とある異世界の交差物語(クロスオーバー)
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第32話 夜叉と死に損ない、世界を渡る
前書き
お待たせしました!今まで予告しか出せなかったあの人たちをやっと出せる話の流れを思いついたので、投稿します。
よければどうぞ!
最近、妙な夢を見るようになった。天まで覆い尽くす黒煙、血の河に屍の山…かつて俺が経験した“攘夷戦争”だったら何の違和感も感じなかっただろう。だが俺が経験した攘夷戦争に必ず目に入った空飛ぶ宇宙船は無かった。
代わりに竜が空を飛び、地上には巨大な蜘蛛や鬼が人と戦っていた。こんな景色、俺は知らない。だけど心の何処かで懐かしいと感じている自分がいた。
そしてそんな妙な感覚に襲われている俺自身は知らない誰かになって誰かと対峙していた。相手の顔は黒いモヤがかかってよく見えない。何かを喋ってるがよく聞こえない
『貴■■ような■の■も■■男がよ■■こんな■■れ共を■■る■■将とし■■■■いて俺の■■と戦い、生き■■■■のだ…』
なんだ?コイツは何を言ってるんだ?
『だが所詮は無駄なあがき…この■はいずれ■■■■点たる■■■のモノとなる■■■る。たとえ貴様が■■し、我が肉体■■ると■■も人■共は■ずれお前たち■■■に見切りをつけ、信■すらしな■■が■■■■。人間の■に■■■いう闇が■■限り、俺■何■■も蘇■!』
目の前の男は何か叫んでいるが、ノイズが混じってよく聞こえない。だが…
「つまり此処にはもう、お前が守るべきモノはもう……何も無い!!」
何故か知らんがこの言葉だけは気に食わなかった。そう感じた俺は剣を抜き、目の前の男に向けた
「剣が届■■囲は俺の■■。無■に汚ぇ■で入り■■■■句、■■が残し、愛した■■■に…俺の大■なモンに手■■す奴ぁ…■国の■神様だろーが魔■様だろーが■■■だろーが…俺が全部ブッた斬るッ!それだけだ」
俺の言葉の何が気に入ったのか知らないが男は突然笑い出した
「…ク…クククククククク、クハハハハハハハハッ!!ハァァーーーッ!ハハハハハハハハッ!!成る程な!やはり貴様は面白い。それでこそわが宿敵!ならばお前のその小さな■…俺が全て呑み尽してくれる!!行くぞ■■■■!!」
「来やがれ■■■!!」
「「ウオオオオオオォォォォォォォッ!!!」」
俺とそいつは互いに剣を抜き、戦いを始めた所でオレの意識はまた別の所に飛んだ…
ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~! ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!
(あれ?なんで『世にも○妙な物語』のBGMが流れてんだ?)
違和感を感じた銀時がゆっくりと目を開けるとそこには…
「ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~! ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!ドゥルルルル…ドゥルルルル…ドゥルルルットゥットゥッドゥルゥ~!ドゥルグフゥッ」
BGMの正体はグラサンをかけた神楽だった。
銀時は自分の顔を覗き込みながらBGMを歌う神楽の頬を鷲掴む。
「なにやってんだテメェ…」
「おはようございま~す。髪切った?」
「切ってねぇよ!なに悪質なイタズラしてんだテメェは!!」
頬を鷲掴む手を払い、マイクを持ってタ○リのマネする神楽にキレる銀時。すると神楽は
「いや、なんか銀ちゃんが魘されてたから何かリラックスできる曲でも思ってBGMのモノマネを…」
「だからって何で『世にも○妙な物語』!?リラックスどころか変な夢しか見れてねぇよ!!」
「変な夢?どんな夢アルか?」
「どんなって…………」
神楽の質問に答えようとする銀時だったが言葉が詰まってしまった
「……………なんだっけ?」
「銀ちゃんダメダメアルな…そんなんだから銀ちゃんはいつまでたっても天パアル」
「何でどんな夢みたか忘れただけで天パ扱い!?」
「おはようございまーす!」
玄関から扉が開く音が響き、挨拶をする少年は志村新八…まぁ彼は今更説明する必要は無いだろう。メガネだけだし
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!誰がメガネだけだとこの野郎!僕のアイデンティティはまだツッコミもあるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!あと、アニメでもナレーションしてたんだからな!そう!こんな感じに…」
---『侍の国』…僕らの国がそう呼ばれたのは…
「って!今さらそんな前置きはイラネェだろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
―――ぶはぁっ!
