とある異世界の交差物語(クロスオーバー)
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第30話 黒の剣士、再会する
前書き
思ったよりも時間が掛かってしまいました。今回でやっとあの下種と決着…と行きたかったのですが、あと1~2話掛かりそうですのでもう少しお付き合いのほどをお願いします。
最後あたりでオリキャラ出ます
それではどうぞ!
※2015年8月20日終わりの部分を修正しました
キリトが須郷ことオベイロンと決着をつける数分前、グランドクエスト攻略の為に集まった戦士たち……主にキリトたちに協力してくれたシルフとケットシーの戦士たちは既に引き上げていた。
そのため、今グランドクエストのゲート前に居るのはタカトラ、ソウジ、ヤマナミ、リーファ、リズベット、シリカ、クライン、レコンのみ。するとヤマナミが口を開いた
「それでは、私たちもログアウトしましょうか……」
「え?なんでだよヤマナミさん?」
「グランドクエストをクリアした以上、ここに居る理由がありませんからね。それに…」
タカトラの疑問に答えるヤマナミだが、なにか思う所があるのか少し眉間にシワを寄せていた
「もし須郷の性格が私の予想通りなら、グランドクエストのクリアなんて望んていないはず。となれば…」
そう呟いたヤマナミに何か察したのかリーファが声を掛ける
「まさか…!その須郷って人はお兄ちゃんに何かしようと!?」
「そこまでは分りません………が、調べた限り、彼は優秀な科学者であり、同時に結城財閥のトップ…結城彰三氏の腹心の息子だそうで、プライベートでも家族ぐるみの付き合いだそうです……」
「ん~……その話を聞くだけだと、別に何の問題もなさそうな人間だよな…」
「でも、ヤマナミさんはそう思ってないんですよね?」
ヤマナミの言葉を聞き首を捻らせるクラインだが、ソウジは彼の読みを確認した
「………まぁ、確信があったわけではありません。ただ…写真越しだけですが、彼の表情が気になりましてね……」
「表情?」
ヤマナミの“表情”という単語に話を聞いていたリズベットが首を傾げた。ヤマナミも「ええ」と答えながらその理由を説明した
「あの須郷伸之の表情は作り笑顔というより、まるで笑顔と言う皮を被っている様な印象だったんですよ。」
「それは…流石に気のせいじゃ「それに…」え……?」
ヤマナミの言葉にまさかと思ったレコンが口を挟むがヤマナミは続ける
「あの男の眼…例えるならドブの様なひどく汚い淀みを感じましたよ。他に例えがあるなら気味の悪い爬虫類、虫で例えるなら100人中100人が目を逸らしたくなるほど気味の悪い蜘蛛やムカデですね…まともな精神の人間があんな眼をするなど私には考えられません。あとは……(ぶつぶつぶつ…)」
…と、須郷に対する嫌悪をそのまま言葉に出しながらブツブツ語り出すヤマナミに対し、その言葉を聞いていたメンバーは全員円陣を作り、密かな会議を始めた
※ここから先はヒソヒソ話しています
「ちょっ!ヤマナミさんどうしたの!?何か行き成りブツブツ暴言の嵐を吐いてるんだけど!?てか怖い!!」
「あ~~……ありゃ多分ヤマナミさんのストレスが爆発してるな…」
「ストレス…ですか?」
「ヤマナミさん…須郷の個人データ収集を始めたのはいいけど、集めるのにかなり骨が折れたみたいでね……結局そのデータが手に入るのに1週間も掛かったみたいなんだ。その間、一睡もしないで集めてたみたいだから結構ストレスが溜まってるみたいでね……オマケに手に入った情報が胸クソ悪いモノだったから余計にね……」
「なるほど……寝る間も惜しんで苦労して手に入れた情報がそんなひどいモノなら納得かな……」
上からリズベット、タカトラ、シリカ、ソウジ、リーファの順で話しをしていたが後ろから
「何を話しているのですか?」
「「「「「「っ!!??」」」」」」
ようやく正気に戻ったのかヤマナミに声を掛けられ、背筋を震わせる一同。そして………
「「「「「「うぉおあああ(ひゃああああ)っ!!??」」」」」」
1人の例外もなくハデに転がる一同。しかしそんな彼らの事情など知らないヤマナミは淡々と話を進めた
「遊んでいる時間はありませんよ?我々も現実世界でキリト君と合流しなくてはいけません。リーファ君」
「ひゃ、ひゃいっ!」
「ログアウトしたら、君にはキリト君への伝言を頼みます」
「伝言……ですか?」
「ええ、『私とタカトラ君、ソウジ君はダイシーカフェ近くの駐車場で車に乗って待っているので其処に来るように』と伝えてください。いいですね?」
「は、ハイ!!」
「よぉし!そんじゃ皆、次こそは仮想でも現実でも、全員そろって会おうぜ!!」
「「「「「おーーーっ!!」」」」」
「タカトラ……それフラグだよ」
「まぁ、タカトラ君らしいですがね…………」
そんな騒動があったがタカトラたち一同は何のトラブルに巻き込まれる事無く、無事にログアウトが出来た
それから数十分後………
「う……ん?」
オレ、タカトラこと藤堂 平助は仮想世界から現実世界戻れたことを確認するとオレの左手が誰かに握られている感覚を感じたので左手を見ると其処にいたのは…………
「Zzz………Zzz………Zzz……………」
詩乃じゃなくてゴツイ手でオレの手を握る親父だった。しかもオレの手を握りながらイビキを掻いてるかと思えば……
「Zzz……ギギッ……ギギギギギギギッ……ギギギギギギギギギギギギギギッ!」
歯軋りウゼェッ!!
