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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第16話 ゴールデンウィーク前夜

「………よし、大丈夫そうだ」

「完成ですね、ドクター」

「ああ、あとデータを送ればすぐにでも最低限の活動はできるだろう。この子のナンバーは11だからウェンディにしよう」

「了解です、ドクター」

「それでは教育係にセインでも………」

「大変だドクター!!」

ラボに慌てた様子で、入ってくるノーヴェ。

「どうしたんだい?ノーヴェ」

「セインがこんな手紙を残して………」

『チンク姉の所へ遊びに行きます。あっちの世界だとゴールデンウィークと言う5連休なので』

「全く、あの子は………」

手紙を読んで呆れるウーノ。
しかし隣のスカリエッティの反応は違かった。

「ふむ、ならばちょうど良い、ノーヴェ」

「なんですか?」

「今稼働したウェンディを連れて、セインの所へ行ってきなさい」

「えっ!?でも私、後でトーレ姉と戦闘訓練が………」

「そうですよドクター、稼働したばかりでいきなり外に出すなんて………」

スカリエッティの提案に驚くノーヴェとウーノ。

「他のナンバーズはそれぞれすることがあるし、あっちにはチンクもいる。それにあっちの事に慣れておくのも悪くはないだろう」

「………ドクターがそう言うのでしたら」

少し不満げにウーノは答える。
稼働したばかりの妹を現在一番稼働時間が短いノーヴェに任せることが不安だった。

「でも、ドクター私は別に………」

「チンクと会えるわよ」

「謹んで行かせていただきます!!」

姿勢正しく敬礼するノーヴェ。

「全く、調子のいい子………」

そんなノーヴェの様子にウーノは頭を抑えた。

「まあ、いいじゃないか。くれぐれもウェンディの事を頼んだよ」

「はい!」

ノーヴェはそう返事をして、スカリエッティのラボを出ていった。








「はぁ!?ナンバーズをそっちに送った!?」

ゴールデンウィークの前日の夜、明日のために早めに寝ようと布団に入った時だった。
仕事用の通信器に連絡が入り、連絡してきた相手はジェイル・スカリエッティだった………

『ああ、そっちで経験を積ませようと思ってね。1人はもう向こうに行ってしまった。すまないが休日中3人そっちで面倒を見てもらえないか?』

「………私、このゴールデンウィークにミッドに行かなくてはならないから」

『ならば、君の知り合いはどうだい?』

「零治のことか………」

また零治に押し付けることになるのか………
本当は断りたいけど。

1人向かったってことは断ったら逆に問題になりそうだし………
まぁあいつにはあの3人がいるから大丈夫か。

「分かったわ、零治に頼んでおくわ」

『すまないね、今度その零治君にお礼に行くとしよう』

「………お願いだから、目立つことはやめて」

『ハハハ、冗談さ。報酬は既に送っておいたから使ってくれたまえ。ではよろしく頼む』

そう言って通信が切れる。

「本当に大丈夫かしら………」

不安を覚えるシャイデだった。







「はぁ~仕方がないな………」

何でおとなしくしていられないのかねあの変態ドクター………

『ごめんね、零治。私はこのゴールデンウィークはミッドに行かなくちゃいけないから手伝えそうにないの………』

「まぁそれほど期待はしてなかったよ」

忙しいのは分かってるし。

『ごめんなさい、報酬は先に貰ってるから半分振り込んでおくわね』

「了解」

『それとフェリアに変わってもらえる?』

「あいよ、フェリア!シャイデが電話に変わってくれだってさ」

「ああ、分かった」

ソファに座り、テレビを見ていたフェリアがこっちに来る。

「はいよ」

「済まない」

フェリアは俺の携帯を受け取って自分の部屋に入っていった。





「………ということなんだが」

「私逹は大丈夫ですよ。ゴールデンウィークも予定はありませんから」

「うん、僕も大丈夫」

「我も大丈夫だ」

「本当に済まないな………」

みんなに頭を下げるフェリア。
流石にあのマッドなドクターの行動を申し訳無く思っているのだろう。

「今更構わないよ。それよりも妹さんたちに満足してもらわないとな」

「ああ!」

フェリアは俺の言葉に元気よく返事をした。

「それで、どうしますか?」

「悪いんだが、彼女逹の服を買いに行きたいんだが………」

………そう言えばフェリアも荷物とか全く持ってきてなかったもんな。
となると直接向かってくる妹逹はパッツンスーツじゃないよな………?