ナレーションこと志村新八にツッコミを入れる坂田銀時。この男に関してはまぁ……今更何もいう事は無いでしょう
「おぉいコラ!!プロローグこと予告以来の銀さんに対して、放置しすぎじゃねぇの!?つーか何だよあの冒頭!?『劇場版 銀魂 完結編 万事屋よ永遠なれ』みたいな“銀さん死んじゃった”みたいなシーンを作るつもりだったの!?なにこれ!?新たな嫌がらせですかコノヤロー!」
「銀さん…久しぶりの登場だからってハメ外しでメタ発言し過ぎです。あと、何言ってるか全然わかりません」
天に向かって吠える銀時に対して冷静…いや、絶対零度の眼差しで見るメガネこと志村新八だった。
そしてそんなバカ騒ぎをしている万事屋一同だったが新八が何かを思い出したかのように銀時に話しかけた
「そういえば銀さん。確か今日は源外さんの所で依頼があったんですよね?」
「んあ……?」
新八の言葉に思い出したのか部屋の時計を見た瞬間
「やべぇぇぇぇぇぇっ!!もうじーさんと会う約束過ぎてんじゃねぇか!!」
「え!?じゃぁ早く行かないとマズイアル!!」
「銀さん!早く行きましょう!!」
神楽の言葉で3人は一斉に外へ飛び出し、源外の元へ走り出した
「遅かったな銀の字。もう来ねぇと思って依頼をキャンセルするとこだったぞ」
遅れてやってきた銀時たちに皮肉を言う老人の名は平賀源外…かつて将軍の首を狙った時もあったが銀時たちの説得により指名手配犯になって逃亡生活を送っているが何かと今の生活を楽しんでいる源外だった
「悪かったって言ってるだろじーさん。んで?俺達に何をさせたいんだ?」
「おー!そーだったスマンスマン。実はな、最近ワシが作った発明の実験に付き合ってほしいんだよ」
「実験?」
「そうさ!銀の字!コイツを見ろ!!」
そう言って源外は白い布で覆い被さっていた3m近くの物体を銀時たち見せた
「うおっ!?なんじゃこりゃ!?」
「コイツこそ、かつてワシが造った『時間ドロボー』を元に更なる進化を遂げた最高傑作!その名も!!」
源外はそう言いながら白い布を剥ぎ取り、その姿を見せた。それは…
ただピラミッド状に積み上げた椅子の上にフィギアサイズの『映○ドロボー』が立ってるだけだった(しかも盗撮しているパントマイムのポーズ付き)
「『時間ドロボー』の進化系!『次元ドロボー』じゃぁ!!」
「って!ただの『○画ドロボー』のフィギアじゃねーか!!」
源外の発言と共に怒り心頭の銀時が椅子を蹴り飛ばした
「何するんじゃ銀の字!!」
「うるせーヨ!一体どんな発明したかと一瞬期待した俺らがバカだったよ!!」
「わかっとらんのぉ銀の字。見た目はフィギアだが性能は以前お前さんが話した『時間ドロボー』と殆んど同じじゃ!ワシは更なる進化としてあらゆる次元へ飛べるよう設計したんじゃよ!」
「え?マジか?前俺が話した『時間ドロボー』は人間サイズでもスゲー発明だったのに、このフィギアサイズでそんな事できんの!?」
「本当じゃ銀の字。なんなら試してみるか?設定はワシの方でしよう。好きな次元へ飛ばすことも出来るぞ?」
「おいジジィ……まさかとは思うが、アンタが行った実験って……」
「おうそうだ。お前等にはこの『次元ドロボー』で異世界旅行に行ってもらう」
「ふっざけんなクソジジィッ!!そんなおっかねぇ発明、誰が行くってんだよ!!」
「銀の字……ワシが直したお前さんのスクーターの修理代、酒場で散々飲んで支払う直前になって『金が無い』と言ってワシに奢らせた酒代。それとワシが仮契約で借りてたこの工場を壊した時の修理費用…まだまだお前さんに払ってもらってないツケがたくさん有るんだが…この実験を付き合ってくれるなら…半分はチャラにしてやるぞ?」
