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ジャパニーズ=ラップ

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第二章

「いいか」
「よし、じゃあな」
「ダンスだけだからな」
 俊介はこのことは絶対だと答えた。
「それでいいよな」
「いいさ、ダンスもラップだからな」
「だから何で日本語のラップなんだ」
「じゃあラップは英語じゃないと駄目なのか?」
「そこまで言わないけれどな」
「日本語のラップはか」
「それはアウトだろ」
 俊介はこの考えの根拠も言った。
「妙に気持ち悪くてな」
「それは主観だろ」
「主観で悪いかよ」
「いや、結局何でも主観だからな」
「じゃあいいよな」
「気持ち悪いからアウトか」
「日本語はラップには合わないさ」
 俊介はこの主張を変えなかった、それでだった。
 彼は何とかダンスだけはした、岳と一緒にラップダンスははじめた、そのダンスは俊介が見込んだ通りレベルが高かった。
 しかしだ、あくまで歌はだった。
 何があろうと歌わない、それは岳が歌おうとしてもだ。
「止めろよ」
「ダンスだけかよ」
「聴くのもな」
 それすらというのだ。
「嫌だからな」
「本当に徹底してるな」
「だから嫌いだって言ってるだろ」
 顔を顰めさせての言葉だった。
「ダンスだけしかしないから」
「やれやれだな」
「そもそも御前がどうしてもって言うからな」
 俊介は誘われた時のこともここで言及した。
「やってるからな」
「何でそこまで日本語のラップを嫌うんだよ」
「だから合わないだろ、日本語はな」
 それこそというのだ。
「和歌とか歌舞伎とか能だろ」
「雅だな、おい」
「悪いか?そっちの方が断然いいからな」
「ラップはアウトか」
「そうなんだよ、俺的にはな。そもそもな」
「そもそも?」
「アメリカは色々な問題があるさ」
 所謂社会問題というものがだ、アメリカは確かに豊かな社会だがそれと共に多くの問題を抱えている社会を持っているのは事実だ。
「それを告発するのがラップだろ」
「人種とかな」
「日本であそこまで問題あるか?」
「あるだろ」
「だからアメリカみたいな問題あるか?」
 アメリカのレベルで深刻かどうか、というのだ。
「人種とか麻薬とかな」
「人種差別は何処にでもあるぜ、それにな」
「麻薬をやる馬鹿もいるけれどな」
「芸能人とかよくいるだろ」
「何度も捕まってる人もいるな」
「ほら、問題あるだろ」
「それでもアメリカよりもな」
 まだ、というのだ。
「問題が浅いだろ」
「そこは程度の差だな」
「まあ物凄く、アメリカ程深刻な社会問題抱えてない社会ならそれは幸せなことだけれどな」
 俊介はそれはいいとした、社会問題が少ない社会、告発することが少ないなら確かにそれはいい世界である。
「まあとにかくだよ」
「日本語のラップはか」
「何かが違うんだよ」
 具体的に言うと合わないというのだ。 
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