「じゃあまずはまた服屋かな」

「夜美………」
「分かってる………」

「………二人とも?」

二人の言葉の意味を察したのか、睨む星。

「まあまあ。それじゃあ一日目は買い物で、そこで飯を食べるか」

「そうですね、それがいいと思います」

「そのあとは妹さんたちに意見を聞こうぜ」

「そうだね、もしかしたらどこ行きたいかとか決めてるかもしれないし」

「我もその方針でいいと思う」

俺の意見にライと夜美の二人も同意する。

「それじゃあ、明日来たらそうするぞ」

俺が締めて話は終わった。



ピンポーン。
話がちょうど終わったその時インターフォンが鳴った。

「あ、私が出てきますね」

星が立ち上がり、インターフォンを見る。

「どちら様ですか?」

『私、チ、フェリア姉の妹のセインです。フェリア姉がお世話になっている家がここだとシャイデさんに聞いたので………』

「分かりました、少々お待ちください………」

そう言って玄関に向かう、星。

「………早すぎない?」

その呟きに反論する者はいなかった。






「初めまして、フェリア姉の妹でセインって言います」

青いセミロングの女の子が元気よく言った。

セインか………
確か、地面に潜る女の子だったはず。

っていうか偽名は使わないのか?

「美味しいものを食べにやってきました」

右手を上げて高々と宣言するセイン。
なんとも遠慮の無いセリフだ事。

だが問題は………

「そんなことより………」

「………ええ、分かってます」

アイコンタクトで俺の言いたいことが分かったらしい星。
流石だ。

星はセインを自分の部屋に連れていった。




五分後………

「美味しい物を食べにやってきました」

星の服を着たセインがさっきと同じことを言う。
よくあんなピッチリスーツで外に出たこと………

「………随分お前と性格が違う奴だな」

「姉妹で一番明るい奴だからな」

う~ん、ナンバーズを全員覚えてないからなんとも言えないけど、確かにセインはナンバーズの中だと一番明るいかもな。

しかし………

「フェリアの方が妹に見えるな」

その時空気が重くなった。
あっ、墓穴ほったかも………

「……………誰が小さいと?」

ワナワナと震えながら呟くフェリア。

「い、いや誰もそんなこと………」

「レイはもう少し言葉に気を使うべきです」

「最低だよ、レイ!」

「今のはお前が悪いぞ、レイ」

「言ってはいけないことを言ってしまいましたね、零治さん」

4人ともかばってくれないようだ。
だがセインよ、お前は少なからず思ってるだろ………

「覚悟はいいか?零治………」

「………優しくして…ね」

その申し出は当然却下され、俺はフェリアにオハナシされました………






「おいしーーーーーーい!!!!」

家にセインの絶叫が響く。

「そう言ってもらえると嬉しいです」

ちなみに今日の夕飯はシチュー。
その残りをセインに出しました。

今、ライと夜美2人と話しながら食べている。

「いきなりMy箸を出して食べようとしたときは驚いたけどな………」

「一体日本をどう勘違いすればそうなったんでしょうか………?」

本当に驚いたよ………

出したのはご飯にかけたシチューだったから別に食えないことはなかったけど、日本人は食事をするとき全て箸で食べると思っているとは………

しかもMy箸入れまで持ってくるという徹底ぶり。
スカさん、ちゃんと教育してやりなよ。

でも、箸使いはフェリアよりもかなり上手でした。

「………」

そんあセインを見てか、端でセインに見えないように箸の練習をするフェリア。
………負けず嫌いだな。
と言うよりは姉の威厳がって所かな?