「銀さん……」
「銀ちゃん……」
「わふぅ………」
「…………………………」
源外の指摘で新八と神楽、定春から冷たい視線を受け、銀時の顔…いや、体中から凄まじいほどの汗が流れていた。そして……
「わぁぁったよ!やれば良いんだろ!?やれば!!その代り、ツケは……」
「そんな態度でいいと思っとるのか?銀の字?」
「すいませんでした。誠心誠意貴方様の実験にお付き合いしますのでどうかツケの方を宜しくお願いします」
「よしよしそれでいいんだよ銀の字。んじゃ、おめーらもそこに並んでろ」
「え?僕たちもですか!?」
「私まだ死にたくないネ!逝くなら銀ちゃん1人で逝って欲しいヨ!!」
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!なに銀さんが死んじゃう前提で逃げようとしてんだコラ!」
逃げようとする新八と神楽を銀時は許さず、銀時は新八を、新八は神楽の腕を掴んで放さなかった
「ちょっと何やってるんですか銀さん!?早く放してください!!」
「ふざけんな!俺ら万事屋は三位一体!生きるも死ぬも一緒とあの桃園で誓ったはずだぞ!」
「アンタこそふざけんなっ!どこの桃園だよ!そんな誓いたてた覚えはねーよ!三国志のつもりかコノヤロー!!」
「私に構わず、あの世に逝くアル2人とも!!」
「「ふざけんなっ!お前も絶対道連れじゃっ!!」」
そんな3人の漫才のようなやり取りをよそに、源外が発明した『次元ドロボー』は動き出し、レンズが光り出した
「おい何だあの光?なんであのレンズ光ってんだ?」
銀時が冷や汗を流しながらそんな疑問を浮かべていると、源外が
「あ~銀の字。そりゃさっきオメーが蹴っ飛ばした時にその衝撃でスイッチが入ったみてーだ」
「「「「…………」」」」
源外から教えられた事実に万事屋一行は1人を除いて怒りに震えていた。そして『次元ドロボー』のレンズが強く光った瞬間、凄まじい咆哮が轟いた
「「ふざけんな腐れ天パあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
「わおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!」
そして次元ドロボーの光が消えた後、万事屋一行の姿はどこにも無かった
「行っちまったか…ま、銀の字なら大丈夫か…」
そんな身も蓋もないことを言う源外も結構薄情かもしれなかった…
所変わって時は慶応4年5月17日、東京……否、江戸の上野…後に語られる戊辰戦争の一つ『上野戦争』で1人の漢が息を引き取ろうとしていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
戦いで受けた傷なのか腹部から溢れる血を抑えながら荒い息をしている赤髪の男の名は原田左之助…新選組十番組組長であり、近藤勇、土方歳三が信頼していた新選組創成期メンバーの1人だったが、『甲州勝沼の戦い』の後、局長である近藤との意見が相違し、同期であり、仲間だった二番組組長永倉新八と共に新選組を離脱。その後 千鶴の父である雪村綱道が率いる数十人の羅刹隊を殲滅するために“ある男”と協力し、たった2人で激しい死闘を繰り広げ、勝利をもぎ取った。
「お前…これからどうするんだ?」
その男の名は不知火匡……左肩に龍の刺繍があり、剣より銃を好む変わった男。長州藩に属する鬼の一人であり、左之助たち新選組の宿敵であった鬼の一人である。同族だったが裏切り者の綱道を断罪するために敵対していた原田と協力し、勝利を収めた。
