もし俺がFate/Zeroの世界でランサーのマスターになった場合
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第九槍
前書き
戦闘描写はあんまりできないかな……
先に動いたのはセイバーだった。
見えない剣でランサーへと襲いかかり、力の乗った一撃をランサーに叩き込んだ。
だが、ランサーもこれに真正面から迎え撃つ。
右手に持った赤槍でこれを払いのけ、勢いそのままに左の黄槍の突きを放つ。
俺はこの戦いをただ呆然と見ることしかできなかった。
速すぎるのだ。二人とも。
「これがサーヴァント……これが聖杯戦争……」
英霊たちの一挙一動全てがもはや常人を越えている。いや、それが普通だというのは分かっているのだが、聞くのと実際に見るのとでは抱く思いがまた随分と違う。
「お、衛宮発見」
放っていた使い魔が衛宮の姿を捉えた。どうやら、戦場をくまなく見渡せる場所に移って俺を狙うようだ。
だが残念。そこからじゃ俺は見えんよ。左右を囲まれたこの場所を狙うには、真正面からか、真後ろからしか狙えないのだから。
俺はそのままランサーとセイバーの戦闘を見守り続ける。
見えない剣と二本の槍が、甲高い音を響かせながら何度も何度も交錯する。
だがランサーの方が有利に見えた。
「……ま、間合いは事前に教えたからな……」
間合いが見えないというアドバンテージが完全に無視されているのだ。あれではいくら風で隠していても、その分の魔力が無駄だと言えよう。
真名が俺にばれている時点で無意味なんだけど。
対して、セイバーはランサーの槍を両方とも警戒しているようだった。
宝具は決して単一とは限らないというのにな……まぁ、それが不利に働いているのなら好都合なのだが。
パラメーターはやはり軒並みAのセイバーの方が高いが、俺が召喚したことにより原作よりも強化されたランサーはそう簡単にはやられはしない。まして、敏捷ではランサーの方が上なのだ。白兵戦に限れば、まず間違いなくランサーのほうが強い。
が、流石セイバーというべきか、なかなかランサーにとらせてはくれないようだ。
やはり、宝具を使わずに相手をするのは難しかったか?
しかし、ここで宝具の使用を許可してセイバーに傷を負わせたとしよう。
それでエクスカリバーが使えなくなったのならば、誰があの巨大海魔を倒すのだ?
対軍宝具より上の威力を持つのはセイバー、アーチャー、ライダーのみ。ライダーに関しては火力不足で、アーチャーは手を貸そうとしない。その場合はランサーが必滅の黄薔薇を折るという原作通りの最悪の結果となってしまう。
それだけは避けたい。。
「っと、治癒治癒」
一太刀掠めたようだったため、直ぐにランサーに治癒をかける。
『痛み入ります。我が主よ』
念話でランサーからの御礼が返ってきた。
これは俺がランサーと契約を通じてパスが通じているためにできることだ。尚、普通はできないのではないかと思われる。
てかランサー。今は白水殿じゃなくて我が主なんだな。
……まぁ、悪い気はしない。
「んー……ライダー陣営もまだ出てくる気配はなさそうだな……」
使い魔の視覚を通じて様子を伺うも、呑気に酒を煽っていらっしゃる。ウェイバーに限っては橋の上で強風にさらされ今にも泣き出しそうになっていた。
何と哀れな。
「……いや、待てよ?」
そもそも、原作無視の方向で進めても問題ないのではなかろうか?
いずれキャスターの討伐が最優先と聖堂教会から連絡が来るはずだ。なら、その時にキャスターかもしくはそのマスターを殺してしまえばいいのではないか?
巨大海魔を召喚される前に決めてしまえばいい。
そうなればランサーがゲイ・ボウを折る必要もなくなる。
ただ心配なのはゲイ・ボウの呪いを解除するために衛宮が積極的に俺を狙うようになることだろう。
だが、ここでエクスカリバーを封じておくのはでかい。あれを防ぐ術をランサーは持ち合わせていないのだ。
そうなれば、ここでゲイ・ボウを使わない場合よりも俺の生存率が高くなるだろう。
セイバーを弱体化させ、キャスターを討つ。シナリオとしては上出来だろう。
なら、遠慮はいらない。
俺は口端を少しだけ吊り上げて笑った。
『ランサー。攻めきれないのなら、宝具の使用を許可する』
辺りに俺の声が響き渡った。
後書き
結局は原作とおなじ……でもここはこうするしかなかったのだよ!
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