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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第十一幕その八

「僕達も入る?」
「ううん、どうかな」
「それはね」
「あまりね」
「僕達はね」
「入りたくない?」
「ちょっとね」
 皆はあまり乗り気でない感じです。
「別にいいんじゃない?」
「凄く怖い雰囲気するし」
「中から悲鳴がかなりするよ」
 皆の耳は人間のものよりずっといいので聞こえるのです。
「だからね」
「あまりにも怖そうだから」
「入らない方がいいかも」
「私達は」
「ううん、けれどね」
 けれどなのでした、ここで。
 先生は皆にです、こう言いました。
「お化け屋敷といえば妖怪が出て来る場所だね」
「ええ、それはね」
「日本でもそうよね」
「ここはね」
「そうした場所ね」
「もう妖怪はね」 
 それこそ、というのです。
「そうした分野に入る人とは。僕達は何度も会ってきてるね」
「まあそれはね」
「お静さんもそうだし」
「狐さんや狸さんもね」
「何度も会って来たし」
「お付き合いもしてるし」
「そう言われるとね」
 それこそ、というのです。
「お化け屋敷にいるのは本物じゃないから」
「本物の妖怪さん達とも会ってきてるし」
「だったらね」
「それこそね」
「あまりね」
「意識することはない?」
「怖いって思うことも」
 皆もこう考えました、そして。
 ここでなのでした、あらためて言うのでした。
「特にね」
「あまり意識することはない?」
「怖いとかは」
「本物も怖くないし」
「別にね」
「こうした場所でも」
「別に」
 先生のお話を聞いて考えを変えてでした、そのうえで。
 皆で、でした。先生にこう答えました。
「じゃあね」
「僕達も入る?」
「それでね」
「お化け屋敷の中のあの人とね」
「一緒の場所に入って」
「そうして見守ろうか」
「そうすべきかしらね」
「そうした方がいいとも思うしね」
 先生はまた皆に微笑んで言いました。
「じゃあね」
「うん、今から」
「お化け屋敷の中に入ろう」
 これが皆の先生への返事でした、そうして。
 皆でなのでした、そのお化け屋敷の中に入りました。お化け屋敷の中も病院でした。その中から次から次にです。
 ゾンビみたいな患者さんや看護師さん、お医者さん達が出て来てでした、先生達に向かって来ます。中はとても暗くて深夜の病院そのままで。
 悲鳴や何かを砕く様な音が始終聞こえてきます、ですが。
 皆はその中にいてです、普通に言うのでした。
「まあこれ位だとね」
「普通?」
「普通に怖いけれど」
「私達にとってはね」
「驚く位じゃない」
「そうかな」
「そうだね、僕もね」
 先生もお化け屋敷の中を進みながら言うのでした。 
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