しかしたった2人で羅刹隊を相手にして無事の筈がなく、原田は腹部を負傷し、重傷。満足に動けなくなっていた。不知火の質問に原田は…
「そう、だな…この後、新八と会津で合流して、千鶴と会う約束を……してた……からな…」
「…そうか………」
たったこれだけの会話だが、敵対していた男たちの会話としてはこれで充分なのか不知火はこれ以上は聞かなかった。原田の最期を見届けるために…
「若いの、スマンが主らをここで死なせるわけにはいかんのじゃよ…」
「「ッ!?」」
誰も居ないと思っていた戦場に姿を現したのは1人の老人だった。肩まで届く癖毛が混ざった白髪のボブヘアー、原田と不知火は着物と洋装の違いしか知らないが老人が着ているのは黒い紳士服、白いローブを纏い、その背中には漢数字の“六”と書かれていた。
そして何より特徴的だったのは額から両目にかけて“×”状の斬り傷の痕が刻まれていたのだ。
不知火はそんな老人に対して警戒しながら語りかけた
「なんだ爺さん?アンタ見た所、西洋人みたいだが、こんな所で何やってんだよ?」
「なに、儂はただの老いぼれ。お前さん等若い者と争うつもりは無い。それより……」
老人がそう呟くと重傷で動けなかった原田に視線を向け、語りかけた
「赤いの…お前さんに聞きたいことがある」
「はぁ、はぁ、あかっ…って……まぁいいや…聞きたいことは何だよ爺さん。見ての通り、俺は長く聞けないぜ?」
「そのようじゃのう……では単刀直入に聞く」
そう言った老人は原田にとって予想外の言葉を切り出した
「土方歳三と雪村千鶴に手を貸してくれんか?」
「……………は?」
この老人の言葉に原田は呆けた
「ちょっ……待ってくれ爺さん。なんでそこで土方さんが出てくるんだ。それと、なんで千鶴のことを知ってるんだよ」
そう、雪村千鶴の存在は新選組の中でも限られた幹部……他は例外として風間達西の鬼の一族しか知らないはずなのに目の前の老人は千鶴の名前を知っていたことに原田は殺気を込めて問いかけた。対する老人は原田の殺気に臆することなく答えた
「そう殺気立つな若いの。ワシがあの娘のことを知ってたのは…」
老人が説明しようとした次の瞬間…!
「あらお師匠さま?こんな所で一体何をやっていますの?」
「むっ!」
「「っ!?」」
また別の人間の声が聞こえた。原田と不知火が声が聞こえた方に視線を向けるとそこに居たのは腰まで届く長い黒髪、ヘソを出している白肌。さらに言えばこの幕末の技術ではまだ加工できないはずの革ジャン。何より一番目を引いたのは10人中10人は眼を引くほどの美人だったことだ…………右目が機械仕掛けの義眼になっていなければただの美女と呼べただろう…そんな美女に対して老人は親の仇を見るような眼で睨んでいた
「やはり貴様かカミラ…!」
カミラと呼ばれた美女はクスクスと妖艶な笑みを浮かべながら話しかけた
「お久しぶりですわねお師匠さま……実に50年ぶりですわね」
「そうか…もうそんなに経つのか。にも関わらず、その姿は変わらないのだな…いったい何人の娘どもを喰らいおった?」
「さぁ…わたしもこの美貌を保つための研究をずっと続けていたのでよく覚えていませんわ…」
「お、おい爺さん。あの女はいったい…」
「スマンが今お前さんたちの話し相手をする暇が無くなった。今からお前さんたちを別の時代へ飛ばす!あとはそっちで何とか生きてくれ!」
すると原田たちの足元から特殊な術式が描かれた魔法陣が浮かび、2人の姿が薄れていった
「ちょっおい!」
「待てクソジジイ!!ちゃんと説明しろ!」
