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戦国異伝

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第二百十七話 九州騒乱その六

「兵糧等を送るからな」
「そうして戦いまするか」
「そういうことじゃ。船はもうある」 
 その三十万の兵達の兵糧や武具を運ぶそれはというのだ。
「民達に銭を弾んで人足になってもらうしな」
「銭ですか、そこでも」
「戦争は銭じゃ」
「とかく銭を使うものですな」
「そうじゃ」
 まさにと言う信行だった。
「わしはいつも留守を預かりそうした手配をしてきた」
「それでよくご存知なのですな」
「そういうことじゃ。ではな」
「はい、では」
「仕事をしようぞ」 
 こう末弟に言ってであった。信行は長益と共に兵糧の調達等をはじめていた。そして安土においてであった。
 信長が主な家臣達にだ、こう言っていた。
「ではこの安土に三十万の兵を集めてじゃ」
「そしてですな」
「そのうえで」
「九州を仕置する」
 こう家臣達に答えた。
「これよりな」
「ではいよいよ」
「天下統一に向けて」
「最後の戦ですな」
「それになりますな」
「うむ」
 まさにその通りだというのだ。
「これよりな」
「はい、では」
「我等も手筈通りです」
「出陣します」
「その様に」
「先陣はじゃ」
 まずはこのことから話す信長だった。
「武田信玄、上杉謙信とする」
「有り難き幸せ」
「それでは」
 その信玄と謙信が信長に応える、二人の後ろにはそれぞれ二十四将と二十五将達が控えている。赤、黒の服を着て。
「我等がです」
「先陣を務めさせて頂きます」
「それぞれ二十四将、二十五将を率いよ」
 その将達も決めたのだった。
「そして第二陣は右は北条氏康、左は毛利元就」
 続いてはこの二人だった。
「御主達が行け」
「畏まりました」
「では謹んで」
「それぞれ二十八将、三兄弟達を率いよ」
 第二陣の将帥達も決めたのだった。
「よいな」
「はい」
「その様に」
 氏康と元就も応えた、そうしてだった。
 続いて第三陣だった、彼等はというと。
「奇妙」
「はっ」
 織田家の家臣達の先頭にいる信長を若くした様な前髪を添って数年といったところの若者が信長に応えた。
「御主じゃ」
「わかりました」
「わしはいつも通りの者達を率いる」
 森と池田をというのだ、それに毛利と服部を傍に置きそのうえで今は幸村と兼続も傍に置いているのである。
「御主は他の者達をじゃ」
「率いて」
「第三陣を務めよ」
 つまり織田家の主な家臣達を全て率いろというのだ。
「よいな」
「そうさせて頂きます」
「そして右は浅井長政」
「はっ」
「左は長宗我部元親」
 二人の名もそれぞれ挙げた。
「御主達じゃ」
「では」
「我等も」
「うむ、ではな」
「それぞれの家の家臣達を率い」
「果たしてみせます」
「頼むぞ、そしてわしはじゃ」
 信長自身はというと。 
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