやってくれ」

そう言い切った雷はキリトが居るであろうアスナの病室に視線を送り、この言葉を送った


「……よく頑張ったな…和人……」









それから1ヶ月後……

須郷は殺人未遂の現行犯として警察に連行され、後に語られる“ALO事件”の主犯として逮捕された。当の須郷本人は最初は容疑を否認していたが、同じく逮捕された須郷の部下の一人がアッサリ吐いたので即座に自認。これによって“ALO事件”は無事解決の方針で収束していった。


一方のキリトは…





「雷さん!」

「うおっ!はっはっは!直葉、相変わらずの甘えん坊だな」

「だって、雷さんに会うのは1年ぶりなんですよ?私にとってもう一人の“お兄ちゃん”なんですからこれぐらい甘えたっていいじゃないですか~」

「…まったく、しょうがないヤツだな…お前は」

「えへへ~~」

「……………」

「えっと…キリト君?」

「なんだい?アスナ…」

「結局この人って一体……」

「ああ、そう言えばまだ話してなかったな、この人は…」

「和人、私の話はせめて今日ここに来るというお前の仲間達が来てからでも遅くは無いんじゃないか?」

「そ、そうだな師匠…」


そう…今アスナの病室にはキリトこと桐ケ谷和人とリーファこと桐ケ谷直葉。そしてキリトの師匠の皇 雷が居るのだ。何故彼らがアスナの部屋にいるかと言うと理由は2つ。1つはアスナの見舞い。もう1つは師匠である雷をアスナに紹介したかったのだ。


それから数分後…

「ヤッホー!アスナ、見舞いに来たわよ」

「思ったより元気そうだね、アスナちゃん」

「リズ!ソウジ君も…」

リズベットこと篠崎里香、ソウジこと沖田総一郎を先頭にアスナにとって懐かしい面々が顔を出した

「お久しぶりです」

「ちーっす!」

「いよ!アスナさん!」

「失礼します」

「シリカちゃん、タカトラ君、クラインさんと…誰ですか?」

アスナにとっては初対面であるヤマナミこと山南(さんなん)敬介(けいすけ)だった

「そういえば初めましてでしたね。私は山南敬介…沖田君と藤堂君とは昔からの剣術仲間です。私も最近ALOを始めた口でして、“ヤマナミ”と名乗っています」

「ああ、そうだったんですか。私は結城明日菜…アバター名も“アスナ”です。宜しくお願いします。ヤマナミさん」

「こちらこそ宜しくお願いします。アスナ君」

こうしてキリトとアスナが信頼する仲間たちが揃った所で全員が銀髪の青年…皇 雷に視線を集中した。

「それで君は…皇 雷と言いましたか…名前は日本人ですが君の見た目はどう見ても……」

そう、雷の姿は銀髪に青い瞳、左眼には斬られた様な傷痕。一見男とも女とも見える中世的な顔立ち。見た目は外国人なのに何故と誰もが思った。それを察したのか雷はこう答えた

「ああ、私はハーフでね。父がイギリス、母が日本人だったんだ。尤も、私は父の血を色濃く受け継いだみたいだけどね。」

「ではその(すめらぎ)とは…」

「母の旧姓だ。本来なら両親は結ばれるはずが無かったが、両想いだったみたいでね。駆け落ちした挙句に母は家出同然のケンカ別れ…そのままイギリスで暮らして私と妹が生まれた」