「でも本当に美味しいよな星の料理は。お嫁さんにもらったやつは最高だろうな」

「そ、そんなことないですよ………それに私はレイだけに………」

「レ、レイ!明日のことなんだけど!!」

「お、おう………」

星との話の途中でライにいきなり声をかけられる。
星がライを睨んでいるような気がするが気のせいだろう。

「で、何だ?」

「セインが明日はお寿司が食べたいって」

「私、資料で見たんだけど回ってくるんでしょ!!」

ああ、回転寿司か。
確かに珍しいよな………

外人だと写真撮る人もいるらしいし。

でも、最近はアメリカとかでも回転寿司ってあるんだっけ?
今度、グーグル先生に聞いてみようかな………

「レイ?」

おっと、かなり脱線したな。

「分かったよ、買い物したら食べに行くか」

「ほんとう!?ありがとうレイ!!」

笑顔でお礼するセイン。

ん?今レイって言ったか?

「ダメ………かな?」

「別にダメじゃないよ。好きに呼んでくれれば良い」

「ありがとう!これから『レイ』って呼ぶね」

笑顔で俺に言うセイン。
本当に明るいだな。

ナンバーズってこんなに感情豊かだったっけ?

「………本当にレイって女の子と仲良くなるのが早いね」

「全くだ。この女たらしめ」

「だから男友達が居ないんですよ………」

3人ともなんだか冷たいような………
それと星!!俺にだって男友達ぐらい……………あれ?

「………俺って結構寂しいやつじゃない?」

「今更気づいたのか?」

転校してきたばかりのフェリアにまで言われた!?

「いいもん!俺には士郎さんがいるから!!」

「………友達か?」

ちくしょう、フェリアのツッコミが胸に響くぜ………
ぶっちゃけ思春期真っ盛りのヤロー共と話なんて合わないし、合わせる気もないんだけど。

その辺、神崎はすごいと思う。

絶対に混ざりたくはないけど………

「そんな事はどうでもいいんだよ!!」

「よくはないと思うが」

「いいの!!」

「………分かった」

俺の強気の返事に折れるフェリア。
このままじゃ俺がいじられて終わるような気がしたからな………

「それに友達は学校にはフェリアもいるし、別に問題ねぇよ」

「そ、そうか」

少しうつむきながら返事をするフェリア。
何か星達3人がまた俺の事を睨んでいるような………

「………何だよ?」

「「「変態!」」」

「なんでだよ!!」

「アハハハハ!」

俺と3人のやり取りを見ていて笑うセイン。
しばらくの間、俺たちのやりとりを見て笑うセインの姿がそこにあった。






「いい人達だね………」

「ああ………」

あのあと、皆順番に風呂に入り寝ることになった。
セインはフェリアが使っている部屋に布団を敷き、そこで寝ている。

「面白いし、暖かいし、何よりみんな優しい」

「ああ、私の時もそうだった」

「みんなが私たちが戦闘機人だって分かったらどう思うかな………?」

「さぁ、どうだろうな………」

セインに背を向けるフェリア。

「チンク姉、黒の亡霊のこと何か分かった?」

「何も………シャイデもなかなかしっぽを出さないからな」

しばらくシャイデの通信を傍聴していたが、黒の亡霊と連絡を取っていることはなかった。

「そうなんだ………ねぇ、私も手伝おうか?」

「いや、お前の能力は貴重だ。お前に何かあったらドクターの計画も崩れてしまう。お前までここにいる必要はない」

フェリアはセインの方へ向きはっきりと言う。

「そうだよね………分かった」

セインはそう言って布団に潜った。

「布団って気持ちいい………」

布団の柔らかさを感じ、セインは呟く。

「チンク姉だけずるいよ………」

そう文句を呟いてから眠りにつくセインだった。






「ずるいか………」

セインの呟きが聞こえたフェリアは同じ言葉を呟く。

「ここの家の者たちは暖かいからな」

有栖家の面々を思い浮かべる。

「いつか私たち姉妹もこの家のように………」

そう思いながらフェリアは眠りに付くのだった……… 
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