零から始める恋の方法
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暗躍
「想夢。どういうこと?全然効果ないんだけど」
『え・・・!?そんな・・・どうしてだろ・・・』
「・・・ま、いいわ。多分次やっても意味ないだろうし・・・。確か上元って一人暮らしだったわよね?」
『そうだけど・・・それが何?』
「・・・うまく私の家か雪ちゃんの家に泊まらせることはできないの?」
とにかく紗宮を雪ちゃんと上元から遠ざけるのが先決だ。
あと一か月ほどしかない。
だが、逆に考えればあと一か月ほどを耐え抜けば幸せな未来が待っているはずだ。
約束ですよ、利英さん・・・。絶対ですからね・・・?
脳裏にあの時の雪ちゃんの最後の言葉がよみがえる。
ぼろぼろな体になりながらも最後まで上元を信じていた。
たとえどれだけ裏切られても最後まで信じていた。
でも・・・。
『できないことはないと思う・・・。でも、ちょっと時間がかかるよ?』
「かまわないわ。今すぐ取り掛かって」
『うん、わかった。じゃ、きるねー』
そう言って電話が切断された。
想夢はなんだかんだ言って優秀だ。
その想夢が「うまくいった」といったからにはちゃんとやりこなしたのだろう。
だとしたら、なんで紗宮があの場にいた?
どうやって抜け出したんだ・・・。
「直接聞いてみるのも悪くないけど、とりあえずは様子見からかな・・・」
チッ、紗宮のせいで雪ちゃんの手作り弁当を食べ損ねた。
今日は厄日だ。
「あの・・・利英さん・・・」
放課後。
きっと利英さんは私の言動のせいで不機嫌になっているかもしれない。
一時的なものだったにせよ、利英さんに不快な思いをさせてしまったのは事実。
だとしたら謝るべきだろう。
「何?」
うぅ・・・やっぱりちょっと怖い利英さんだ・・・。
いつもと目の感じとかが違う・・・。
「あ・・・あの・・・そのー・・・朝はすいませんでした!わ・・・私が変に問い詰めようとしたから・・・利英さん・・・いやな気分になったかもしれないので・・・」
あうぅ・・・。
やっぱり今更謝られても嫌だよね・・・。
それにもし央山先輩たちの言うように何か理由あってのことだったら本当にただの勘違いです・・・。
しかも、それだと正義感が強い嫌なやつってことになっちゃいます・・・。
利英さんには嫌われたくないのに・・・。
「ああ、そのこと?もう大丈夫大丈夫!ほら、元気出して。ね?」
顔を上げるといつもの利英さんがそこにいた。
よかった。
私・・・嫌われてなかったんだ。
「うぅ・・・利英さん・・・私のこと嫌いになりました・・・?」
「そんなことないよー。雪ちゃんはずっと私の友達だよー」
「でも・・・きっと利英さんに不愉快な思いをさせてしまいました・・・」
「全然だよー。あ、それよりピアノ同好会が二週間後にコンサート開くんだ!ぜひ遊びに来てねー!」
コンサート?
っていうとピアノの発表会みたいなものだろうか。
・・・すっごく気になる。
「利英さんも出るんですか?」
「もちろん!しかもラスト任されちゃった」
「すごいじゃないですか!私絶対見に行きます!一番前の席でいっぱい応援しますから、頑張ってくださいね!」
利英さんのピアノの腕がその後どうなったのかは知らないが、とんでもないことになってそうだ。
なにしろトリを務めることになるぐらいなのだから。
・・・上元先輩とかも誘ったほうがいいかな?
できれば、利英さんも大人数に応援されたほうがいいよね?
その後、私は部活を済ませて上元先輩たちに利英さんのコンサートに来るよう誘ってみた。
「あー・・・俺は悪いんだけど用事が入っていてね・・・。ホントにごめん!でも、利英ちゃんには応援してるよういっておいて!」
「わかりました、伝えておきますね。上元先輩はどうですか?」
現在私は上元先輩のマッサージ中だ。
なんか最近上元先輩の身の回りの世話はほとんど私が引き受けることになっている。
多分先輩たちが気を使ってくれてるんだと思う。
本当にありがといことです。
「ん・・・俺は別に・・・んぐ・・・何も予定が入ってないな・・・ぐ・・・それ以上はきつい・・・」
「そうですか、では上元先輩だけですね。でも、もっと頑張らないと怪我しやすくなっちゃいます。もうちょっと頑張ってくださいね」
「え、ちょ・・・もう無・・・ぐほあああああああ・・・」
あ、力入れすぎたかも・・・。
一気に前に倒れたもののなんだか限界点を突破したのかあまりの痛みのためか知らないが、気絶している。
「おーおー・・・雪菜ちゃんもなかなかだねー・・・。おーい、上元が気絶したー!誰か運んでやってくれー!」
あうぅ・・・失敗しちゃいました・・・。
「ふーん・・・面白いじゃないの・・・」
どうやら、京介は出かけたようだ。
というよりかは少しの間別の家へ移ったというべきか。
「さすがに少し暴れすぎちゃったかしら・・・。でも・・・愛ゆえってやつよね?最近京介も雪菜って子にメロメロみたいだし・・・あー、もう!暇!」
そう叫ぶと私はダーツを投げる。
見事ど真ん中に命中。
「うふふ・・・ねえ、どんな気持ち、ねえ答えてよ・・・持上・・・。今すぐあんたをこの写真みたいに穴だらけにしてそれでそれでそれで京介を返してもらうんだから・・・!」
ただ、あの凛堂利英とかいうのが厄介だ。
できれば、二人とも美術部辺りにおいて監視下に置きたかったが・・・仕方ないか。
幸いピアノ同好会のほうには私の言うことを何でも聞いてくれるかわいいかわいいしもべがいる。
ただ、部内での権限は凛堂のほうが上・・・せいぜいが嫌がらせ程度にしかならないか・・・。
「ま、別にいっか。時間がたてばいずれ京介も戻ってくるだろうし」
そう言って私は写真を見る。
部屋中に写真が張ってあるのでいつでも京介を見ることができる。
流石に京介は入れれないけどね。
「うふふ・・・京介え・・・大好き・・・。だからあんな女からすぐに取り返してあげるからね・・・」
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