握ってるのはスッゲェ可愛いオレの詩乃かとほんの僅かな期待をしてたのに目を覚ませばゴツイ親父という残酷すぎるこの答えはスッゲー期待したオレにとって……『詩乃に看病してもらっている』という期待をブチ殺すには十分すぎる威力だった。だからこそ、この先のオレの行動は決して悪くないはずだ
「うがああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
「ギギギギッ……ギギボアァぁァぁっ!!?」
オレの渾身の殺意を込めた回し蹴りは親父の左頬に決まり、壁まで簡単に吹き飛んだ。それを達成できたほんの僅かな満足感が傷付いた俺の心を癒した
「おいコラ平助!!中々起きねぇお前を心配したってぇのに、イキナリ蹴り飛ばすたぁどぉゆうつもりだ!!」
「うるせぇよ!目が覚めて早々、詩乃だと思ったらイビキと歯軋りしてるムサイ親父だったら誰だって蹴り飛ばしたくならぁっ!!」
「んだとコラァァッ!!」
「やんのかコラァァッ!!」
最早何回目になるか分らないオレと親父の親子ゲンカが勃発・・・
「……で?何か言う事は?」
「「ゴメンナサイ。オレ達が悪かったです。申し訳ありませんでした。だからそのオーラを抑えてください」」
・・・する前にオレと親父の親子ゲンカに母さんが仲裁……というより眼力のみで父子の怒りを鎮火、鎮圧し、ブリザードのごとき絶対零度の瞳で見つめられた父子は即座に正座、額が床に付くまで頭を下げ、謝罪した(つまり土下座)
「あ、あのオバさん?オジさんも平助も、もう反省してるんだし…そろそろ許しても…」
「ダメよ詩乃ちゃん。この阿呆共は一度許すと何処までも付け上るから一度ちょうきょ…ん、んん゛っ!もとい、お説教しないと!」
「ちょっと待った母ちゃん!!今『調教』って言おうとしたよね!?したよね!?」
「そんな事はいいじゃない?それよりアナタ?」
「は…ハイ?」
「さっきアナタのスマホがメール着信で鳴ったから気になって見ましたけど……『来週の夜は空けておいてね♡ スナック明美より☆』って載ってたけど……どうゆう事かしら…ア・ナ・タ?」
「か、母ちゃん?落ち着いて聞いてくれ?そのメールは仕事仲間のイタズラであって決して疾しいことなど…」
「あら?そう言ってる割には顔中脂汗がダラダラ出てますよ?オマケに服も汗でグッショリ………ちょっと隣の部屋で……話を聞きましょうか?」
「平助えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!!!たぁぁすけてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………………………っ!!!!」
「「………………………」」
親父の断末魔の様な悲鳴がオレの部屋に響き渡り、オレと詩乃の沈黙が続いた。すると
「あ、そうそう平助!」
「な、なんだよ母さん!」
「さっき山南君から電話が来たわよ?なんでも『例の場所に行くから支度して玄関で待ってくれ』って!」
「え、山南さんから?」
後になって知った事だが山南さんはオレの母さんと知り合いらしく、かつての教師と生徒の関係だったらしい。今は親父と結婚して退職したがその前は教師を目指していたらしく、母さんが教育実習生の頃に担当していたクラスの中にいたのが山南さんだったらしい。
初めて母さんからその話を聞かされた時は世間って狭いなと感じた瞬間だった
話は変わって何故詩乃がオレの家にいるのかというと、詩乃は最近 不審人物が詩乃のアパートでうろついてるらしく、母さんがそんな時はしばらくオレの家に泊まって過ごすように手配したのだ。
たまに母さんの悪ふざけか、詩乃が使ってる布団をオレの部屋に置くときがある。勿論オレと詩乃は母さんに抗議するが・・・
『だって将来には私の“義娘”になるかもしれないんでしょ?だったらその時の為の練習は必要でしょう?』
『『なんの!?』』
『あら、聞きたいの?』
