ドリトル先生と森の狼達
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第十幕その九
「しかし今は大学に勤めていて毎日出勤して」
「研究室から講堂に行かれたりして」
「前よりもずっと歩いていますし」
「お菓子もカロリーが控えめなので」
「痩せました」
「体重が減られたのですね」
「そうなんです、まだまだこうした体型ですが」
まだまだ先生は太めです、ですがそれでもというのです。
「健康診断で健康に問題があるとまではいかないと」
「言われたのですか」
「はい、そう言われました」
診察のお医者さんにというのです、お医者さんがお医者さんに診察してもらってそう言ってもらえたというのです。
「無事に」
「それは何よりですね」
「健康第一ですからね」
「はい、是非健康を保たれて下さい」
日笠さんもお菓子を食べつつ先生ににこりとして言いました。
「是非」
「そうさせてもらいます」
「私も健康には気をつけていますし」
「そうですね、男の人も女の人も」
先生も笑顔で応えます、日笠さんのそのお言葉に。
「健康を保たないと」
「長い間一緒にいられないですからね」
「はい、日笠さんは僕の大切なお友達です」
ここでこう言ってしまうのが先生です、ですが先生はこのことがわかっていません。本当にこうしたことは駄目です。
その先生がです、また言うのでした。
「くれぐれも健康にはです」
「お友達ですか」
「はい」
そうだというのです。
「とても大切な」
「そうですか、まあそのことは」
日笠さんは先生の今のお言葉に少しがっくりしながらもです、それでもすぐに気を取りなおしてあらためて言うのでした。
「少しずつ」
「少しずつ?」
「いえ、こちらのお話です」
「そうですか」
「はい、とりあえずこのティーセットは楽しんで頂いてますね」
日笠さんはあらためて尋ねました、話題を変える為に。
「そうですね」
「とても」
「それは何よりです、そして」
「そしてですね」
「ニホンオオカミのことは」
「園長先生、学園長にお話して」
「そこからですね」
「そしてすぐに発表はしないのですね」
「すぐに発表しますと」
それがというのです。
「問題が複雑になります」
「こうしたことはタイミングですね」
「そうです、タイミングや順番を間違えますと」
こうした動物の生存の発表にしてもというのです。
「大変なことになりますので」
「注意しないといけないですね」
「順序よく、状況を見つつ慎重に」
先生はまたお話しました。
「進めていきましょう」
「それでは」
日笠さんとこうしたことをお話しつつ紅茶も楽しむのでした、ニホンオオカミのことはよしとなりましたがそれでもです。
研究室で先生からのお話を聞いた動物の皆はやっぱり、というお顔になってそれぞれ先生に言うのでした。
「はい、半分はセーフ」
「けれど半分はアウト」
「そのアウトの方が問題」
「それもかなりね」
「あれっ、どうしてかな」
先生は皆にそう言われて目を瞬かせるのでした。
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