「説明は目の前の用事が済んでからじゃ!」
「後で忘れたなんて言うんじゃねぇぞコラァッ………!!」
原田と不知火と共に魔法陣が消え、この場に残っているのは老人とカミラと呼ばれた女のみ。老人はもうこの場に居ない不知火に答えた
「忘れはせんさ……『後で』があればの話だがな………さて、改めて久しいなカミラよ…」
老人の殺気に気付いておきながらカミラは恍けるように声を掛けた
「あらお師匠さま…まだ昔のことを根に持ってますの?」
「フン!あの時、貴様の本性を見抜けず、“エリクサー”…この国では“変若水”と呼ばれていたが、あの研究書を見せなければ、この国にこのような迷惑はかからなかったはずじゃ!師であるワシを裏切り、己が欲望のために多くの人々を犠牲にした挙句にこんな余所の国に変若水を持ち込んだ我が弟子よ…貴様の今までのその悪行、今度こそ、師であるこのワシが断ち切ってくれる!!」
老人の決死の覚悟を本物と感じ取ったのか冷や汗を流すカミラだったが、それでも自身の余裕を崩さず、彼女は懐から何かを取り出した
「ふふふっ…いくら年老いたお師匠さまでも、わたし如きが貴方に勝てるとは思ってませんわ」
「むっ!」
懐から何かを取り出したカミラは足元に落とした。すると彼女の足元に老人が出した魔法陣が展開された。老人はカミラが出した魔法陣の術式を瞬時に理解し、周囲の空間に魔法陣を展開し、炎や突風をカミラに向け、発射したがアッサリ避けられた
「逃げるかカミラっ!!」
「ええ。いくら私でも、あの伝説の名と血を受け継ぐお師匠さまに勝てるとはサラサラ思ってませんわ」
「お前の目的は一体何なのだ!!答えろカミラッ!!」
するとカミラはクスクスと不気味な笑み浮かべながら答えた
「ふふふっ…今も昔も、わたしの目的は『不老不死』……その為ならどれだけの犠牲が出ようと構いませんわ」
「まだそんな妄想を見続けているつもりだ…!」
「いいえお師匠さま…妄想ではなく我々はその方法を知らないだけ……私はその為に理解に必要な材料として わたしはあの“魔導書”を求めているのです…」
「魔導書……?…不老不死…っ!まさか!?」
カミラが発した単語に眉を顰める老人だったが彼女が何を指しているのかすぐに察し、声を荒げた。そんな老人の反応に満足したのかカミラは不気味に微笑んだ
「ええお師匠さま。恐らく貴方が思ってる通りの書物ですよ」
「馬鹿者!“あれ”は絶対に手を出してはならぬ禁忌の一つ!それに手を出せば滅びがあるのみだぞ!!」
「たとえお師匠さまと言えど、これだけは譲れません。では…」
そう言い残したカミラは足元に展開していた魔法陣と共に姿を消した。その場に残された老人は懐から携帯電話のようなもので誰かと連絡を取っていた
「ワシじゃ。スマン三代目、あの壬生狼と鬼は海鳴に飛ばしたが、カミラを捕らえられんかった」
老人は連絡先の相手…三代目とやらに現状の報告をした。どうやらカミラを捕らえる考えだったようだ。そして
「ああ、今から海鳴に飛ぶゆえ、念のために増援を頼む。三代目…」
そう言い、携帯電話を切った老人は曇天の空を見上げ、一言つぶやいた
「さて、次は会津か……」
後書き
はい!と言うわけで、銀さんと左之さんをメインに出しました!
ちなみに今回のタイトルの“死に損ない”は左之さんのことです。調べてみたら左之さんは確かにそう呼ばれていたみたいなのでこの名を使わせていただきました。
リリカル組と剣心組はもうちょっと先です。
それではまた!
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