『いえ……何でもありません…………』
この様に、オレと詩乃はいろんな意味で母さんに敵わないと悟らされた。
っと、話が逸れた所で山南さんの伝言を思い出し、オレは急いでジャンバーを着て外に出た。危ないから詩乃にはオレの家で留守番を頼んでおいた。そして軽自動車を運転している山南さんと同乗しているソウジこと総一郎と合流したオレはそのままダイシーカフェに向かい、キリトを待った。
だが・・・
「遅いな……」
「遅いね……」
「遅いですね……」
待ち合わせのダイシーカフェ近くの駐車場でキリトを待ったのだが、30分以上たってもその姿が一向に見えず、連絡も全くなかった
「藤堂君、桐ケ谷君からの連絡は?」
「それが さっきから電話してるんだけど、通じないんだ」
「まさか……」
山南さんが何か察したのかすぐにケータイを取り出し、何処かに連絡を入れた
「もしもし、直葉君ですか?」
『あれ?もしかしてヤマナミさんですか?』
「そうです。桐ケ谷君は…」
『お兄ちゃんなら1時間前に自転車に乗ってそちらに向かったハズですけど…』
「なんですって!?」
リーファこと直葉の言葉に山南は即座にキリトこと桐ケ谷和人がこっちに向かっていないと察し、彼の移動時間を計算し、此処ではなく何処へ向かったかすぐに理解した。そしてハンドルを握り、ある場所へ走った。
「ちょっ!山南さん!!どうしたんですか!?」
「どうやら桐ケ谷君はダイシーカフェではなく病院へ直接行ったみたいです!」
「なんだって!?」
「迂闊でした…彼の性格なら直接行くと予想できたのに…!」
「山南さん、とにかく急ごう!!」
「わかっています!!」
山南さんが車を運転して20~30分は掛かったがなんとかアスナが入院している病院に辿り着いたオレ達の目に映ったのは2人の人影だった。1人は怪我をしてるのか片腕を抑えて、もう1人は何かを握って腕を抑えてる奴を攻めていた。
オレは腕を抑えているのが誰なのかすぐに分かり、山南さんの車から飛び出した。山南さんの声が聞こえるが何を叫んでいるのか分からない。分かるのは仲間が殺されかけていることだけだった
「キリトォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
タカトラこと藤堂平助たちが病院に到着する数十分前……
須郷を倒した後、俺はアスナを吊るしていた鎖を斬り、アスナを開放した。アスナを抱き留めた瞬間、俺は床に膝をつきアスナを強く抱きしめて涙を流していた
「アスナ…俺は…………」
「信じてた…ううん、信じてる。これまでも、これからも……君は私のヒーロー。いつでも、助けに来てくれるって……」
「……そうであれるよう、頑張るよ。アスナ……さぁ、帰ろう」
俺はそう言い、アスナをログアウトさせる準備をする
「現実はもう夜だけど、すぐに君に会いに行く」
「うん、待ってる。私も最初に会うのはキリト君がいいもの……とうとう終わるんだね。帰れるんだね……あの世界に……」
「あぁ……色々変わっててビックリするぞ?」
「いっぱい、色んな所に行って、色んな事、しようね?」
「ああ。きっと……」
俺はそうアスナと約束し、右手でボタンを押してアスナをログアウトさせた
「さてと、それじゃ…」
「…………」
俺はそう言いながら後ろにいる女性…サチに声をかけた
「こんな時に言うのも何だけど、やっぱりコレだけは言わなきゃな……」
「キリト……」
操られていたとはいえ、先程までキリトに深手を負わせていたサチは今にも死にそうな暗い顔だった。罵倒される覚悟なのか震えながらもサチはキリトの視線から逸らさなかった。そして…
「久しぶりだな、サチ。また会えて嬉しいよ……」
「っ!?キリ、ト………」
キリトの予想外の言葉に大粒の涙を流すサチ。震える声でキリトに尋ねた
「なんで!?私は貴方に刃を向けたのに、何でそんな言葉を出せるの!?」
するとキリトも困ったような表情でサチが流す涙を拭った
