ローゼンリッター回想録 ~血塗られた薔薇と青春~
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第6章 アルレスハイム星域会戦 中篇 〜コーゼル少将捕獲作戦〜
……
敵艦の艦橋まで3ブロックに迫った。
周囲は敵だらけだがほとんど問題なくここまで来ている。
突入から5分のことである。
シェーンコップ中佐から
「F小隊現状報告を
どうぞ」
私-
「こちらF小隊です。
標的確保まで3ブロックまで迫りました。
どうぞ」
中佐-
「了解した。
あと3分以内で3ブロック落としたら、ウィスキーを奢ってやる。
どうぞ」
私-
「了解しました。
3分以内に落としてみせます。」
中佐‐
「頼んだぞ。通信終わり。」
私は
「残り3ブロックだ!
2分以内に落とすぞ!
行くぞ!」
敵が張っている防御線へ突っ走る。
敵はビームライフルを盛んに撃ってくるが我々が着ている装甲服は中口径ビームライフルならどうってことない。
敵兵が逃げ出そうとする。
後ろから飛び掛かって背中に切り込む。
経験のなさそうな中尉が部下をビームホルスターで脅しながら前線に兵士を押し戻そうとしている。
そりゃ兵士は怖いだろう。なんたって我々はローゼンリッターだ。
あの中尉に指揮の仕方を教えてやろう。
奴まで3mといったところだ。
楽勝だ。
後ろを向いて15,6歳の兵士を打ち殺そうとする。
奴の大腿部を切り裂く。
絶叫しながら奴は倒れた。
「そこの中尉。
指揮とは脅すことじゃない。
大昔のアイゼンハワー元帥はリーダシップとは忍耐だそうだ。」
帝国軍の中尉は呻きながらバルハラに行った。
半泣きになりながらがたがた震えている若いというより子供兵士に手を差し伸べ、
「悪いようにはしない。捕虜になりなさい。」
彼は泣きながら私の手を握った。
「カレン衛生兵!
彼を後方へ連れて行ってくれ。
もしもなんかあったら…」
一応といっても彼は敵兵だ。
何が起きるかわからない。言葉には出さないもののとりあえずだ。
そうして2分後に3ブロックすべてを片づけて、艦橋への扉の目の前に到着した。
マッケンジー少尉とお互いの血だらけになった装甲服を見て苦笑してしまった。
シェーンコップ中佐の隊も到着した。
「侵入から8,9分といったところですね。
まあまあってところかな。」
ブルームハルト中尉はまるで演習評価官のように状況を評価した。
「まあそういうなって。
これからが本番だ。」
といったのは工兵小隊のデュエット中尉であった。
「中佐!
爆破準備完了しました。」
中佐は
「よし!
行くぞ!」
中尉が「爆破3秒前。 3・2・1爆破!!」
ボーン!!!!
派手に扉が吹き飛ぶ。
かなりド派手に敵は撃ってきた。
「シュナイダー!
フラッシュパン投擲!」
待ってました!と言わんばかりに投擲。
爆発
「突入!」
目と耳をふさいで呻いているオペレーターに一撃!
司令官席付近に座っている50歳代の少将がいた。
その右手にはホルスターが!!
それも頭に!
「クソ!」
私は衝動的に右腿に装着してあったホルスターを引き抜き、少将の左膝に撃ちこんだ。
すると、左肩に衝撃が!
撃たれたのだ!
しかし、不思議と痛みが感じられなかった。
私は、コンバットナイフを引き抜き司令官席に駆け上がる。
周囲にいた参謀長と思われる大佐がつかみかかろうとしてきたが至近距離ではコンバットナイフが有効である。
肩の三角筋のあたりに突き刺す。
激痛だろう。
私はキリング・フォン・コーゼル少将にナイフを突きつけ帝国語で
「武器をおけ。
動くな。
動けば、あんたの首と胴が離れるぞ。」
少将は
「わかった。
降伏する。」と言って武器を床に置こうとした瞬間、また持ち上げて私を撃とうとしてきたのだ!
私は瞬間的にコーゼル少将の手を踏みつぶした。
「少将閣下。往生際が悪いですよ。」
私は
「マッケンジー少尉!
少将閣下をお連れしろ。
あと5分で離脱するぞ。」
膝を撃ってしまったので、遺体袋に詰め込んで連行した。
抵抗は予定通りほとんどなかった。
目標ブロックまで2ブロックに迫ったところで衝撃!
思わず口元が緩む。
予定通りだ。
帰りの馬車が再突入したのだ。
つまり、帰りの馬車=コバックⅦ号が「オーデッツ」に再強襲揚陸を行い我々の回収を手身近に済ますのだ。
敵は、我々が当初突入したところに迎撃線を引いていたため戦力が分散されたのだ。
そろそろ敵も気づく頃だろう。
しかし、それでは遅い。
一気に2ブロックを駆け抜ける。
強襲揚陸艦の突入口が見える。
……………
こうして、私のキリング・フォン・コーゼル少将捕獲作戦は幕を閉じた。
帰り道はきたとき同様にみな静まっていた。
興奮状態から冷静状態への落ち着きでみな静まっているのだ。
帰りの宙域は平和と安全そのものだった。
しかし、私のアルレスハイム星域会戦の真実と戦争の現実を見るのはこれからであった。
宇宙歴792年 2月のことである。
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