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戦国異伝

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第二百十七話 九州騒乱その七

「自ら兵を率いてじゃ」
「そして、ですか」
「殿は」
「七将等も率いる」
 加藤や福島達をというのだ。
「若い将帥をな、そして後詰はじゃ」
「それは誰でしょうか」
 竹中が信長に問うた。
「一体」
「七兵衛じゃ」
 信行の子である織田信澄だというのだ、実際に信澄を見て言う。
「頼んだぞ」
「さすれば」
 信澄も信長に応える。
「後詰はそれがしが」
「御主がそうする、ではな」
 こうしてだった、信長はそれぞれの陣に入る将帥達も細かく決めた。信忠には織田家の主な将帥達に最も多くの軍勢を与えた、ここにだった。
 帰蝶は後でだ、信長にこう問うたのだった。
「奇妙殿にですね」
「うむ、あ奴は長子じゃしな」
 それにとだ、信長も帰蝶に答えた。
「それに資質もある」
「殿の跡を継ぐ」
「だからじゃ」
 まさにそれでというのだ。
「あ奴にはな」
「三陣としてですね」
「ああした」
 最も多くの兵と将帥達を預けたというのだ。
「是非な、そしてわしはじゃ」
「本陣において」
「若い者達を率い出る」
 九州にというのだ。
「そうする、確かに茶筅は出来るがまだ若い」
「お若いが故に」
「ここは戦の経験も積ますのじゃ」
「そういうことですね」
「そしてじゃ」
「後詰のことですね」
「七兵衛じゃが」
 その信澄のことも話した、このことは信長から話した。
「あ奴に任せる訳はな」
「やはり七兵衛殿が」
「それだけの資質だからじゃ」
「一陣を任せられるだけの」
「勘十郎も考えたが」
 信澄の父である彼もというのだ。
「しかしあ奴は大坂において後ろを支える為にじゃ」
「置かれるのですね」
「そうじゃ」
 それで、というのだ。
「だからあ奴にした、それにじゃ」
「七兵衛殿も」
「戦の経験を積ませたい」
 後詰にしてもというのだ。
「必要あればな」
「戦の場にも出て」
「戦ってもらう」
 信澄にもというのだ。
「だからあ奴が後詰じゃ」
「そうされたのですね」
「そして爺はじゃ」
 織田家筆頭家老である平手はというと。
「この安土の留守を任せる」
「やはり平手殿はですね」
「うむ、留守を守ってくれる」
 それだけの者だというのだ。
「だからじゃ」
「平手殿ですね」
「爺を置く、そしてじゃ」
「いよいよですね」
「九州攻めじゃ」
 まさにと言ってだ、こうしてだった。
 信長は九州を見据えてその九州に入る手筈を整えていた。その手筈を整えたうえで遂にだった。 
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