「確かにあの『死ね』って言葉には応えたけど、それよりもやっぱり……」
「え…?」
「生きてまたサチと会えた事が、俺にとっては嬉しいことだよ」
「キリ、ト………」
我慢の限界だったのかサチは先程のアスナと同じようにキリトに抱きついた。そんなサチにキリトは優しく迎えた
「ゴメン、キリト…ゴメンなさい…私……わたしぃ……ッ!」
「いいんだ。生きてくれてありがとう…サチ……」
キリトとサチの長いようで短い和解が終わり、キリトはサチをログアウトする準備を始めた
「それじゃサチ、今度は現実で…」
「うん。きっと…何処かで……」
そう言ってキリトはサチををログアウトさせた。するとキリトは暗闇に包まれた上空を見上げ、ある人物に声をかけた
「そこに居るんだろ?ヒースクリフ…」
暫く静寂が続くが、何もない空間からある人物が現れた。白衣をまとった若い男性だった
『久しいなキリト君……もっとも、私にとってはあの日のことも昨日のようだが…』
「生きてたのか?」
『そうであるし、違うとも言える。私は茅場昌彦という意識のエコー…残像だ』
「相変わらず分かり難いことを言う人だな。どうせならもっと早く助けてくれてもいいんじゃないか?」
『それはすまなかった。システムに分散保存されたこのプログラムが結合、覚醒したのは丁度、君が須郷君に虐げられてる時だったのでね…私にはまだ少々やることがあってね』
「やること?」
『ああ…かつて私の命を救ってくれた、古い友との約束を果たすための準備をね……』
「友?」
茅場の言っている意味は理解出来なかったが、キリトは深くは追求をしなかった
「ま、何はともあれ、取りあえず礼は言っとくぞ」
『礼は不要だ。君と私は無償の善意など通用する仲ではなかろう。もちろん代償は必要だ、常に』
「何をしろというんだ?」
苦笑交じりにキリトが尋ねる。すると、闇の中から卵の形をした光る結晶が降りてきた
「これは?」
『世界の種子、だ。芽吹けば、どういうものか解かる。その後の判断は君に託そう。消去して忘れるもよし………だがもし、君があの世界に憎しみ以外の感情を残しているのなら……………』
茅場はそこで言葉を区切り、暫く沈黙した。そして…
『では、私は行くよ。いつかまた会おう』
そう告げると、茅場の姿は消え、暗闇も消えた
「……ふぅ…………アスナ、今行く!」
茅場を見送ったキリトは気持ちを切り替えてログアウトした
「ん…っんん……っ!」
目を開け、見慣れた天井が目に入る。意識が覚醒した瞬間、俺はナーヴギアを素早く外し、ジャケットを手に家を飛び出した。スグの声が聞こえたが適当に聞き流し、気にせず自転車に飛び乗り、病院を目指した。暫く走ると、病院が見えてきた。
職員用の小さなゲートから入り駐輪場に自転車を止めて、駐車場を通り抜け病院の入り口を目指して走った。すると車の陰から誰かが現れたので、ぶつからないように体をずらして脇を通り過ぎようとした。だけどその時……
「……グッ!?」
何かが俺の腕を掠った。そして少し遅れて、鋭い痛みを感じた。
「やぁキリト君、遅かったじゃないか」
「!?」
その声に、俺は振り向いた。車のドアに寄りかかり、片手に鋭く光る物を握り、茶色いコートを着た痩せ型の男。
「――須郷ッ!!」
以前に会った時に感じたエリート特有の空気は、見る影もなかった。髪は乱れ、顔面の筋肉は奇妙に引きつり、左右の瞳で瞳孔の大きさも違った。
「酷いことするよね、キリト君?君のおかげで体中の痛覚がまだ消えないよ…」
俺は斬られた片腕を抑えながら須郷を睨み付ける
「もう諦めろ須郷……お前のしたことは決して許される事じゃない。コトが大きくなる前に大人しく自首をオススメするぜ?」
「自首?なんで?どうして僕がそんなことを?する必要なんてないね。僕を欲しいって企業は山ほどあるんだ。研究を完成させて、今度こそ僕は本物の王に……この世界の神になれる!」
「……もう思考がまともじゃないか…」