「妹さんですか…今はどうしてるんですか?」

「………」

シリカの質問に沈黙する雷。シリカもこれに気付き「あ、あれ?」と呟きながら戸惑っていた

「死んだよ…私が15になった頃に事故に巻き込まれてね…」

「ご、ごめんなさい…私ったら」

雷の意外な過去に無神経な質問をしてしまったシリカは涙目になり、今にも泣きだしそうになるが雷はそんな彼女の頭を撫でながら優しく語りかけた

「気にするな…もう過去の話だ」

「は、はい……」

それでもシリカは気を沈んでしまい場の空気が悪くなってしまった。そこで何を思い立ったのか雷はこんな話を出した

「アスナ…と言ったか。君は和人のこんな話を知ってるかい?」

「なんですか?」

「コイツが小学生の頃…」

「わぁぁぁぁッ!師匠!イキナリ何を言おうとしてるんだよ!?」

「え!?なんですか!キリト君のこの反応!!小学生の頃、キリト君は一体何を!?」

「アスナ!そこは食付かないでくれ!!」

「はっはっはっはっはっは!」

「師匠も笑ってないでこの状況を何とかしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」








キリトの師匠…雷との楽しい会話はあっと言う間に過ぎ、日が沈みかけてきた。雷本人も「用事がある」と言って席を立った

「すまないな和人……もう少しお前と話をしたかったが、これから人と会う約束をしているんだ」

「そっか……今度はいつ会えるんだ?」

「近いうち……としか言えないな………そうだ和人。その時はまた稽古をつけてやる」

「え゛!?」

「何だ?嬉しくないのか?私としては久しぶりに弟子の成長を見たいのだが?」

「あはは……お手柔らかに……」

そう言いながら雷は白いコートを着て病室のドアに手を掛け…

「ああそうだ…アスナさん……と言えばいいかな?」

「アスナでいいですよ、お兄さん。」

「ではアスナ…和人のことを頼むよ。見ての通り…頼りない所もあるが、それでも私の可愛い弟分なのでな…」

「はい。頼まれました」

アスナの言葉に満足したのか優しい笑みを浮かべた雷は今度こそ病室を立ち去った

「待ってるぜ。師匠…」





























アスナの病院から出た雷は1人だけ人気(ひとけ)の無い、薄暗い路地裏を歩いていた。すると

「兄者!」

「……仁九郎(じんくろう)か」

雷の呟きと共に影の中から何かが出てきた。しかしその姿は“人”とは言い難いモノだった。腰まで届く漆黒の長髪、どこか修行僧を思わせる僧侶の服、さらに腰に刀、背中に槍を装備していた顔は鴉のような黒い嘴の形をした黒い面で覆われていた。
決定的なのは背中に黒い鴉の翼が生えていた姿だ。

「探したぞ兄者。時間になっても来ないからアチコチ飛び回ったぞ!」

「すまんな…2年ぶりに会った弟子と長く話をしていたからな。許せ」

「まったく……探す方の身にもなって欲しいぞ兄者」


雷が仁九郎と呼ばれた男と話しているとまた別の声が響いた

「ハハハッ!仁の兄貴、そりゃ無理な話だぜ?大兄貴が俺達の言う事を聞いてくれたことがあったか?」

又兵衛(またべえ)……」

雷が声がした方へ視線を向けるとそこに居たのはキリトと同じくらいの少年がいた。上下は迷彩服、ライフルやナイフを装備した格好だけなら自衛隊の格好をしているだけの人間だと思うだろう……頭に猫の耳と二又の尻尾が無ければ

「いつから居たんだ?」

「そりゃ、最初からだぜ?なのに兄貴たちは全然こっちに気付かないみたいだから声を掛けたんだよ」

「ふん……まぁいい。それで?暗《・》()の部隊長であるお前がここに居るという事は、何か進展があったのか?」

雷の言葉に又兵衛はニヤリと笑うとこう答えた

「流石大兄貴…話が早いぜ」

「いいから、早く報告しろ!」

そう言われた又兵衛はニヤけた顔を正し、真面目な顔で報告した

「実は海鳴市に送った偵察部隊から今連絡が来てな。『“闇の書”が起動した』って話だ」

「“闇の書”か……たしかあの本は世界1つを滅ぼす力があるんだったか?」

「ああ、俺もその話を聞いている。で?又兵衛、その闇の書は誰が行くことになった?そんな強力な魔導書、“あのお方”がそのまま傍観するとは思えんが……」

「どうやら闇の書は“夜叉姫”さんの部隊が担当することになったみたいだ。なんか知らんが“邪王”のオッサンはオッサンで闇の書にご執心だったが、“大帝”さんは好きにさせるみたいだぜ?」

「邪王が?何故……」

「それよりも大兄貴、重要な話はここからだぜ?」

「重要?」

「ああ、あの野郎(・・・・)が海鳴に潜伏してるって話だぜ?」

「っ!!」

又兵衛の“あの野郎”という単語に雷の眼は大きく開き、次の瞬間……



「そうか……」



そう一言つぶやき、キリトやアスナの前では決して見せなかった悪魔のごとき凶悪な笑みを浮かべていた。しかも彼の瞳の色が蒼から血のような紅に変わっていた。

「仁九郎!又兵衛!お前たちはカラスとネコを使って最近海鳴に住み込んでいる人間の情報収集に徹しろ!!」

「応!」

「その情報が整い次第、如何するつもりで?」

又兵衛が力強く応え、仁九郎の言葉に雷は





「無論…“ヤツ”の首をとる!!そのために私は今まで生きてきたのだから!!」





雷の言葉に覚悟を決めたのか刃九郎と又兵衛は片膝を付き、誓いを立てた

「ならば我らも、この命尽きるまで、兄者に御供する所存!」

「俺達はアンタに命と心を救われた。だからこの命、アンタのために使いたい!!」


2人の言葉に雷は激昂する

「ならば着いて来い!!鮮血の騎士団(ブラッディ・ナイツ)よ!!」

「「御意!我らが兄!我らが将!!我らが王!!!“狂王”ライゼル・S・クロウリーよ!!」」

仁九郎と又兵衛を先導する雷……否、“狂王”ライゼル・S・クロウリーは仲間を連れて闇の中へ消えていく。この時、彼らの行く末を知る者は、まだ誰も知らない……













 
 

 
後書き
こんな感じです!今回は無理やり感は自覚してますが、これしか思いつきませんでした。

次回は海鳴を舞台にいろんなキャラを混ぜる予定です。

よかったら次回もお楽しみにください 
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