| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

零から始める恋の方法

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

直接対決

 「さて、今度はうまくいったようね」


 『はい。まだ紗宮のほうに動きはありません。しかし、向こうは確実にこちらの動きに気付いているはずです』


 その日の晩、想夢がうまくやってくれたみたいで、上元がこちらに向かっているようだ。
 紗宮の監視のため、紗由利が現場についてくれている。


 上元を強引に奪おうというのであれば、想夢がどうにかしてくれるだろう。
 先ずは順調だ。


 『!?利英さま!紗宮が出てきました!今おいま・・・キャアッ!?』


 「紗由利!?紗由利!チッ、やられたか・・・」


 紗宮が動いたか・・・。
 だが、紗由利ならうまく逃げれるはず。
 あの子は足の速さならだれにも負けない。
 そう言う子だから。


 「準備しないとね・・・。上元のことに関しては想夢がうまくやってくれるはず・・・」


 じゃあ、直接対決と行きましょうか。



















 「・・・はや。なにあれ」


 京介をガキが運んでるから追おうと思えば、女がこっちを見ていることに気が付いた。
 で、仲間だろうから倒そうかと思えば逃げられた。
 初撃も浅かったし、多分あんまり意味はない。
 どーせ、私の監視役だろう。


 「チッ、あのガキも見失ったか・・・」


 あんまりこの手は使いたくなかったんだけど・・・。
 仕方ないか。


 「|猟犬(ハウンド)


 私がそう叫ぶとどこからか数名の完全武装の兵士みたいなやつが出てくる。
 一応私の任務とは関係ないことに使うことになるから上からお咎めとかがきそうだけど・・・。
 だけど、間接的に本来の任務とのかかわりもあるから大丈夫か。


 「上元が逃げた。上元を逃がしたやつは多分標的どもよ」


 こいつらは追跡、策的に優れている連中だ。
 たとえ、戦闘能力は低くても多少は足止めできるはずだ。
 居場所さえ連絡してくれれば、私のほうで狩ることもできる。


 「上元を見つけろ、解散」


 そう言うとやつらはバラバラの方向に散る。
 あとは、数十秒もすれば見つかることでしょう。
 それまで少し待つことにした。





















 「なあ、想夢・・・だっけ?なんで俺が命なんて狙われてるんだよ」


 「いいから先ずは走って。私の家なら利英さまがかくまってくれるから」


 畜生、いきなりなんだってんだ。
 京や雪菜に連絡だってしてないってのに。
 幸いだったのは親がいなかったことぐらいだろうか。
 今は二人の忙しさに感謝、だな。


 「・・・上元さま、紗宮京についてですが」


 「ん?なんだ?」


 「紗宮京とはどれぐらいの仲になるんですか?」


 なんかその言い方嫌だな。
 まあ、奴とは幼馴染っていうぐらいだからもうそりゃあ幼いころからだよ。


 「さーてな・・・。十年ぐらいじゃないか?」


 「・・・その十年の間、最近起こったこと以外で思い出せることはありますか?」


 そりゃあ、たくさん遊んだりしたからな。
 いっぱいあるに決まってるだろ。
 えーと、先ずは・・・。


 「・・・ねえ。何も・・・思い出せねえ・・・」


 「やはり、そうですか。これで確信が持てました。先ずは急ぎましょう」


 クソッ!
 なんで思い出せねえ・・・!
 持上と会う数日前までははっきり覚えてる。
 だが、それより前となると全然だ。
 しかも、今思うと両親のこともうる覚えだ。
 京の両親・・・たしか母親の名前が・・・わ・・・わからねえ・・・。
 じゃ、じゃあ父親は!?


 ・・・わからない。


 クソッ!
 なんでこうなんだよ・・・!
 俺はどうなっちまったんだよ!?


 「・・・上元さま。私の家の場所わかりますか?」


 「・・・すまない。わからない」


 「そうですか。私はこれ以上先には行けませんので、雪菜さまの自宅に一度行き、そこからは雪菜さまに案内してもらってください。事情は姉のほうから説明が言っているはずです」


 雪菜まで巻き込んだのか・・・?
 しかも、わけがわからねえし・・・。
 ああ、もう!
 頭がこんがらがってきた!


 「・・・来た。時間がありません。早くいってください」


 そう言って、少し短めの槍を取り出した想夢。
 おい・・・なんでこんなの持ってんだよ・・・。
 ハハ、みんなでドッキリかよ・・・。
 クソッ、笑えねえんだよ・・・!


 「ああ、もうどうにでもなれ!とりあえず俺は雪菜ん家行けばいいんだな!?」


 「はい、急いでください。時間がありません」


 クソッ、もう従うしかねえってのかよ。
 意味が分からねえ以上とりあえずは雪菜ん家行ってそこでじっくり事情を聴くほかないだろう。
 今は移動することが先決だ。





















 「そう、見つかったのね。わかった。今行く・・・え?京介だけ逃がされた?何やってんのよ!チッ、もういい!私が行く!」


 京介が向かったのは・・・。
 ・・・方角的には持上の家のはず。
 近い。


 あのガキ、ハウンド四人相手を一気に足止めするとか何者なのよ。
 流れとはいえ、仮にも元傭兵どもよ?
 いくら銃が使えなくともあんなチビに圧倒されるなんて・・・使えないやつらだ。
 これは上に替えを用意させるべきかしら。


 「こんにちは。紗宮先輩」


 「あら、泥棒猫。こんばんはでしょう?頭の中がピンク色になりすぎて気でも狂った?」


 凛堂利英。
 こいつが今回の私の任務のメインターゲット。
 まさか向こうから来てくれるとはね・・・。
 ここはおとなしく本来の任務を遂行しようかしら?


 「あんたが京介を狙うとは意外だったわ。あんたまったく興味示してなかったでしょ」


 「ふふ・・・雪ちゃんのためですから・・・。だから・・・」


 どこに隠し持ってたのか知らないけど、もはや刀と呼ぶにふさわしいほどの長さを誇る鋸を取り出す。
 面白い、私とやろうっていうの?


 「だから、今ここであなたを消す」


 「面白いじゃない・・・やってみろよ、クソガキがあああああああああああああああああああ!!」


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