強気を見せるが、今の状況は俺の方が圧倒的に不利だ。武器になる物は無い。さっきまで自転車で走ったおかげで体力はそんなに残ってない。俺がどうやってこの状況を考えていると須郷は一気に攻めてきた
「うわっ!?」
頬を斬られながら足を滑らせて倒れてしまった。そんな俺に須郷は容赦なく踏みつけてきた
「ぐっ!」
「おい立てよ……こんなもんじゃ僕の怒りは収まらないんだよ。僕の足を引っ張りやがって……」
「ぐっ…がっ…」
須郷は呟きながら俺の腹を何度も蹴り飛ばし、次の瞬間、握っていたナイフを高く上げ、俺に向かって振り下ろしてきた
「何の力も持ってないクソガキが、僕の足を引っ張ってんじゃねえよぉぉぉぉぉぉっ!!死ねェェェェッ!!小僧ォォォォォッ!!!!」
「キリトォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
倒れている俺の耳に須郷とここに居るはずが無いタカトラの声が聞こえたけど、俺の目には全てがスローモーションに動いてるように写った。ああ、これが走馬灯かと他人事のように感じていたが、こんな状況でもやっぱりアスナのことが頭に浮かんできた。ちゃんと会って、アスナの声を聞きたかったな…
そんな事を考えていたら須郷のナイフが俺の目の前に迫ってきた。そうしたら……
「私の弟子に何をしてる外道……!」
「ガァッ!?」
「え?」
俺の目の前まで迫っていたナイフは須郷ごと病院の壁まで吹き飛ばせれて居た。蹴られたと築くのに数秒掛かったが、その須郷を蹴り飛ばした人物を見ると油断無く須郷の様子を伺っていることが分かった。
「助かった…のか……?」
「それはいいけど…誰……?」
「まさか…羅刹…?」
「アンタは…」
タカトラにソウジ、ヤマナミさんは何か呟いていたが、その人物に俺は見覚えがあった。
その人は銀色の髪、海のような蒼い瞳、一見女にも見える中性的な顔。白いロングコートを着ている。
その人は俺が子供のころに出会って、ほんの少しだけだけど剣道に嫌気が指して剣を捨てようとしたときに剣だけじゃなく、人としての道を教えてくれた……
「師匠……!」
「久しぶりだな和人。思ったより元気そうで安心したよ……」
「なんだ…誰だ……おまえは!!」
俺と師匠が再会の言葉を交わしていると須郷が憎しみを込めた眼で俺達を睨んでいるが当の師匠は全く気にせず名乗りを上げた
「貴様のようなゲスに名乗る名など無い…と言いたい所だが、あえて名乗ってやろう…外道!」
「ヒッ…ひぃぃっ……!」
すると師匠は須郷を睨み付けながら立ち上がった。睨み付けると言っても師匠の眼は殺気が無い…にも関わらず須郷を畏縮させるほどの眼力とオーラがあることを感じた。現に須郷は気付いてないみたいだが涙と鼻水で顔がグシャグシャになっていた
「私はそこの阿呆の師を任された流れ者…」
「あ…ああ……っ」
あのALOで須郷は自分から“妖精王”と名乗ってたけど、師匠の方が圧倒的に王者としての威厳と貫禄を感じさせた。すると師匠は須郷の胸ぐらを片腕で掴み挙げながらドスの効いた声で名乗りを上げた
「ライ………皇 雷……それが私の名だ!この名、その身に刻んで覚えておけ下郎!!」
「げぼあぁっ!!」
そう名乗りながら師匠の拳が須郷の顎に叩き込まれ、須郷は宙を飛びながらそのまま壁に衝突した。そして須郷は今の衝撃で気を失ったのかそのまま動かず、とりあえずこの場の騒動は収まった
これが俺の師匠、ライさんと俺、桐ヶ谷和人の再会だった。だけど俺は知らなかった。この人が抱える闇を…そして近い将来、とんでもない形で再会するなんて、この時の俺は知る由も無かった
後書き
とまぁこんな感じです。ほとんど原作沿いで行ってます。最後に登場したオリキャラは今後のメインキャラの1人です。
次の投稿はまったくの未定ですが、まだまだ完結目指してがんばります!
それでは次までお待ちを!!
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